何よりも「素材ありき」無駄や雑味を一切感じさせない珠玉のイタリアン
「Convivio」の辻 大輔さんからバトンを受け継いだのは新宿三丁目のイタリアン「Il Lato」の古井繁規さん。
厳選した素材の魅力を余すところなく引き出す。
Words_TOMOMI KATO
Photographs_KIYOSHI TSUZUKI
Profile
古井 繁規さん
東京都出身。イタリア・ピエモンテ州で経験を積んだ後、新宿三丁目「OSTERIA OLIERA」で9年間シェフを務め、うち8年連続で食べログアワードを獲得。南青山の「RISTORANTE PEGASO」へ転籍後には、日本版「Gault & Millau」で高い評価を得るなど数々の実績を残す。2021年2月、「Il Lato」をオープン。
新宿三丁目駅近くのビル4階。扉を開くと、周囲の喧噪を忘れさせる穏やかな空間が広がる。昨年2月にオープンしたイタリア料理店「イル ラート」だ。
オーナーシェフの古井繁規さんは、かつて新宿三丁目の「オステリア オリエーラ」で9年間シェフを務め、予約困難といわれるほどの人気店に押し上げた。その後、南青山「リストランテ ペガソ」を経て再び新宿に戻った理由を、「やはり馴染みのある場所ですから」と語る。
古井さんが、イタリア時代から現在に至るまで、変わらず大切にしているというのが「素材を的確に見る」ということだ。 「『こうでなければいけない』という先入観にとらわれず、むしろ常識を疑いながら、一つひとつの素材と向き合っています。あくまでイタリアンをベースにしつつ、イタリアンの枠にもあまりこだわりません。経験を積むほどに『まず素材ありき』という思いは強くなっています」
市場に足繁く通い、自由な発想で素材を“見る”。良い素材と出会い、「このポテンシャルをどう活かすか」「どうすれば素材がより際立つか」と考えるところから料理が始まるのだという。
中でも魚料理に定評があるが、古井さん自身は「割と野菜が好きなんですよ」と言う。 「日々市場を訪れているので、やはり旬には敏感になります。旬を大切に、というよりは、旬のものしか使いません。日本ならではの食材も、柔軟に取り入れています」
一般的には、手間をかける=味を足すことだと考えがちだが、古井さんの料理はそうではない。素材を隠すのではなく、引き上げる。計算し尽くされた引き算の妙が、そこにはある。
RESTAURANT INFO 店舗情報
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Il Lato(いる らーと/新宿三丁目)
住所: 新宿区新宿3-6-2 栄ビル4F ▶︎MAP 電話番号: 03-6709-9987 営業時間: 18:00~23:00/日祝12:00~15:00(前日までに要予約)、18:00~22:00 休業日: 水曜日、他不定休あり