伝統を受け継ぎ後世に残す 継ぎ人 匠

継ぎ人 その十四

熱量溢れる“目利き人”のサラブレッド

ISSUED | 2018.06

飯田高遠堂 五代目 飯田 慶雄さん

  • 伝統ジャンル | 古美術 継承歴 | 五代目
  • 1983年東京生まれ。学習院大学卒業後、アメリカ、イギリスへの短期留学を経て飯田高遠堂に入社。2016年より五代目を務める。家業のほか、鑑賞会や勉強会の実施、博物館の展示の企画アドバイスをするなど多方面で活躍中。

熱量溢れる“目利き人”のサラブレッド

 少年のように目を輝かせながら、刀剣に見入る紳士たち。そして彼らと熱い刀剣談義に花を咲かせる若きご主人。飯田高遠堂五代目当主の飯田慶雄さんだ。

 飯田高遠堂は、明治13年に創業。野州佐野出身の飯田家は、信州高遠藩に移り、五代にわたり内藤家の家臣として仕えたが、明治維新後、武士廃業となったため、東京上野へ出て刀剣店を開業した。

「侍として人生を全うした初代をはじめ、飯田家は刀剣や古美術の目利きを生業としてきました。私も小学校の頃は毎朝父から専門用語や作家の名前など刀剣の知識を仕込まれました」

 大学時代は、佐野美術館館長の渡邉妙子先生の下で勉強。実父と同様、33歳で家業を継いだ。

「家業へ入る前から基礎は叩き込まれていたし、その後の業務のほとんどを任せてもらえていたので、継ぐことに不安はありませんでしたね。私の代の話ですが、私が店に入る頃に百貨店での展示即売会はやめ、店舗で直接コレクターの方々とじっくり話すスタイルに変わりました。年齢も倍以上違う方と話すことも多いですが、代々守ってきた暖簾と子供の頃から培った目利きに助けられていますね」

 飯田高遠堂には国内外問わず、様々なお客が訪れる。所謂、マニアが多く、その熱量に圧倒されることも多いのだとか。

「海外からわざわざ来店したエグゼクティブが、甲冑を見てボロボロ泣き出したことがありましたね。私自身も素晴らしい作品に出会い、自然と涙が流れていたという、まさに琴線が震える体験をしたことがあります。刀剣とは不思議なもので、その人の熱量によって良い品を手に入れられるか否かが決まるんです」

 飯田さんの話を聞いているだけで、刀剣の世界に引き込まれていくようだ。国宝に指定されている刀剣は120点以上もあり、国宝の工芸品に分類される文化財の中でも数が多い。人生で一度会えるか会えないかの名品を探しに、飯田高遠堂へ出かけてみようではないか。

  • 継続

  • 匠の言葉

    「精進」
    「この世界は、死ぬまで勉強です」と飯田さん。熱い思いを持って訪れるお客様のためにも、名品を見抜くための努力は惜しまない。

店舗情報

飯田高遠堂

  • 住所 新宿区下落合3-17-33▶︎MAP
    電話番号 03-3951-3312
    営業時間 10:00~17:30
    定休日 水曜、土曜、祝日
    公式サイト http://www.iidakoendo.com/

    大宝律令の時代から、刀剣には作家の名を入れることが法律で決められていた。刀剣の価値は、伝来ではなく、真偽や保存の良し悪しを鑑定する“目利き”が重視されるのだとか。

    左.豪華な装飾が施された「家忠(古備前)」。この一本の刀剣から、当時の武士の生活が如何なものだったかが読み取れる。

    右.飯田さんがもっとも好きな大和国の短刀。シンプルだが力強い、その飾らない無骨さが魅力だ。

    刀剣の鑑定書「折紙」。慣用句の“折り紙付き”はこの鑑定書が語源。

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