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平成最後の新年、30年を振り返る

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平成最後の新年、30年を振り返る

「内平らかに外成る(史記)、地平らかに天成る(書経)」という文言から引用し、「国の内外、天地とも平和が達成される」という意味がこめられた「平成」。平成31年4月で「平成」は終わり、5月から新元号がスタートする。天皇陛下の「生前退位」は実に約200年ぶりのことだそうだ。バブルの崩壊、2度の大震災、オウム真理教事件、インターネットやスマートフォンの普及など、まさに平成は激動の30年。皆さんにとってこの30年はどんな時代だっただろうか。4月1日以降に発表される予定の新元号にも「こんな時代にしたい!」という強い思いが込められるはずだ。「平成」はこんな時代だったねと、笑顔で語れるような、新しい時代の幕開けになることを大いに期待したい。

1989-1996平成元年~8年

日本中がお祝いムードに染まった皇太子さま、雅子さま結婚の儀

1月7日、昭和天皇の崩御が発表され、わずか7日で終わった昭和64年に変わり、新たな元号「平成」が始まった。当時日本は安定成長期のピークで、まさにバブル真っ盛り。この年の4月、初の消費税3%を導入する。

 日本中がお祝いムードに染まったのが、平成5年6月9日の皇太子さまと雅子さまのご結婚の儀だ。「一生全力でお守りします」というお言葉は、世界から大きな注目を浴び、皇居から東宮仮御所までのパレードでは、お二人の姿を一目見ようと、沿道に約19万人が詰めかけた。

 忘れもしない平成7年1月17日午前5時46分。マグニチュード7・3を記録する「阪神・淡路大震災」が発生。横倒しになった阪神高速道路、長田区の火災、ビルや家屋の倒壊など、現地の状況を伝えるニュース映像は衝撃的だった。この時被災者の支援のために各地からボランティアが駆け付け、のちに「ボランティア元年」と呼ばれることに。

 そして、そのショックも冷めやらぬ同年3月20日、世界を震撼させるテロ事件「地下鉄サリン事件」が発生。通勤ラッシュ時間帯を狙った衝撃的なこの事件は、「治安大国」日本を揺るがす大事件となった。平成元年11月の「坂本弁護士一家殺害事件」、平成6年6月の「松本サリン事件」という一連のオウム真理教による事件で、主犯格の麻原彰晃は同年5月に山梨県上九一色村のサティアンと呼ばれる施設で逮捕される。

1997-2005平成9年~17年

〝大手企業に入れば一生安泰〟神話が崩れた、経済低迷期

平成9年、バブル崩壊後の日本経済の先行きが不安視される中で、消費税率が5%に。当時は〝大手企業に入れば一生安泰〞という大企業神話が常識だったが、創業100年を誇る4大証券会社・山一證券や、北海道拓殖銀行、翌年には日本長期信用銀行などの金融機関が相次ぎ破綻するという、誰も想像しなかった事態が起きる。山一證券の野澤正平社長が「社員は悪くありませんから、みんな私らが悪いんです」と号泣する姿は忘れられない。これ以降銀行が次々と合併しメガバンク化。銀行界にとって節目の年となった。

 平成12年9月のシドニー五輪では、高橋尚子選手が女子マラソンで日本人女子初の金メダルを獲得。笑顔でゴールした〝Qちゃんスマイル〞が、日本中に笑顔をもたらした。

 平成13年9月11日、ニューヨーク、マンハッタンの世界貿易センタービルに2機の航空機が突っ込む「アメリカ同時多発テロ事件」が発生。ジョージ・W・ブッシュ大統領は「テロとの戦い」を宣言し、以降世界は対テロ戦争の時代に突入する。

 平成14年、宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」がベルリン国際映画祭の金熊賞、翌平成15年、第75回アカデミー賞の長編アニメ映画賞を受賞。日本アニメのクオリティが世界に認められた。FIFAワールドカップ日韓大会では、トルシエ監督の下、中田英寿選手や稲本潤一選手らの活躍で、初のベスト16入りを果たしたのも平成14年の出来事だった

2006-2013平成18年~25年

東日本大震災後、見直された防災意識と絆

 平成19年2月、都心部の公道を使った大規模な市民マラソン大会として、第1回東京マラソンが開催される。純粋に走りたい人、コスプレで楽しむ人など、約3万人の市民ランナーが東京の街を走り抜けた。

 平成22年のバンクーバー冬季五輪では、女子フィギュアの浅田真央選手が韓国のキム・ヨナ選手との対決の末、銀メダルに。男子フィギュアの高橋大輔選手が日本人男子初となる銅メダルを獲得し、大きな感動を与えてくれた。前大会のトリノ冬季五輪で荒川静香選手が金メダルを獲得して以降、浅田選手や高橋選手の活躍によって、日本のフィギュアスケート人気はますます高まった。

 まだ、寒さが厳しい平成23年3月11日午後2時46分。三陸沖を震源としたM9・0、日本周辺における観測史上最大の「東日本大震災」が発生する。首都圏でも大きな揺れが起き交通機関は完全にストップ。駅には人があふれ、多くの帰宅困難者を生み、主要な道路は渋滞し、沿道は徒歩での帰宅を目指す人で埋まった。さらに地震による津波で福島第一原子力発電所が炉心溶解(メルトダウン)を起こし、原子力発電の危険性・課題を世界に問いかけた。この大震災をきっかけに、企業や家庭での防災意識が高まり、大切な人と一緒にいたいという〝絆婚〞がブームにもなった。 平成24年、山中伸弥教授がiPS細胞でノーベル生理学・医学賞を受賞。難病患者たちに希望の道を開く。

2014-2018平成26年~30年

人気漫画や番組の終了、人気芸能人の引退など、正に時代の転換期

平成25年、56年ぶりとなる東京での夏季オリンピックの開催が決定。 「オ・モ・テ・ナ・シ」が日本の文化を象徴する合言葉に。平成26年、消費税率が17年ぶりに8%に引き上げられる。昭和48年にスタートした水島新司氏の野球漫画「あぶさん」が41年に及ぶ連載を終了、さらに30年以上も続いた昼の人気番組「笑っていいとも!」が放送終了。平成28年には人気アイドルグループSMAPが解散など、時代の転換を感じた人は多かったはずだ。そしてこの年の8月、天皇陛下が象徴としてのつとめについてのお気持ちを表明され、生前退位の議論が始まる。

 そして、平昌冬季五輪、サッカーワールドカップロシア大会での日本人選手の活躍に熱狂し、平成の時代を大きく揺るがしたオウム真理教の死刑囚刑執行、平成の歌姫 安室奈美さんの引退、83年間日本の食を支えてきた築地市場の移転、日産自動車のカルロス・ゴーン氏のニュースもなかなか衝撃的だった平成30年。

 思い返せば昭和から平成に変わった1989年(平成元年)はまだバブル真っ盛り。そのバブルがはじけ、日本経済は20年以上にわたる長い低迷期を経験。それがここ数年でやっと回復の兆しをみせつつある。大きな災害や日本を震わせた事件、世界では東西冷戦の終結やテロの多発など、30年間で、実に多くの出来事を刻んだ平成。新たに始まる新元号の時代には、一体どんな出来事が待っているだろうか。

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※2021年11月30日現在の記事です。詳細はお問い合わせください。

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