「人事戦略が企業の未来を変える」求人・採用からその後の人材活用まで、今後求められる「企業の人事戦略」についてスポットをあてていく

ISSUED | 2018.03

年々困難さを増す採用環境に、新卒採用も売り手市場の昨今。企業はいかにしてこの時代を乗り越え、さらなる成長をはかるべきか。求人・採用からその後の人材活用まで、今後求められる「企業の人事戦略」についてスポットをあてていく。

人材獲得競争に負けない積極的人事戦略
[株式会社ビズリーチ]執行役員 事業本部長 酒井哲也氏

労働力人口が減少し、グローバル化による産業構造が大きく変化する中で、企業が優秀な人材を確保することが難しくなっている。 従来型の待ちの人材獲得戦略は通用しない。 待っていても人は来ない時代に、企業の人事戦略はどうあるべきかを、企業と人材を支える複数事業を展開する株式会社ビズリーチの執行役員、ビズリーチ事業本部長の酒井哲也氏に聞いた。

年々困難さを増している企業の採用環境

 総務省によると、15〜64歳の生産年齢人口は2013年に8千万人を割り込んだ。その一方で、65歳以上の高齢者人口比率はすでに25%を超えている。このような急速な人口減少、高齢化の進行は、企業の人材採用活動にも多大なる影響を与えている。 「労働人口の絶対的減少に加え、高度成長期からバブル崩壊を経て、労働や就業に対する働き手の意識がかなり変化していることも見逃せません。企業が必要とする人材を確保することは、量的にも質的にも困難さを増してきています」

 さらに、グローバル化などの影響による産業構造の変化から、企業の中には生き残り策として業態の変化を迫られているところもある。そのような企業では、どのような人材をこれから求めていったらいいのか、という根本的な段階で苦慮していることも多い。 「近年の有効求人倍率の上昇、失業率の低下は望ましいことですが、企業が本当に必要とする優秀な人材を得ているか、そして求職者が本当に望んでいる職種に就けているかどうかは、こういった数値からだけでは知ることができません。企業の人材獲得戦略は、今まさに大きく変わらなければならない時代を迎えていると言っていいでしょう」

 企業が真に必要とする優秀な人材はいつの時代も限られているのだが、絶対的な労働人口の減少と時代の変化によって、人材獲得競争は日々激しさを増しているのである。 「これまで日本は、製造業を中心に大きく発展してきました。家電メーカーなら、既存の商流の中でQCDを改善することが重要でした。したがって人材も、活躍している社員の逆算で採用すればよかったのですが、今は物づくりだけでは難しい時代になっています。Webに強いとか、インターネットに強いとか、これまでとはまったく違ったゾーンからの人材を採用していかなければやっていけなくなっています。こういう事情が、採用環境に大きな変化をもたらしているのだと思います」

今の時代にマッチした人材獲得戦略のあるべき姿

 労働人口が減少し、産業構造の変化によって業態変化を迫られるなかで、企業が優秀な人材を獲得するために有効な戦略とはいったい何か。 「企業が業態を変化していっても、どういう人を採用すればビジネスが拡大していくか、ということを考える必要があります。そしてこれまでのように、ハローワークや就職・転職サイトに登録して応募を待つ、という受け身の姿勢ではもう間に合いません。どういう能力・スキルを持った人が必要かをしっかりと考え、企業自体が採れる手段を主体的に検討し、自らが積極的に欲しい人材を見つけにいくという、攻めの人材獲得戦略が必要なのです」  このような積極的な採用活動こそが、『ダイレクト・リクルーティング』である。近年、企業自体が主体的・能動的に採用を行うこの活動に取り組む企業が増えているという。

 優秀な人材があらゆるところから引っ張りだこになる今は、いわば『採用競争時代』。このような環境下では、企業自体が求職サイトのデータベースにアクセスして必要な人材を探すほか、SNSを利用した直接的なアプローチ、イベントによるハンティングなどで積極的に求人活動をしなければ人材は獲得できない。企業が自らのスタンスを変えなければ、もはや優秀な人材採用ができない時代になりつつあるのだ。

  昔ながらの重厚長大産業であれば、ITへの転換であったり、海外に事業を展開したりする場合でも、社員は就職した会社で自分のスキルを磨けばよかったので、採用は新卒者で問題なかった。しかし今のような時代にあっては、内部のリソースではどうしても人材が足らず、異業種や同業他社からの転職者を獲得することも必要になってくる。

