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また来たいと思わせる感動のサービス 日本人を魅了するザ・リッツ・カールトンのもてなし

ISSUED | 2020.09

 

ザ・リッツ・カールトン大阪


歴史・文化・食・自然と、世界に冠たる観光資産を持つ日本。日本古来のもてなしのかたち、西洋の合理的なホスピタリティが融合した独自のハイクオリティなホテル・リゾートが数多く存在することも、観光資産における一つの大きな魅力だ。その代表格が「ザ・リッツ・カールトン」だろう。ホテルとしてのみならず、そのユニークな人材育成や活用のあり方もまた、人々を惹きつけてやまない。いまや、一つの伝説ともなっている「ザ・リッツ・カールトン」のもてなしの極意を紐解いてゆく。
取材・文/朝岡久美子撮影/濱上英翔

世界の企業人をも魅了する成功への鉄則

ザ・リッツ・カールトン流もてなしの哲学

ザ・リッツ・カールトンならではのホスピタリティ術を生みだす最強の法則「ゴールド・スタンダード」。今や、あらゆる業界から注目されている。世界の企業人をも魅了する〝成功への鉄則〞をご紹介しよう。


ホテル王〝セザール・リッツ〞の夢の館

 世界30か国で100軒以上のホテルを運営するザ・リッツ・カールトン。国内には、1997年に開業した大阪を皮切りに、東京、沖縄、京都、そして、今年7月に開業した日光を加え、計5軒のホテル施設がある。

 米国の調査会社J.D.パワーが毎年実施している「日本のホテル宿泊客満足度調査」によると、ザ・リッツ・カールトンは「、客室「」ホテル施設「」料飲部門」「ホテルサービス」の四つの要素すべてにおいてトップ評価を受け、総合評価でもほぼ毎年第一位に輝いている。2016年には調査開始以来の最高得点である896点を獲得し話題となった。

 ザ・リッツ・カールトンはパリの名門「ホテル・リッツ」の創始者セザール・リッツに由来している。19世紀後半、スイスに生まれたセザール・リッツは、15歳からギャルソン(給仕人)として働き、後に〝ホテル王〞と呼ばれるまでになった人物だ。もはやありきたりのもてなしでは飽き足りない当時の王侯貴族や富豪たちの心を読み取るかのように、驚きと感動を瞬時に生みだすリッツの魔法のようなサービスは、上流階級の人々の心を瞬く間に虜にした。

 リッツは、パリで大成功を収めた後、ロンドンに「カールトン・ホテル」をオープン。20世紀初頭には、二都市のホテルの名前を冠した「ザ・リッツ・カールトン・マネジメント・カンパニー」を米国で設立している。これが、ザ・リッツ・カールトンの歴史の始まりだ。

珠玉の鉄則―ゴールド・スタンダード

 20世紀初頭のブランド設立以来、一世紀以上もの歴史を経て、数々の〝伝説〞を生みだし続けて来たザ・リッツ・カールトン。中でも、ホテル愛好家のみならず、世界中の人々を魅了20世紀初頭のブランド設立以来、一世紀以上もの歴史を経て、数々の〝伝説〞を生みだし続けて来たザ・リッツ・カールトン。中でも、ホテル愛好家のみならず、世界中の人々を魅了し続けている一つのストーリーがある。ザ・リッツ・カールトンが誇る「ゴールド・スタンダード」と呼ばれるものだ。

 一見、中高生が必携している校則のような小冊子。ここに謳われているのは、ザ・リッツ・カールトンが理想とする究極の顧客満足や顧客体験を生みだすためのあらゆる行動指針だ。世界中のザ・リッツ・カールトンのスタッフが必携しているこの「クレド・カード」こそが、もう一つの〝リッツ伝説〞を生みだしてきた。 「クレド(信条)」と呼ばれる同社の理念や哲学を筆頭に、「サービスの3ステップ」、「サービス・バリューズ(サービス実践のための具体的行動指針)」など、サービスパーソンとして体得すべき一つひとつの心得がいくつかの項目にわたって具体的に記されている。これらを総称して、ザ・リッツ・カールトンでは、「ゴールド・スタンダード」と呼んでいる。

 ゴールドと呼ばれるにふさわしい〝珠玉〞の鉄則。ザ・リッツ・カールトンにおけるもてなしの基礎は、すべてのこの「ゴールド・スタンダード」の価値によって育まれているのだ。



〝神秘の体験〞を日々、ゲストの心に

 ザ・リッツ・カールトン独自のブランド体験を最も端的に表す言葉として「、リッツ・カールトン・ミスティーク(神秘性)」と呼ばれるものがある。これは、ゲストが滞在中、あらゆるシーンにおいて、想像を超えた〝感動のサプライズ〞に遭遇する喜びを表して〝神秘の体験〞と表現しているのだろう。ザ・リッツ・カールトン流のもてなしにおいては、まず何よりも、スタッフ一人ひとりが「予期せぬ驚きと感動」を、どのようにゲストの心の中に芽生えさせられるかにすべての真価が問われているのだ。

