日本は“不眠大国”と言われているのをご存じだろうか。日本人の睡眠時間は、世界各国と比較して極端に少ない。睡眠は脳と身体の疲れを回復させ、健康を保つという大切な役割がある。コロナ禍により家で過ごす時間が増え、健康への意識が高まっている今だからこそ見直される“良質な睡眠”について、あらためて考えてみたい。
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日本橋西川おすすめ夏の快眠セット(3点) 1名様
夏の快眠を導く3点セットを1名様に。マットレスの下に敷き湿気を吸収する[エアー]ドライシート、現役アスリートからも支持されている[エアーSX]マットレス(Regular)、さらっとした肌触りの麻の肌掛けふとん。
世界的に見ても睡眠時間が少ない日本
睡眠不足による莫大な損失を認識すべき時
健康でいるためには、十分な睡眠が欠かせない。睡眠が足りていないと、次の日に眠くなったり、ぼーっとしたり、判断力が低下したり、一度は経験したことがあるはず。「西川 睡眠白書2021」によると、アンケート回答者の約半数が“不眠症の疑いが強い”ことが判明し、20代・30代にいたってはその割合が約6割にものぼった。(出典:西川 睡眠白書2021~日本人の睡眠調査~)
睡眠が不十分だと、仕事の生産性が落ち、損失につながる。睡眠時間を削ってまで働く真面目な日本人にとって、残念な調査結果が発表された。米国に本部を置く世界的シンクタンク「ランド研究所」の調査によると、『睡眠が十分にとれていないことに起因する「働き手が病気で減る」「仕事のパフォーマンスが落ちる」などといった影響が、GDP比で最も深刻とされたのは日本である。GDP比2.92%が、睡眠不足により損失されているとの結果になった。金額で言うと、影響の大きさは最大で年間1380億ドル、約15兆円にまで上ると試算されている』。(出典:「Why Sleep Matters: Quantifying the Economic Costs of Insufficient Sleep」/RAND CORPORATION)
ただ近年は、睡眠の意義が見直されつつあり、睡眠科学の進歩したことで、良質な睡眠で仕事や勉強のパフォーマンスを上げるという考え方が定着してきている。2019年に施行された「働き方改革関連法」で仕事の仕方・職場環境が見直され、健康に働くための睡眠に関心が向くようになった。ここ数年はコロナ禍により、多くの人の生活様式やライフスタイルが一変した。だから今こそ自身にとっての睡眠の意味をあらためて考えなおすべきなのかもしれない。
睡眠時間よりも睡眠の質に着目を
良い睡眠は、心身の健康をキープする大切な要素
睡眠(休息)は、食事・運動とならび健康の三大要素のひとつだ。睡眠時間が不十分だったり、質が低下したりすると、集中力や注意力の低下、生活習慣病や肥満のリスクの増加、免疫力の低下などの心身に悪影響を与えてしまう。一方で、寝過ぎることで身体に悪影響を与える可能性も報告されている。
つまり、寝なさすぎも、寝過ぎも、ともに心身の健康に影響を及ぼす可能性がある。適した睡眠時間は、その人の年齢・ライフスタイル・運動量などにより個人差が大きいので一概には言えない。そこで注目したいのが、“睡眠の質”だ。創業455年の歴史を誇る寝具業界のリーディングカンパニー・日本橋西川でスリープマスターの資格を持つ大渕学さんに聞いた。
「良い睡眠とは、ぐっすりと眠ってスッキリと目覚められることを言います。睡眠には多くの役割があり、身体の疲労回復、脳と神経の疲労回復、記憶の再整理、ストレスの緩和、免疫力の増強、ホルモンの分泌、老廃物の除去、細胞の新陳代謝など、心身を健康に導くのに不可欠です(大渕さん)」
——良い睡眠が取れていれば、日々の生活が充実する、ひいては人生が豊かになるといっても過言ではない。では、睡眠の質を判断するポイントは?
