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トップバリスタ仕込みの美味しさを!自宅で愉しむための 本格珈琲指南

ISSUED | 2019.12

 

世界的に珈琲熱が高まり、カフェやスタンドで気軽に美味しい珈琲が楽しめる昨今。自宅での至極のひとときを過ごすため、最高のバリスタの技を覚えて、いつもと違う珈琲を味わいたい。

Photographs_YUSUKE UCHIDA. Edit&Words_POW-DER.
撮影協力/FBCインターナショナル

「ジャパンバリスタチャンピオンシップ2019」優勝の石谷貴之さんが太鼓判今、美味しい珈琲は自宅でも淹れられる

日本では様々な場面で珈琲が飲めるようになったが、自分で淹れる本格珈琲は格別なものだ。トップバリスタとして活躍する石谷貴之さんに、最新の珈琲事情に関してお伺いした。

バリスタ 石谷貴之

38歳。2005年から都内のカフェで勤務、2012年に独立し、TAKA ISHITANIとして活動を開始。ジャパン バリスタ チャンピオンシップ(JBC)で2017年、2019年と優勝。2020年には2回目のWBC世界大会へ出場する。

 ファッションショップ内のカフェのディレクションや、バリスタのトレーニング、セミナーやメニュー開発など、多岐にわたって珈琲のコンサルティングを行っている石谷さん。

「私は珈琲が実は苦手で、どうして美味しくないんだろうっていうところからスタートしました。苦手を克服するための淹れ方や、作り手の違いによる味の差などを探っているうちに、バリスタという仕事にハマったんです」と話す石谷さん。

「バリスタを始めたのはラテ系のドリンクが出回り、日本での最初のカフェブームの頃。当時に比べ、現在は生豆の品質が向上し、マシンも進化、さらにSNSなどで情報が早く拡散するので珈琲のレベルが格段に上がりました。欧米でスペシャリティコーヒーという概念が生まれ、豆がどこで作られているかや生産者の背景などを知るような流れができ、その考えが広く浸透し始めました。そのため豆の品質や焙煎技術も上がり、自宅でも本格的な珈琲が愉しめるようになったのです」

 石谷さんはこのスペシャリティコーヒーの世界大会、バリスタチャンピオンシップの日本大会で、2 0 1 7 年と今年2019年の二度の優勝を誇る実力者。この大会はエスプレッソを通じた評価が基本で、創作ドリンクも作り、味覚評価はもちろん、作業内容の適切性や正確性、さらには作業中の表現力までジャッジされる。まさに、珈琲作りに関する総合力が試される大会なのだ。

「珈琲はほっと一息ついてリラックスするために欠かせません。好きな時間に、好きな場所で、ぜひ自分で淹れて味わってください」と話す石谷さん。次ページでは本格珈琲の淹れ方を指南、ぜひ覚えてほしい。

How to Authentic Coffee Make

美味しい味はもちろん、本格珈琲は淹れる作業まで楽しめる自宅で本格珈琲を淹れるための7Step

珈琲豆を選ぶことから始まり、正確に淹れていくプロセス、そして出来上がった珈琲を飲む喜び……、自分で淹れる珈琲はこの全てを味わえる。石谷さん直伝の7Stepを覚えて実践したい

Step 1 まずは珈琲器具を揃える

本格的なドリップ珈琲を淹れるためには、まずはしっかりと道具を揃えておく必要がある。珈琲豆を酸化させずいい状態のまま保管するための容器である「キャニスター」、コーヒーの濃度を決めるため豆の適量を測る「スケール」、お湯の注ぎ量を調整するために注ぎ口が細くなったドリップ珈琲専用の「ケトル」と温度調節が可能な「湯沸かし器」、さらに自分で豆を挽く場合は珈琲用の「ミル」、そしてコーヒーの味わいを左右する「ドリッパー」。
 本格珈琲作りへの下準備には、まずはこれだけは揃えておきたい。


①温度調整機能付きケトル:水を沸かし、湯温をキープさせる機能のついた電気湯沸かし器と、狙ったポイントに適量の湯量を落とせる細口ノズルのケトル。
②キャニスター:珈琲豆の品質をキープするために真空の密閉容器で保管。
③スケール:好みの珈琲の濃さで淹れるために必要となる豆の分量を測る計測器。
④電動ミル:珈琲豆を一定の安定した粉に挽いてくれる。
⑤ドリッパー:形状や穴数などで珈琲の味が変化する器具。

Step 2 好みの珈琲豆を見つける

珈琲は生産国や焙煎方法によって、様々な特徴を持った味わいが生まれる。特に珈琲の味を左右するのは焙煎であると、石谷さんは強調する。
 左の写真を見ればわかるように、珈琲豆の色には茶の濃淡があり、これは焙煎によって生じる違い。濃いものは苦味が強く、薄いものは酸味が強いという特徴を持っている。特に濃茶で脂が浮き出ているタイプは強い苦味を持つ。そこで珈琲選びの第一歩は、自分好みの豆の色を見つけること。そこから、それぞれの産地の特徴を覚えていき、味わいを求めていきたい。