 まさに、それらの思いの一つひとつを実現するための行動規範と価値の基準のすべてが、この「ゴールド・スタンダード」にある。

 ここに記載されているのは、「ゲストの願望やニーズには、相手が口にするものも、されないものもつねにお応えする」、「私は、お客様の問題を自分のものとして受け止め、直ちに解決します」など、ごく普通の事柄だ。しかし、この一つひとつの積み重ねこそが、ザ・リッツ・カールトンにおける成功への鉄則であり、これらを徹底的に身に付け、実践するならば、あらゆる付加価値を伴う最高のサービスが、臨機応変なアクションプランとともに自発的に生みだされてゆくのだという。今や、これら「ザ・リッツ・カールトン流もてなしの哲学」は、ホスピタリティ産業のみならず、人材育成や人材活用の一つのモデルケースとしてあらゆる業種の企業をも魅了している。


ザ・リッツ・カールトンのスタッフもまた「紳士淑女であれ」

 ザ・リッツ・カールトンのホスピタリティの哲学を語るもう一つの美しい鉄則がある。スタッフ一人ひとりが、日々遂行する行動と判断において、「紳士淑女であれ」という思いが貫かれていることだ。ホテルのスタッフは、決して単なるサーヴァント(召使い)ではなく、紳士淑女の矜持を持って格のあるサービスを提供することにこそ価値が見出される。そして、従業員同士も互いを紳士淑女として尊重し合うことで、日々、折目正しいホスピタリティの心が育まれてゆくのだ。


魔術師のようなもてなしのプロ集団

 ザ・リッツ・カールトンには、おのずと資質と熱意にあふれる人材が集う。それは、恐らく偶然ではないだろう。彼らは、サービスパーソンとしての矜持と信念、そして、ザ・リッツ・カールトンの誇り高きメンバーとしての品格を持って日々の業務に邁進する。基礎を徹底的に学んだ才能あふれる俳優・女優たちは日々の舞台で大きく羽ばたいてゆく。

 魔術師のようなもてなしのプロたちの夢と熱き思い――。これこそが、世界中に広がるザ・リッツ・カールトンの大いなる資産であり、人々を魅了し続けるパワーの源なのだ。

  • 日々、ゲストにとっての“神秘の体験”が、ザ・リッツ・カールトンのもてなしの真骨頂だ。

  • ゴールド・スタンダードのすべてが記された「クレド・カード」。

お問い合わせ・ご予約

ザ・リッツ・カールトン・ホテル・カンパニー
東京予約センターTEL:0120-853-201



ザ・リッツ・カールトン大阪

日本におけるザ・リッツ・カールトン第一号。伝統的なジョージアンスタイルが、古きよき貴族の邸宅を彷彿とさせる。

住所:大阪市北区梅田2-5-25
TEL:06-6343-7000
URL:https://www.ritz-carlton.co.jp/



ザ・リッツ・カールトン東京

東京ミッドタウン45階から53階に位置するホテルフロアからは、大都会の摩天楼を一望できる。

住所:東京都港区赤坂9-7-1東京ミッドタウン
TEL:03-3423-8000
URL:http://www.ritz-carlton.jp/



ザ・リッツ・カールトン沖縄

本島で最も美しいといわれる名護湾を臨むロケーション。風と光を感じる開放的な空間が非日常感へと誘う。

住所:沖縄県名護市喜瀬1343-1
TEL:0980-43-5555
URL:https://www.ritzcarlton.com/jp/hotels/japan/okinawa



ザ・リッツ・カールトン京都

鴨川の畔、東山三十六峰を一望するアーバン・ラグジュアリーリゾート。祇園や河原町、先斗町の至近距離に位置し、古都の静と動が感じられる。

住所:京都市中京区鴨川二条大橋畔
TEL:075-746-5555
URL:https://www.ritzcarlton-kyoto.jp/


奥日光の歴史と文化に触れる湖畔の邸宅

ザ・リッツ・カールトン日光が開業

今年7月、新たに開業したザ・リッツ・カールトン日光。ザ・リッツ・カールトン国内5軒目の施設は、ブランド初の温泉を有する本格的リゾート型施設だ。奥日光の神々しい自然の懐に抱かれた湖畔の宿。この魅力あふれる素顔をご紹介しよう。


奥日光の大地の恵みに抱かれた美しき邸宅

 日光市内から車で約30分。いろは坂を超えると、シックなヨーロピアンスタイルのたたずまいが見えてくる。奥日光のシンボル、男体山を望む最高のロケーション。ザ・リッツ・カールトン日光は、中禅寺湖のほとり、壮大な国立公園内にたたずむ。