 「優秀な人は現職に満足している人が意外に多いので、企業で働いている人の8割は転職を意識していないし、希望していません。これらの人を私たちの業界では、転職の潜在層といっています。実はこの潜在層の中には他の企業が本当に欲しいと思う優秀な人材がいる可能性が高いのですが、採用市場にはなかなか現れてきません。しかしこの潜在層の人も、良い企業と出会えば転職を検討するはずですから、何とかアプローチする必要があり ます。社員のつながりや縁故をたどって説得するのも一つの方法でしょう。私たちの社員も割ほどは社員紹介を通じての転職者です。とにかく、企業に今必要なのは、良い人材を採りに行かなくていけない、という強い意志だと思います」

“今後は、時代の変化を先読みできるプロ・リクルーターが欠かせない存在に”

これからの人材獲得の鍵は『プロ・リクルーター』

 人口減少、自然環境や政治情勢の変化ばかりでなく、今は情報技術の革新によっても、ビジネス環境は大きく変化してしまう。企業は常に、こうした変化に適切に対応し乗り切らなければ生き残れないのである。では今後、企業の採用担当はどう対応していったらいいのだろうか。「時代の変化をしっかり先読み出来て、企業の事業戦略を理解したうえで採用ニーズを読み、常に採用マーケットの情報を分析しながら、採用のプロセス全体を担うこと。これからの時代は、それらが出来る専門職が必要だと思います。私たちはこの専門職を『プロ・リクルーター』と呼んでいますが、こういう専門の採用・人事担当者が確保できなければ、多くの企業は今後やっていけない時代になっていくのではないでしょうか」 海外の主要企業や、採用戦略がうまくいっている外資系企業では、こうしたプロのリクルーターを配置することがすでに一般的になっている。

 「日本の企業で採用を担当するのは人事部です。しかし、多くの企業における人事部は、採用だけではなく、教育から労務まで受け持つマルチなロールになっていることが普通です。今までは新卒採用を中心にした採用でしたから、採用の専門職の必要性がなかったのかもしれませんが、これからの変化の激しい時代を考えると、中途採用、転職者の採用が絶対に必要になりますので、専門的な知識・テクニックを持った『プロ・リクルーター』は欠かせない存在になると思います」

  近い将来、良い人材を採用するために、優秀な『プロ・リクルーター』の取り合いが起こる日が来るのかもしれない。

採用後まで考慮したトータルな人事戦略へ

 人材獲得が難しくなっている状況下で注意しなければならないのは、働き手の「働く価値観」も多様化していることである。採用後の人材をどのように育成し、どう活用していくか、というところまでをしっかり考えておく必要がある。

 「人材獲得は採用を決めたところがゴールではありません。採用した人が活躍して事業に成果をもたらさなければ、採用する意味はないのです。人材と企業をつなぐ私たちとしては、採用の成功にとどまらず、採用後の人材活用についても支援していかなければならないと強く感じています」

 積極的な攻めの人材獲得戦略と、採用後の人材活用。トータルな人事戦略が企業の成長につながると言えるだろう。

  • 株式会社ビズリーチ
    2009年の創業以来、HR テック(HR ×テクノロジー)領域で事業を展開し、時代にあった新しい「働き方」を創造。即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」をはじめ、これまでに17のサービスを立ち上げ、各サービスを通じて社会課題の解決に取り組んでいる。
    東京都渋谷区渋谷2-15-1各線渋谷駅より徒歩4分
    www.bizreach.co.jp/


積極的な採用活動で課題を克服した企業。いま、そしてこれからの企業にとって確実に必要となる「ダイレクト・リクルーティング」。実際にはどのような取り組みが成され、その成果はどれほどなのか。ここでは、積極的・戦略的な採用の取り組みにより、自社の課題を解決、採用を成功させた2社を紹介する。


自社・地域の魅力を伝える説明会&バスツアーが成功の鍵に
[NSGグループ]人事政策本部 本部長 亀田朗彦氏

私たちは地方都市新潟の企業ですが、県内・近郊の方だけを採用したいとは考えていません。日本全国から、優秀かつ志を持った方にNSGの魅力と理念を理解していただき、一緒に働いてもらいたいと思っていました。そのためには、首都圏の企業にも負けない採用活動をする必要がありました。

