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【インタビュー】上原ひろみ

ISSUED | 2019.10

ピアノが紡ぐめくるめく色彩
40歳という節目の年を迎えて、渾身のソロアルバムを発表した上原ひろみさん。
世界を駆けるピアニストに、
ピアニスト人生のこれまでとこれからを語ってもらった。

 23歳で世界デビューを果たすや、超絶技巧と圧倒的な表現力で国内外のジャズシーンを席巻してきた上原ひろみさんが、この秋10年ぶりのソロアルバムをリリースした。40歳を迎え「30代の音を記録しておきたい」と紡いだアルバムのタイトルは『Spectrum』。いくつもの色が重なり合ってまばゆく輝く光のスペクトラムのように、聴く者をめくるめく色彩の世界へと誘っていく。
「年齢を経て表現力が豊かになったと思います。それは音色が増えたということ。20代の音を記録した前ソロアルバム『プレイス・トゥ・ビー』から10年たって、私の中のパレットにたくさんの音色が増えました。昔から音楽と色を密接に感じていたんです。子供の頃に習っていたピアノの先生が、激しく弾くところは赤、小さく弾くところは青という感じで、楽譜に色を塗って教えてくれたのでその影響かもしれません。今回のアルバム作りはその逆で、色のイメージから曲を作っていきました。ピアノという楽器の持つ可能性や面白さが伝わるといいなと思っています」 
 ジャズの醍醐味の一つである即興性は上原さんが得意とするところだが、海外で活躍する極意も「即興力」という。
 気持ちをストレートに表現した歌詞も魅力だ。3曲目に入っている『ワンツースリー天国』は、「今日までの自分に満足できない。なんて最高なんだ。くよくよすんな」と始まる。
「国ごとに掟や習慣があって、海外ではびっくりするようなことが起こるので、即興力が鍛えられました。ライブをはじめ、予定通りにはいかないこともあるので、譲れるところと譲れないところを区別して、譲れるところはどんどん譲って臨機応変にやっていく。自分がプレゼンするものへの確固たる頑固さと、それ以外のものに対する柔軟性の両方が備わっていないと海外ではやっていけません」
 人種や言葉の壁、国境も軽やかに飛び越えて彼女が向かう未来はいかに?
「最近、健康があってこその仕事だと実感するようになりました。ツアーが始まると食生活が不規則になるし、長時間の移動もカラダにくるので、今まで以上に健康に気を付けてバリバリ仕事をしたいです。私は、自分が今いるところで満足したことはないんです。ピアノが大好きだから、常に学ぶことにハングリーでありたい。生きているかぎり挑戦し続けたいです」
 まだまだ伸びしろは無限大。40歳になったばかりの上原さんが奏でる“今だけの音色”をしっかりと耳に焼き付けておこう。

Photographs_HISHO HAMAGAMI. Text_YUKI KATORI.
Hair&Make_SEIJI KAMIKAWA. Costume_MIHARAYASUHIRO.


PROFILE

上原 ひろみ

1979年生まれ、静岡県出身。6歳からピアノを始め、17歳でチック・コリアと共演。1999年にボストンのバークリー音楽院に入学。在学中にジャズの名門テラークと契約し、2003年にアルバム『Another Mind』で世界デビュー。2011年の『スタンリー・クラーク・バンド・フィーチャリング上原ひろみ』で第53回グラミー賞「ベスト・コンテンポラリー・ジャズ・アルバム」を受賞するなど、その功績は国内外で高く評価され、世界各国で活躍している。

INFORMATION

キャリア最高傑作となる待望のソロアルバム&ツアー
上原ひろみ『Spectrum』
発売中
■ 初回限定盤(SHM-CD 2枚組)3,300円(税別)
■ 通常盤(SHM-CD)2,600円(税別)
■ 高音質盤(SA-CD 〜SHM仕様〜)4,000円(税別)

上原ひろみ JAPAN TOUR 2019 “SPECTRUM”
11月17日(日)の東京 サントリーホールを皮切りに全国22カ所で開催。
公演チケット発売中


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