「ご自分が良い睡眠をとれているかどうか判断するには、寝入るまでの時間が短いこと、途中で目が覚めないこと、朝すっきりと目覚められることの3つのポイントがあります。まずは日々の睡眠をチェックしてみてください(大渕さん)」
睡眠生理・睡眠環境・寝具を
睡眠に適した状態へと整えて
眠りについて悩んでいる人は意外と多い。例えば朝起きたときに肩が凝っている、日中に眠気がおそってくるなど、実は睡眠の質の低下に起因する可能性も。いつものことだと不調を見過ごしがちになるが、気になる場合は“睡眠の質”を改善してみることも一案だ。
「質の良い睡眠をとるためには、眠るための準備をしっかりとすることです。準備とは、人のからだのこと(睡眠生理)、眠る場所のこと(睡眠環境)、眠るための道具のこと(寝具)の3つのカテゴリに分けられます。これらを眠りに適した状態に準備をすることが良い睡眠を導く鍵となります(大渕さん)」
——それぞれのカテゴリにおける準備のコツを、具体的に教えていただいた。
「まずは睡眠生理ですが、体温や心拍、呼吸などを入眠しやすい状態に整えることです。たとえば、入浴は寝る1時間前に済ませるのがベストです。寝る直前に入ると身体が温まり気持ち良いと感じるかもしれませんが、かえって神経が昂り寝付けなくなります。スムーズに入眠するためには身体の中心部の深部体温が下げる必要があるので、入浴は寝る1時間前くらいに済ませておきましょう。他にも、食事は寝る2時間以上前に済ませておく、スマートフォンやパソコンは寝る前一時間は触らないようにするなど、可能な限り実践してみてください。
次に、眠る場所の環境を整えることも、睡眠の質の向上につながります。たとえば、寝室の湿度を50~60%に保つこと。最近ではタワーマンションなど気密性の高い住居にお住まいの方が多い傾向にあります。日本は四季折々湿度が変動しやすいので、エアコンの除湿機能などをうまく活用するとよいでしょう。湿度だけでなく、温度や光、音、香りなど、眠りやすい環境づくりのために工夫することをおすすめします。
最後に、寝具の準備も大切です。やはりご自分の体形に合った寝具を使うと、ベストな寝姿勢をしっかりと保つことができます。人は寝ている間に20回程度寝返りをしますが、寝返りしづらい寝具だと無駄な筋力を使うことになります。起床時に肩や腰が痛い場合は、寝返りの際に無駄な力がかかっているのかもしれません。そんなときは枕の高さ・マットレスの硬さを調整することで軽減され、すっきりと目覚められることもあります。また、先ほどは環境的な湿度調整について触れましたが、布団の中を快適な湿度で保つこともよい睡眠に不可欠です。湿気を逃がす通気性のよい寝具を季節に合わせて準備するとよいでしょう(大渕さん)」
いい眠りを導く、夏の寝具の選びかた
ジメジメ、ムシムシの夏は、睡眠不足になりがち。そこで夏でも快眠をキープするための寝具の選び方について伺った。
「夏の寝苦しさは、湿気の高さと汗によるベタベタが原因となります。肌に直接触れる肌掛けや布団は、肌にはりつかない素材のものをセレクト。シャリ感があって吸水性・通気性が高く、かつ洗える天然素材の麻の寝具がおすすめです。枕も通気性がよく丸洗いできるパイプ素材のものを選ぶのもおすすめです。
また、プラスαとして、寝具にこもりやすい湿気を逃がすアイテムを活用するのもよいでしょう。マットレスの下に敷くドライシートなどがあれば、寝苦しさが改善されるはずです(大渕さん)」
あらゆる眠りの悩みを解決する“相談所”で
睡眠の質を改善する第一歩を踏み出して
睡眠に関心が向くことで、より質を良くしたい、悩みを解決したいと考える人が増えてきている。ただ睡眠の悩みは人それぞれ。何をどう改善したらよいかも分からないという人も。
「お一人おひとり、生活環境やライフスタイル、身体の状態が違いますので、眠りについてのお悩みも千差万別です。日本橋西川では、眠りについてのどんなお悩みも気軽に相談できる『ねむりの相談所』を開設しています。眠りのプロである “スリープマスター”が、睡眠をデータで可視化し改善ポイントをアドバイスしたり、体型を分析した結果をもとに最適な枕やマットレスを提案したりと、お一人おひとりに寄り添い、良い睡眠が取れるようお応えしています。ぜひお気軽にお越しください(大渕さん)」
“いい笑顔は、いい眠りから”がコンセプト
睡眠を究めた日本橋西川の体験型店舗
日本橋で開業し400年以上の歴史を誇る寝具専門店『日本橋西川』。長きにわたり寝具と睡眠の質を追究してきた伝統と、最先端の技術を結集。ふとんやマットレス、枕などを“見て、触れて、知る”ことができる、眠りのすべてが詰まった体験型ショップだ。店舗には、寝具や睡眠環境などについて幅広い知識を持つ“スリープマスター”が常駐。眠りについての悩みを聞き、寝室環境チェックや測定などを経て、一人ひとりに最適なアドバイスをしてもらえる。
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世界で活躍するトップアスリートも愛用。最新の睡眠科学を取り入れたコンディショニング・マットレス西川の[エアー]も、実際に試すことができる。
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日本橋西川で選べる枕は、睡眠科学の研究に基づき、お一人おひとりの体型や姿勢によって、様々な素材や形、かたさの中から実際に試して選べる豊富なラインナップが魅力。
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良質な睡眠のために、季節に合わせた掛けふとんやベッドリネンなどを体感しながら選べる。
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8台のカメラで全身の形状をミリ単位で3D計測できるボディスキャナー計測機『N3Dーbody』。体の骨格とゆがみを可視化したデータに基づき、体型に合った寝具を提案。 無料【要予約】
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『除菌ルーム』では、航空機内や医療施設にも利用されている高性能の除菌・消臭メンテナンス機器、除菌消臭剤を活用し、掛けふとんと枕を除菌・消臭。気になる菌や花粉等を取り除く。
掛けふとん1,100円(税込)/枚、枕550円(税込)/個【要予約】
日本橋西川
お話を伺ったのは
スリープマスター
日本橋西川 企画宣伝マネージャー
大渕 学(おぶち まなぶ)さん
2006年度入社。入社当初は売場スタッフとして、健康寝具・ブランケット・カバーを担当。現在は売場経験を活かし、店舗企画・広報として活動。スリープマスター(西川日本睡眠科学研究所認定)。
撮影/宮崎貢司