 外観の優美なたたずまいと打って変わって、堅固な花崗岩で覆われたゲートのようなエントランス。賓客を迎えるにふさわしい重厚感と格式を誇る。ザ・リッツ・カールトン日光の名が刻まれた真新しい白い絨毯が、折り目正しく訪れるゲストを迎え入れてくれる。


自然と一体化する真の贅沢を味わう

 ――日光の自然と文化、スピリチュアリティに触れる滞在――ザ・リッツ・カールトンブランド国内軒目のコンセプトは、歴史ある世界遺産の街の懐にたたずむ奥日光の神々しい自然の営みと歴史を五感で感じるところにある。

 館内のあちらこちらにたたずむユニークなオブジェ。個性的な造形と素材の質感が、芸術という枠を超越し、驚くほどのパワーを醸しだす。どの作品も、それぞれのアーティストが奥日光の雄大な自然から得たインスピレーションをもとに創造されたものだ。


新たな国際的リゾートを目指して

 ザ・リッツ・カールトン日光のもう一つの魅力は、この地が歩んできた華麗なる歴史の軌跡だ。明治時代中頃より、軽井沢と並んで海外の外交官たちの避暑地として知られた中禅寺湖畔。ザ・リッツ・カールトン日光は、かつてのVIPたちの社交場であり、華やかなりし外交の舞台でもあった「レーキサイドホテル」の跡地にたたずむ。ウェスタンダイニング「レークハウス」には、この伝説のホテルの名が冠されており、かつてこの地を賑わせた美しき社交場へのオマージュが込められている。

 「オールドニューでありたい」と語る総支配人の細谷真規氏。この地の歴史を心に刻み、過去の一つひとつの記憶に想いを馳せながらも、つねに進化し続け、10年後にも20年後にも新しくありたい、という思いがあるのだという。

 「日光が、かつてのように国際的なリゾート地としての地位を再び取り戻す――。それは、この地に生きる人々の長年の夢でもありました。開業スタッフの50%も若い世代を中心にローカルのスタッフで構成されています。〝生まれ故郷を盛り上げたい〞という彼ら一人ひとりの熱い思いに接し、私自身、大変心を打たれました。将来、ザ・リッツ・カールトンの理念や哲学をさらに追求して、彼らのような人材にこのホテルを引っ張ってゆくリーダーに育っていって欲しいと思っています」

 地域と施設が一体となってともに高め合い、大いなる力を生みだしてゆく。そして、その幸せのエネルギーを訪れるゲストに共有する喜び――そんな、幸せのサイクルもまた、ザ・リッツ・カールトンが描きだす理想のかたちだ。

 歴史ある奥日光の地に、新たな軌跡を刻み始めたザ・リッツ・カールトン日光。古き良き時代の美しき面影を偲びつつ、これからの時代に相応しい集いの場として、新たなるリゾートのかたちを描きだしてゆくに違いない。


ザ・リッツ・カールトン日光
住所:栃木県日光市中宮祠2482
TEL:0288-25-6666
URL:www.ritzcarlton.com/jp/nikko

PROFILE

ザ・リッツ・カールトン総支配人
細谷 真規 Masanori Hosoya

ザ・リッツ・カールトン・アバマ、ホテル・アーツ・バルセロナ等を経て、ザ・リッツ・カールトン東京ではホテルマネージャーを務める。現職に就任前はブルガリ東京・大阪レストラン「ブルガリイル・リストランテルカ・ファンティン」の総支配人を務めた。ラグジュアリーホスピタリティ業界で18年以上の経験を持つ。

  • 重厚感と格式にあふれるエントランス。

  • ゲストが旅路に着く際、安全を願って鐘が鳴らされる。



中禅寺湖と男体山を一望できる“中禅寺湖ビュースイート”。極限まで削ぎ落されたミニマリスティックな美が、日光という地に根差したスピリチュアリティをも感じさせる。窓際には、自然を五感で感じる特別なひとときを過ごして欲しいという思いから、“縁側”と呼ばれる空間が設えられている。

  • 「奥日光の自然と調和する邸宅」という空間コンセプトを感じさせる情景。

  • 「ザ・バー」では、主に国内外の厳選されたウィスキーを楽しめる。


インテリアデザインは、オーストラリアのメルボルンにあるデザインスタジオLAYAN Architects + Designersが手掛けている。自然の美しさにゆったりと浸れるエレガントなたたずまいが、寛ぎのひとときを与えてくれる。

  • 栃木の大地の恵みを感じさせる朝食のお重仕立て。

  • ザ・リッツ・カールトン初の本格的温泉施設。日光湯元温泉からの源泉を引く硫黄泉は美肌効果があるという。露天風呂からは、奥日光の自然を体現する火山岩や高山植物、苔を施した庭園を楽しめる。

  • 旅路の安全と再会への思いを込めてチェックアウト時に渡されるお守り。こんなところにもおもてなしの心があふれている。


END

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