購入後、約2週間で使い切るのがベスト。保管する際には冷蔵庫だと豆が食品の匂いを吸ってしまうので、冷凍庫に入れること。パッケージに消費期限や焙煎日が記載されているので、必ずチェックを。

Step 3 珈琲豆をきちんと挽く

珈琲豆を購入し自宅で飲む場合は、豆を挽かなければならない。手で挽くミルは雰囲気があり挽いている最中に珈琲の匂いも楽しめるが、一定の速度で挽かないと粉の状態がバラバラになり、味が安定しなくなるなど、経験が求められる。電動で挽くミルであれば粉の状態は一定になり、簡単に粉の状態になるのでオススメだ。また、豆を購入した店で挽いてもらうのも手だ。


珈琲を抽出する方法や使用する器具によって、豆の挽き方にもバリエーションがある。ハンドドリップ式の場合は中粗挽き(写真左)が適している。エスプレッソは極細挽き(写真右)になる。

Step 4 ドリッパーごとの味の違いを知る

 一見すると同じように見えるドリッパーだが、実は珈琲の味を大きく左右する重要なアイテムだ。
 全体の形は大きく分けて台形か円錐形の2つ。台形は一旦底に溜まってから落ちるためお湯を注ぐ速度に味が左右されにくく、円錐は注ぎ方で味わいが変化する。
 そして底の穴が1つか3つのタイプがある。穴が1つで大きめの場合、抽出速度が早めになりすっきりした味わいになり、小さい3つの場合は、お湯が滞留しやすいので深い味わいになりやすい。


ペーパーフィルターはドリッパーの形状に合わせ、隙間ができないようにペーパーを折りセット。ペーパーによってコーヒーの脂分や雑味を適度に濾し、すっきりとした味わいに。

Step 5 蒸らす作業に手を抜かない

 ペーパーフィルターをセットする前に、ケトルでお湯を沸かし、まずは空のドリッパーからサーバーに注いでいく。こうすることでドリッパーもサーバーも事前に蒸らされ、あらかじめ予熱を与えることで、珈琲が冷めるのを防げる。珈琲の味を落とさないために、ドリップする前の下準備を怠らないようにしたい。
 そして底の穴が1つか3つのタイプがある。穴が1つで大きめの場合、抽出速度が早めになりすっきりした味わいになり、小さい3つの場合は、お湯が滞留しやすいので深い味わいになりやすい。


珈琲に使用する水は軟水が適している。珈琲成分に影響を与えにくく、マイルドで酸味の立つ味わいになり、珈琲の特徴が出やすい。

Step 6 水温と注ぎ方には細心の注意を!

 ドリッパーにペーパーフィルターをセットし、珈琲豆を挽いた粉を入れる。1杯分の珈琲豆は15gを目安とすること。お湯の温度は90℃前後に設定し、湯沸かし器を使いながら一定の湯温をキープする。
 始めに珈琲にケトルを回しながら少量のお湯をそっと注ぎ、粉全体に均一にお湯を含ませる。数十秒そのままにして蒸らした後、粉の中心に小さな「の」の字を書くように優しく注いでいく。粉が膨らんで泡が500円玉大になったら注ぐのを止めて、また泡が小さくなったら注ぐという作業を繰り返していく。


1.フィルターに粉を入れたらドリッパーを手で軽く叩き、表面を平らにしておく。
2.お湯を粉の中心から注ぎ、均一に含ませていく。そのまま数十秒蒸らす。
3.中心にお湯を注ぎ、500円玉大の泡になったらストップ。これを数回繰り返す。
4.細かな泡は珈琲のガスで、雑味の元になるため、落ちないようにドリッパーを外す。

Step 7 珈琲カップに注ぎゆっくり味わう

 抽出された珈琲を注ぐ前に、あらかじめ珈琲カップを湯煎し、温めておくことも重要。こうすることで珈琲を注いだときの温度差が少なくなり、味の変化も避けられる。
 一口目では珈琲の香りや味わいを楽しみ、ゆっくり自分のペースで味わっていく。きちんとドリップした珈琲は冷めても美味しく、少々ぬるいぐらいの方が珈琲本来の細かな味わいが感じられやすくなる。ただ徐々に酸化して、香りも抜けていくので、冷めたコーヒーを再加熱することは避けるべきだ。


①②まずは湯煎しカップを温めてから珈琲を注ぐ。③珈琲カップの形状も様々だが、飲み口が狭まったタイプのものは香りが拡散せず長く香りを楽しむことができる。また厚みのあるカップは冷めにくいため、珈琲をじっくりと味わって飲みたいときには最適だ。


END

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