素材の味を、できる限りシンプルに。日本人がまだ知らないイタリア料理の本質がここにある
「Ostü」の宮根正人さんからバトンを受け継いだのは、 今年5月に新店をオープンした「TXOKO」の関口晴朗さん。 シンプルがゆえに奥深い、“関口流”イタリアンの哲学とは。
Photographs_KIYOSHI TSUZUKI / Words_SAYAKA NAGASHIMA
Profile
関口 晴朗
26歳で単身イタリアへ渡り、国内を周遊しながら腕を磨 いた。その後スペインでも経験を積んだ。帰国後、リスト ランテ・ヒロで青山本店の料理長として活躍。
居心地のよさにこだわった料理を楽しむための空間
「ジャパニーズ・イタリアン」として名高い『リストランテ・ヒロ』で15年経験を積み、青山本店の料理長を務めていた関口晴朗さんが、5月に自らの思いを詰め込んだ「TXOKO(チョコ)」をオープンした。
「〝TXOKO〞とは、修行時代を過ごしたスペイン・バスク地方の言葉で、仲間同士が新鮮な食材を持ち寄り調理する社交場という意味です。美味しい食事を心地よい空間で楽しんでほしいという想いで名付けました」。
店を構えたのは文京区・水道の閑静な住宅街。「完全予約制ということもあり、お客様がくつろげるような温かみのある店構えにしました。窓も高い位置に設けて外から見えないようにし、お客様の居心地を第一に考えました」。
店内は2〜6名テーブル席、カウンター5席という小ぢんまりとした作り。しかし、温かみを感じられる一枚板のカウンターや土佐漆喰の壁など、関口さんが大切にする〝心地よさ〞の仕掛けがあちこちに見える。
素材の味を最大限に生かす計算されたシンプルさ
「修行時代のほとんどを過ごした北イタリアやバスク地方の料理は、とにかくシンプルなものばかりです。素材本来の持ち味を生かすために余計な手を加えない。その姿勢に共感し、自分の料理人として目指したい方向がはっきりしました」。
その言葉どおり、メニューは『季節のおまかせコース』のみ。「皿数としては7〜8皿ですが、厳密には決めていません。仕入れによって臨機応変に対応するようにしています」。店の命とも言える素材は、これまで培ってきた生産者とのネットワークを活かし全国から手配し、また新たな素材の開拓にも余念がない。
自らが作り出す料理を『関口料理』と位置づけ、〝イタリアン〞という響きに慣れてしまった人にこそこの店の料理を味わってほしい。素材の味をこんなにも強く感じられるものかと、嬉しい驚きと喜びに包まれるはずだ。
RESTAURANT INFO 店舗情報
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TXOKO (ちょこ/江戸川橋)
住所: 文京区水道2-19-14▶︎MAP 電話番号: 03-6801-6921 営業時間: 18:00~23:00 定休日: 不定休 交通: 東京メトロ有楽町線江戸川橋駅より徒歩8分、東京メトロ丸ノ内線茗荷谷駅より徒歩12分 公式サイト: http://txoko.jp/