
継ぎ人 その十八
異なる世界を見てきた目線を、伝統の中で活かす
ISSUED | 2018.10

四代目 藤見 和英さん
- 伝統ジャンル | 柿農家 継 承 歴 | 四代目
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1978年静岡県生まれ。10代最後に友人とバックパッカーとして海外を旅して衝撃を受け、都会に出ようと決意。新宿や銀座の飲食店で働き、管理職も務めるが、若いうちに勉強をしようと2017年3月家業を継ぐべく地元に戻る。心機一転、農家の世界に飛び込み、四代目として日々奮闘している。
異なる世界を見てきた目線を、伝統の中で活かす
静岡県磐田市の北部に位置する、2ヘクタールもの広大な敷地。山岳地帯で日当たりも良いこの土地に大正時代から続く柿農園「藤見農園」がある。その四代目として歩み始めたばかりの若者が藤見和英さんだ。
20歳で東京に出て働き、忙しく過ごしていたものの、「40歳になったら戻ろう」と常に心には家業のことがあった。実際には2017年37歳で帰郷。何十年も離れていた父と二人三脚で柿作りを営む決意をした。
「親父の年齢のこともあり、できるだけ早めに、やらせてもらおうと思いました」。
柿は、剪定や芽を変える、消毒といった手入れが常に必要で、365日休む暇もない。膨大な仕事は、見て、やって覚えろというまさに実践的な父の教え方で、戸惑うことも多いという。
「曾祖父の代から100年以上、静岡の名産『次郎柿』を生産しています。販売と生産の両方を一人でこなさなければならないし、まだ親父から学ぶこともたくさんあります。でも、昨年の収穫後、はじめて自分が育てた柿を、恩ある方にお贈りしたんです。それを美味しいと褒めていただいて、少し自信がつきました」。
実際に農業の世界に飛び込んで今改めて感じているのは、柿と向き合ってやっていくことの大切さはもちろん、家をもっと盛り上げ、農業は儲からないというネガティブなイメージを変えたいということだ。
「基礎は勉強中ですが、面白いこと、新しいことができるのではないか。これから先、どう変えていこうかという目標ができました」。
美しく磨かれたオレンジ色の柿は、恵まれた日照と、山からの冷たい風で甘さをその実に閉じ込める。脈々と紡がれてきたその営みに、いま新しい風が吹いている。
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匠の言葉
「柿農家」
“継ぐ”ということを考えたときに藤見さんの心に浮かんだのは、「家」と「柿」。切り離せないこのふたつをつなぐのはこの言葉だった。「自分にとって、継ぐということは柿農家なんだ、と。そう言葉にすることで、スイッチを入れています」と藤見さん。
店舗情報
藤見農園
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住所 静岡県磐田市岩室125-1▶︎MAP 電話番号 090-7904-8123 メール fujimi09079048123@gmail.com 10月半ばから12月の収穫時期には、見事な鈴なりのオレンジ色が広がる。800本もの木から採れる次郎柿の年間の生産数は40tほど。収穫はすべて手作業で行われている。
パリッとしたみずみずしい食感で、糖度は16度以上にもなり、なんとメロンと同程度という。
六本木うかい亭などの有名店でも使われている藤見農園の柿。お取り寄せも可能だ。価格は6個入4,000円~、12個入7,000円~。相場は変動するため、要問合せ。
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