 どんなに強い動機付けができ、応募者の心を掴めたとしても、首都圏の応募者には「年収」「移住」「新潟の冬」といった壁が立ちはだかります。そこで考えたのが、新潟での説明会と、新潟の良さを伝えるバスツアーでした。

 説明会では、グループの歴史と理念、新潟の住みやすさ・働く環境、首都圏と新潟の様々な違いを、数字も示しながら理解してもらいます。その後のバスツアーで新潟という街を知ってもらうことで、採用後の生活の実態がイメージしやすくなるよう工夫しました。これにより応募者の不安が事前に払拭され、内定辞退の抑止に繋がったと感じています。

 こうして、2018年月までの年間で5500件の応募を獲得、2000名とお会いできました。そこから実際に入社いただいた方は150名にのぼります。私たちから企業の魅力を伝えようという積極的な動きができたからこそ、それらが相乗的に働き効果をもたらしたと実感しています。

  • NSGグループ
    1976年11月に民間教育機関としてスタートし、「教育」「医療・福祉」の分野を核に様々な事業を展開。現在は53法人を抱えるグループとして地域社会を支えている。

プロ・リクルーターの導入で「攻めの採用」へと転換
[株式会社カーポートマルゼン]取締役副社長 兼 経営企画本部 本部長 米岡功二氏(左)/管理本部 人事部 幸喜真弓氏(右)

オンラインストアでの販売が順調な中、人材の不足が課題でした。企業として更に成長を遂げるためには、経営幹部候補となる人材やバックオフィスを支える人材が必要だったのです。キャリア採用は以前から取り組んでいましたが、優秀な人材の採用には苦戦していました。求人媒体の入稿ルールにより希望する時期に採用ができないことも…。こうした状況を変えるため決断したのが、プロ・リクルーター導入による、「攻めの採用」への転換です。彼らは、こちらが欲しい人材の要件をリクエストすると、それに合致する人材を的確に紹介してくれます。求める人材と違った場合は、再度擦り合わせを行うことで、より要件に合う優秀な人材が発掘できました。

プロ・リクルーターの導入で効果が出たことはほかにもあります。スカウト文面作成のテクニックを学んでからは、返信率が向上。更に、「レスポンスは迅速に」という指導のもと連絡をなるべく早くするよう徹底したところ、内定辞退もほとんどなくなりました。結果、4ヶ月間で人事総務2名、SE2名の採用に成功!プロ・リクルーターという専門家の力を取り入れることで、従来の方法では出会えなかった優秀な人材に出会え、人事にもより積極的・戦略的な取り組みが必要だと痛感しました。

  • 株式会社カーポートマルゼン
    乗用車用タイヤ、アルミホイール、自動車用品の小売業。オンラインストアを通じ、全国規模・24時間の販売体制を可能にしている。キャッチーなテレビCMもおなじみ。

戦略人事のゴールは、「採用」のその先に。採用後の人材を100%活用するソリューション。「戦略人事」は、「いい人材が獲得できたら終わり」ではない。採用後の人材を活用・管理し、成果を上げているかチェックしていくことも重要だ。

ビズリーチは2016年、採用管理から採用後の人材活用も支援するクラウドサービス「HRMOS(ハーモス)」をリリース。リリース以降多くの企業が導入し、「戦略人事」を実現してきているというこのサービスに注目したい。


企業の人材活用をサポートする [戦略人事クラウドHRMOS]


これまでの採用・人事は属人的に行われてきた部分が大きい。培った経験やノウハウに基づくやり方が悪いわけではないが、企業として判断をする上では、定性的なデータの存在は有用だろう。

 「HRMOS」は、そのような属人的な部分を数値化・可視化し管理することができる。求人媒体や採用担当者などの採用時ステータスはもちろん、採用後の成果、個人のミッション、プロジェクトごとの評価すべてを測定・記録する。
これにより、採用部門と人事部門のデータ統合が叶うのもメリットと言えるだろう。採用と人事の間で情報が紐づいていれば、採用から成果を上げるまでの流れを把握できる。つまり、どこから・誰が採用した・どんな人が活躍しているかというデータを、より効果的な採用へ活かすことができるのだ。採用後の人材管理は次の採用に活き、採用データが人材管理につながる…これこそが「獲得したら終わり」ではない理由だろう。「HRMOS」は今後、「評価管理」「人材開発」「福利厚生」といったサービスも展開していく予定だという。この戦略人事クラウドがこの先も、個人が活躍し企業が成長するための一助となることを期待したい。



戦略人事クラウドHRMOS



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