40代以上のビジネスマンは皆さん疲れていますよね。働く男は顔が元気じゃなきゃいけない。月に一度、「THE BARBER」が気軽にリラクゼーション出来る場所となって、また明日から頑張ろうと前向きになってもらえるといいですね。
自分の人生に点数をつけると、頑張ってきたので80点。
足りない20点は、これからのやりたいことの点数です。
世界中のバーバーを見て体験して、「日本の理容師が一番上手いし、世界に出ればヒットする」と断言するヒロ・マツダさん。ニューヨークにも店舗を構え、男性を癒やし、美しく仕上げる理容室「THE BARBER」の成功を経て、次なるブランドの立ち上げにも意欲的だ。
Text_MAKOTO KAJII. Photographs_KAZUO ITO.
PROFILE
ヒロ・マツダ
1944年、福井県生まれ。美容専門学校卒業後、24歳で独立出店。74年にロンドン・ヴィダルサスーンカットスクールに留学し、パリでもカット技法を学んで帰国。第30回全国理容協議会大会優勝を始め、2003年に「現代の名工」を、2016年に「黄綬褒章」を受章。2006年に高級理容室「THE BARBER 渋谷店」をオープンし、現在は日本とNYで計8店舗を展開。今年10月には虎ノ門に出店を予定している。
キャリアのスタートは24歳。
手先を動かす仕事が好きだった
渋谷道玄坂から旧山手通りに抜ける道、裏渋谷の通りに「THE BARBER渋谷店」はある。出迎えてくれたのは、同店のプロデューサーヒロ・マツダさん、御年79歳。長身にスーツを隙なく着こなし、手際よくカットする姿がカッコイイ。
「そろそろ若い人に渡しても良いと思ってはいるのですが、技術の世界は年齢を重ねるほど技が身につくので、なかなか辞められずにいます」
理容師の父と美容師の母の長男として生まれ、理容師の道を目指し24歳で自身の店を持つ。その後、美容のカットテクニックを学ぶため、30歳でロンドンのヴィダルサスーンカットスクールに留学。まだ男性美容師の存在が稀有な時代だ。
「ヨーロッパで技術とシステムを学びましたが、日本人と欧米人では髪質も生活環境も大きく違うので、日本人用にアレンジしたマニュアルを作り、指導などに使っていました」
そして35歳の時、7年間挑戦し続けたコンテストで日本一を獲得する。
「理美容師の社会的地位と評価の向上と、技術者として頂点を極めたいという思いが重なって、“勲章が必要だ”とコンテストに挑戦していました。そして頂点を獲ったら、世界が一変しました。まさに転機でした」
日本一になって以降は、何をやっても上手くいく時期が続き、その好調の波は55歳まで続いたという。
「少しでも理美容業界に貢献出来ればと、指導で全国を回っていましたが、自分の店の従業員教育が疎かになり、それが原因で店を手放すことになってしまいました。それが55歳の時でした」と当時を振り返る。
61歳での新たなスタート
生涯現役のための秘訣とは
「失敗は繰り返さない」と心に誓い、2006年にトータルビューティーサロン「THE BARBER」を立ち上げる。
「美容室に行く男性って、年齢を重ねると女性や若い人が多い美容室に行きにくさを感じるようになるんですよね。そういう男性のために、ヘアカットにヘッドスパ(頭皮ケア)やフェイストリートメントなどを加え、さらにお洒落の提案もする『究極の理容室』をつくりたかったんです」
バーのように寛げる半個室の空間で、スーツを着た技術者が施術をする大人のバーバーは、理容室の新たな潮流となり、今も後に続く店が次々と現れている。
マツダさんに元気の秘訣を尋ねると、「気持ちがおじいちゃんにならないこと。ファッションもすごく大事」と即答で返ってきた。
「今も美容専門学校で教えているのですが、流行を楽しむ若い人たちとの年齢を超えたコミュニケーションはすごく刺激的で楽しいですよ」
成人式のお祝いでもらった盾に書いてあった、「限りなき前進」という言葉を、今も「自分の言葉」として大切にしているというマツダさん。
「あれから約60年、ずっと座右の銘です。人生慎重過ぎると波に乗れないし、波に乗らないとダメだし、その判断が難しい。でも、前に進むと決めてきたから今の人生があります」
笑顔でそう語るマツダさんは、最後まで本当にカッコよかった。
- 「THE BARBER渋谷店」の店内。店舗は現在、渋谷、代官山、広尾、青山、東京丸の内、銀座、日本橋、ニューヨークの計8店を展開。
- マツダさん愛用の道具類。
平成28年、黄綬褒章受章式での記念の一枚。
THE BARBER 渋谷店
住所:東京都渋谷区円山町22-15 1F
TEL: 03-5728-6558
URL:https://www.thebarber.jp/