伝統を受け継ぎ後世に残す 継ぎ人 匠

継ぎ人 その十九 

蕎麦の可能性を信じ、世界をも視野に入れるパイオニア

ISSUED | 2018.11

総本家 更科堀井 九代目 堀井良教さん

  • 伝統ジャンル | 蕎麦 継 承 歴 | 九代目
  • 1961年東京生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒業。
    1984年に八代目である父・良造さんが独立開業した「総本家 更科堀井」に従事。
    2002年に九代目に就任。現在はアメリカやフランスをはじめ海外で開催される日本食PRイベントなどにも積極的に参加しているほか、服部幸應氏の「HATTORI食育クラブ」への参加など、多方面で精力的に活躍中。

蕎麦の可能性を信じ、世界をも視野に入れるパイオニア

 白い麺とつるりとした喉ごしのよさが特徴的な更科そば。その元祖として寛政元年(1772年)に「信州更科蕎麦処」を開業した布屋太兵衛から9代目に当たる堀井良教さん。大学卒業後、8代目で父親の良造さんが独立開業した「総本家 更科堀井」に従事し、今年で34年目を迎える。

「美味しい蕎麦を提供したいという想いで独立した父からは、「『売り上げは気にしなくていい。その代わり日本一美味しい蕎麦を作れ』と言われていました。自分達が作るものより美味しい蕎麦があってはいけないと、美味しい店があると聞けば食べに出かけて必死で勉強していましたね」と当時を振り返る。

 開店後も努力と改良を重ね、堀井さんが32歳の時に蕎麦打ちの方法を機械から元々の手打ちに変更。「手打ちにすることで、蕎麦の茹で方や粉の配合などを全て見直すことになり、さらなる味の向上につながりました。開店当時は客足の少なさに悩んだこともありましたが、多くのお客様に足を運んで頂けるようになり嬉しかったですね」。

 積み重ねた努力が結実し、その後は押しも押されもせぬ人気店となった。

 これまで麻布十番の本店と立川に店を構えていたが、今年9月25日に日本橋高島屋店をオープン。最近では企業としての成長を鑑み、新卒学生を採用して積極的に現場を任せるなどの試みも行っている。さらに12月には更科堀井として世界初出店となるニューヨーク店の開店も控え、「今後は世界に蕎麦文化を発信していきたいです。また、蕎麦を切り口にして食育や町おこしなども行っていきたいですね」と目を輝かせる。〝日本一〞美味い蕎麦を目指した堀井さん。その想いは日本を飛び出し、〝世界〞へと向かっている。

  • 口福

  • 匠の言葉

    「口福」
    「あなたのそばに、いつも日本の蕎麦と口福を。」という社訓を掲げる堀井さん。「足を運んで頂いたお客様はもちろん、働く社員やお付き合いのある業者さん達も含めて、うちの蕎麦に関わった人たち全てが幸せになってもらいたい」と語る。

店舗情報

更科堀井 麻布十番本店

  • 住所 東京都港区元麻布3-11-4▶︎MAP
    電話番号 03-3403-3401
    営業時間 11:30~20:30
    定休日 1月1日~3日、7月30日~8月2日

    創業230年の伝統を今に受け継ぐ「さらしな」。つるっとした喉越しと、ほんのりとした甘みを楽しめる。かえしの効いた、あたりの柔らかな甘めのつゆも絶品だ。蕎麦の実を自家製粉して打つ「もりそば」や、「鴨南蛮」などの種もの、更科そばの麺に旬の食材を練り込んだ「季節のかわりそば」なども提供。

    木を基調とする落ち着いた店内は、カウンター席、テーブル席、座敷席があり用途に合わせて利用できる。壁には創業当時の貴重な写真が。

    新卒学生のアイデアから商品化された「半生更科そば」。店の本格的な蕎麦を家でも楽しめると好評だという。「人を採用することで新たなアイデアが生まれる。社員が生き生きと働ける環境作りも目指していきたいですね」(堀井さん)。

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