名古屋グルメバトン

名古屋グルメバトン VOL.1

仏蘭西料理 壺中天 | 新栄

ISSUED | 2020.04

素材の力と好奇心から生まれる華やぎのフランス料理

シェフからシェフへとバトンを渡す「グルメバトン」の名古屋版がいよいよスタート。第1回を飾るのは、フレンチの名店「壺中天」。美術館の地下空間にふさわしい、アートな皿に心を奪われるはずだ。

PROFILE

 
上井 克輔さん

名古屋市出身。子どもの頃から家庭料理全集6冊を制覇するほど料理が得意で飲食業界へ。岐阜「ラーモニー・ドゥ・ラ・ルミエール」の山村幸比古シェフの料理に衝撃を受けて師事。1996年からヨーロッパで修業後、2001年に新栄で「壺中天」を開く。2010年にマザックアートプラザ地下に移転。2019年には豊田市美術館に「味遊是(ル・ミュゼ)」もオープン。

 新栄町の駅に直結するマザックアートプラザの地下フロア。ごく小さな店名を目印にドアを開けると、吹抜けの驚くべき空間が広がる。ここ「壺中天」は名古屋で真っ先に名が挙がるフレンチの名店だ。

 オーナーシェフの上井さんは、伝統の枠にはまらない異色の存在。巨匠・山村幸比古シェフに師事し、イタリアやフランスでも腕を磨いてきた。帰国後は新栄の小さな店を借り、仏蘭西料理「壺中天」を開く。「中国の故事から取った店名はヨーロッパの伝統への反骨心から。欲を捨て、自分がおいしいと思うものをストレートに出す、と決めました」。例えばジビエが日本でブームになる前から狩猟に同行するほど、美味への探究心は尽きなかった。

食通たちの隠れ家であった「壺中天」は現在の地への移転とともに、王道のフランス料理店として、よりその名を馳せるようになる。近年のスペシャリテとして名高い「オマール海老とウニのコンソメジュレ」は、シンプルながらシェフの真髄が分かる前菜。

「コンソメは必ず、当日朝に挽いた雌和牛のすね肉を使い、余分な鉄分を抑えています。料理も器も同じで、大切にしているのは素材の力。質がいいと体にエネルギーがしみわたります」

 素材へのこだわりは、春の逸品にも。カニのラビオリには味の濃いイタリア産グリーンピースのサヤを使ってソースをつくり、柑橘のジュレをわずかに添えた。レモン丸ごとのようなデザートも、果実の鮮烈な酸味が広がり、ハッとさせられる。「フランス料理は酸味が重要です。額縁のように料理の輪郭を際立たせます」と、イメージは常に明快だ。

 フレンチの重鎮は今、後進シェフとのコラボレーションを楽しんでいる。継承と新風が織りなす美しい世界を堪能したい。

美術館の展覧会にちなんだメニューを発案するなど、食とアートのコラボにも積極的に取り組んでいる。

臨場感が伝わる旧店舗にあったオープンキッチンの面影を残す窓。

RESTAURANT INFO 店舗情報

  • 仏蘭西料理 壺中天(ふらんすりょうり こちゅうてん/新栄)

    住所: 名古屋市東区葵1-19-30 マザックアートプラザ地下2階▶︎MAP
    電話番号: 052-508-8850
    営業時間: 11:45~15:00(L.O.13:00) 18:00~23:00(L.O. 20:30)
    休業日: 月曜日、第3・5日曜日 不定休あり
 

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