伝統を受け継ぎ後世に残す 継ぎ人 匠

継ぎ人 その六

類まれな審美眼で食の世界に新たな価値を生み出す芸術家

ISSUED | 2017.09

株式会社柿安本店 代表取締役社長 赤塚 保正さん

  • 伝統ジャンル | 松阪牛と料亭 継承歴 | 6代
  • 1963年三重県桑名市に生まれる。10歳の頃、「柿安本店」の関東圏進出のため家族で上京。慶応大学卒業後、ニューヨークに留学するが、伯父にあたる4代目に呼び戻され、株式会社柿安本店入社。現場を経験後、2006年6代目社長に就任。

類まれな審美眼で食の世界に新たな価値を生み出す芸術家

 父は根っからの商売人。母も店に立っていた。幼少期に勉強しろと言われたことはない。「学校の勉強をするなら、世の中の勉強をしろ、という方針で。両親は四六時中仕事をしていたので、家族団らんもなく。大学卒業後は自動的に柿安本店で働く、そんな人生は嫌だという思いもあり、海外に出るという選択をしました。もちろん父は大反対。父から言われたのは、「2年だけ行ってこい、その代わり勉強はするな」。海外で自由にできると思いきや、3ヶ月に1回、両親が会いに来るんです。これがまさに抜き打ちテスト。両親が指定したホテルやレストランを下見しておかないとあれこれ 言われる。これも父の帝王学だったのでしょう」お客様の気持ちが分からないのに、お客様の気持ちに寄り添う仕事はできない。海外に行くなら一流のものを見て来い、という先代の教えだった。「一流の空間や空気感をお客様に提供する。それが料亭柿安のこだわりです。会社は社員がいてこそ成立する。しかし経営者は、最後は自分一人になってもやっていく、という気概がないと、会社は守れないし、経営できないと思っています」

 〝一代一事業"。社長在籍中に将来に繋がる事業を一つは作り、それを磨く。4代目は店舗を全国展開し、先代はデパ地下 の惣菜事業をスタート。6代目である赤塚さんは柿安本店の事業に「和菓子」の領域を加えた。「社長になった初めの5年間は貴重な経験となりました。2010年は宮崎口蹄疫、翌年は東日本大震災。当社の主軸となる和牛に多大な影響を及ぼしました。そのおかげで社長として、会社として強くなりました」

 赤塚さんの挑戦はまだまだ終わらない。昨年、思い入れのある銀座に、柿安の名をつけない松阪牛をメインとした料亭『銀座別邸』をオープンした。「当社の145年の伝統は、人がやっていないことをすること。東京五輪までにまた新しいことをやります。乞うご期待!」

  • 至誠一貫 赤塚保正

  • 匠の言葉

    「至誠一貫」
    人として、経営者として誠実であること。中国の孟子の語であり、真心をもって一生を生きていくという意味である。

店舗情報

銀座別邸

  • 創業145年の歴史を誇る「肉の老舗 柿安」が、長年に亘り培ってきた“おいしさ”と“おもてなし”へのこだわりを結集した柿安最高峰となる旗艦店。お肉とともに料理人が厳選した素材を用いた懐石コースを楽しめる。

    全5室の個室スタイル。匠の技を結集した伝統と革新が同居する贅を尽くした和の空間だ。

  • 住所 非公開
    電話番号 0120-60-1129
    営業時間 12:00~13:30(L.O.)
    18:00~22:00
    不定休
    運営会社 株式会社柿安本店〈東京本部〉
    品川区西五反田 8-1-14(最勝ビル)   ▶︎MAP
    03-5759-0760(代)
    http://www.kakiyasuhonten.co.jp/

    銀座別邸でしか味わえない、「柿安 松阪牛(1%の奇跡)」をメインにした懐石料理。
    右:年間5000頭ほど出荷される松阪牛のうち“三重県生まれ、三重県育ち”のA5等級は50頭ほど。まさしく「1%」。
    左:要望に応じて、「すき焼」「炭火あみ焼」「鉄板焼」で提供。

    柿安オリジナルすき焼鍋。“マイ鍋”をキープすることもできる。

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