伝統を受け継ぎ後世に残す 継ぎ人 匠

継ぎ人 その十三

老舗料亭を守るため現場で生きる若き継ぎ人夫婦

ISSUED | 2018.05

川魚料亭 川甚 九代目/若女将 天宮純也/麻耶さん

  • 伝統ジャンル | 川魚料理 継承歴 | 九代目
  • 1980年東京生まれ。中央大学大学院にてマーケティングを研究。2009年より母親の実家である川甚を継ぐために家業へ。現在、若女将・麻耶さんと二人三脚で継ぎ人としての道を歩んでいる。

老舗料亭を守るため現場で生きる若き継ぎ人夫婦

 いらっしゃいませ! ありがとうございました! 従業員たちの気持ちの良い挨拶が聞こえてくる。その中で誰よりも早くお客様をお迎えしている若旦那が、天宮純也さんだ。大学院で最先端のマーケティングの研究をしていたという彼が、なぜ老舗料亭という世界に飛び込んだのだろうか。

 「子供のころから店が遊び場でしたから、働くことには抵抗はなかったですよ。1年目は朝から夕方までフロントに立ちながら店の様子を見ていましたが、良くも悪くも昔のまま。ただ、子供の頃に見ていた華やかな料亭の姿はなく、時代に合わせて変えていかないといけないな、と感じました」

 従業員のシフトの見直し、営業時間の変更などの経営的な改革や、お年寄りも使いやすいように椅子とテーブルを備えた座敷を設けるなどお客様のための改善を行った。その傍ら、自らは自転車で近所にチラシ配り。 常に現場に立ち、従業員の目線でお客様と向き合う。そんな姿に一目惚れしてしまったのが、若女将の麻耶さんだ。

 「父の同伴で川甚にお邪魔した時、純也さんの働く姿をみて一目惚れしてしまって。後で聞いたら父も一目惚れしたというから驚きました。実家が煎餅屋を営んでいたのもあり、いつか女将になりたいという思いがありました。凛としながらも、お店に一歩入れば温かい雰囲気が感じられる。また来たくなるような心地良いおもてなしができるお店にしたいですね」

 現在は人形町の濱田家で女将修行を積んでいる麻耶さん。女将は料亭の顔。そんなプレッシャーすら楽しんでいる頼もしさを感じる。

 今年7月3日の麻耶さんの誕生日には、麻耶さんも正式に川甚に入る。老舗を新しい形で守っていく若旦那夫婦の奮闘を、お店に訪問してぜひ応援してほしい!

  • 継続

  • 匠の言葉

    「継続」
    人生の大切なシーンをより素敵に過ごしていただけるように、感謝の思いを積み重ね、紡いでいく。特別な日に訪れる場所だからこそ、いつも変わらずあり続けることが大切なのだ。

店舗情報

川魚料亭 川甚

  • 住所 葛飾区柴又7-19-14▶︎MAP
    電話番号 03-3657-5151
    営業時間 平日:昼食11時~15時、夕食17時~21時(要予約)
    土日祝:11時~21時(17時以降要予約)
    定休日 水曜日
    公式サイト http://www.kawajin.co.jp/

    文人たちに愛され続けている江戸寛政年間より220余年受け継がれ てきた老舗の味。東京ではお目にすることが少なくなってきた鯉料 理や、ふっくらやわらかな鰻などがいただける。

    右:江戸伝来の江戸甘味噌と上方の西京味噌を合わせた鯉こく。コ クがありながらもしつこくない、また食べたくなる美味しさだ。
    左:鯉のあらいには、生簀からあげたばかりの新鮮なものを使用。川魚 らしい臭みがあるイメージの鯉だが、川甚のものは別格!

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