伝統を受け継ぎ後世に残す 継ぎ人 匠

継ぎ人 その26

日本のおいしい海苔文化を守り伝える伝道師

ISSUED | 2019.07

株式会社山本海苔店 専務取締役 山本貴大さん

  • 伝統ジャンル | 海苔 継 承 歴 | 7代目
  • 1983年生まれ。慶應義塾大学法学部を卒業後、東京三菱銀行(現三菱UFJ銀行)に入行。2008年に山本海苔店に入社し、仕入部や海外事業室等を経て、現在専務取締役営業本部長兼管理本部長として活躍中。

日本のおいしい海苔文化を守り伝える伝道師

 小学生の頃から山本海苔店を継ぐと覚悟していた山本貴大さん。学校でクラス委員やサッカー部のキャプテンを経験したのも、大学卒業後、銀行に進んだのも「いつか山本海苔店のリーダーになるであろうときのため」だった。そして2008年、山本海苔店に入社。しかし時代は「失われた20年」の真っ只中。百貨店販売を主軸に据えてきた売上は、不況とともに減少する一方だった。

そこで山本さんは販路の拡大を模索。海外におむすび店をオープンさせたり、ネット通販を強化したり、高級スーパーやギフトショップへも進出した。しかし、これは百貨店ありきとする古参の社員にとっては、受け入れがたいことだった。山本さんは社内を一つにすべく、社員全員で経営理念を作成した。

「みんなの言葉を並べて出来たのは『我々は世界一の海苔屋として誇りを持ち、より多くのお客様によりおいしい海苔を中心とした日本文化を永きに亘って楽しんでいただくことで社会に貢献します』というもの。武骨で格好悪いけど、より多くの人においしい海苔を届けたいという創業当時から変わらないシンプルな想いに回帰できました」

 ところで「おいしい海苔」とはどういうものかご存知だろうか。海苔は短いうちに摘み採ったもの程、味も香りも見た目の艶も良い。しかし、短いうちに摘み採ることは収穫量が減ることで、海苔漁師にとってはリスクだ。

「漁師さんに安心してもらうためには、僕らは高値で買わせていただかなければなりません。虚礼廃止などによって、ギフト用の海苔市場は年々縮小していますので、勇気がいることですが、これをやめたら、日本は質の悪い海苔ばかりになってしまいます。最近は僕たちが日本のおいしい海苔文化を守っているとさえ感じています(笑)」

  • 海苔ひとすじ

  • 匠の言葉

    「海苔ひとすじ」
    「山本海苔店は嘉永2年創業。海苔ひとすじに170年商売を続けています」と山本さん。そしていずれ7代目社長となる山本さんの人生も海苔ひとすじ。山本海苔店のリーダーとしてどうあるべきかを基準に人生を選択してきた。

店舗情報

山本海苔店 日本橋本店

  • 住所 中央区日本橋室町1-6-3▶︎MAP
    電話番号 0120-23-6222(フリーダイヤル)
    営業時間 平日 9:30~18:00
    年中無休※元日除く

    山本海苔店を代表するロングセラー「梅の花」。創業の頃、海苔は梅の花の咲く寒中に採れたことと梅の花が海苔と同じように香りを尊ぶものであることから、山本海苔店にとって梅は特別な花。商品名はもちろん、創業当時から使用されているロゴマークにも「梅」という文字が使われている。

    海苔の可能性を引き出そうと開発された具付のり「一藻百味」は酒のあてにぴったり。

    旧社屋の店内にも掲げられていた看板。書は明治から昭和にかけて活躍した女性書家、諸井華畦(もろいかけい)によるもの。

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