季節の料理とこだわりの酒を好みに合わせたおまかせで提供
九品仏のイタリア料理店「igora」の坂井さんからバトンを受け継いだのは神泉の居酒屋「松濤 爛缶」の柿木信浩さん。 思わず足を向けたくなる、くつろぎの隠れ家で美酒と料理に酔う。
Text_SAYAKA NAGASHIMA. Photographs_YASUHIRO TAKEDA.
のぶさんの人柄から生み出される暖かな雰囲気や、既存の枠にとらわれない料理を目当てに、ついつい引き寄せられしまうお店です。 Igora|九品仏 坂井 務さんより
Profile
柿木 信浩さん
鹿児島県出身。名古屋のアジア料理店から料理の道に入る。上京後は代々木上原「蕎麦屋 山都」を経て、2011年渋谷「高太郎」の開店当初より、店の二番手として9年間修業を積む。2020年5月に独立し「松濤 爛缶」開店。
渋谷駅の喧騒から離れた、静かで落ち着いた松濤エリア。その雰囲気に寄り添うように暖かな灯がともる店がある。2020年5月にオープンした「松濤 爛缶」だ。店主の柿木信浩さんは、渋谷の名酒場と名高い居酒屋「高太郎」の立ち上げから9年にわたって二番手を務めた実力派。料理人を志した20代半ばから、独立を見据え経験を積んできた。
店には料理も酒も品書はなく、客と対話しながら全10品のコースを組み上げる。
「季節感を大切に、素材を生かした料理を心がけています。和食がベースですが、それだけにとらわれず、お酒と相性のよい料理全般をご提供しています。最近では出身である九州の食材も積極的に取り入れていますね」
酒も同様に、柿木さんこだわりの日本酒やナチュラルワインの中から料理や客の気分に合わせたものをおすすめしてくれる。席に座りさえすれば、美味しい料理と酒を自ずと楽しめるのは何とも心安い。
独立に際し、「高太郎」と近い場所に店を構えたいという気持ちは当初からあったという。
「『高太郎』では生産者さんや酒蔵さんとのつながりも含め、多くのことを学びました。そこでできたお客様とのご縁を絶やしたくなかったんです。このお店はコロナ禍でのオープンでしたが、『高太郎』の常連さん達に随分と支えてもらいました」
一方で、常連から愛される店と聞くと一見の客は尻込みしてしまいそうだが、そうならないのは柿木さんの人柄ゆえだろう。カウンターの内側からつかず離れず、誰に対しても実に心地いいサービスを提供してくれる。
「お客様にはとにかく『楽しかった』と思える時間を過ごして頂きたい。そのため料理やお酒を提供するタイミングや会話のスタイルなど、常にお客様の居心地のよさを考えています」
料理も接客も「ライブ感を大切にしたい」という柿木さん。暖かな灯に誘われて、今日も客が絶えず集う。
RESTAURANT INFO店舗情報
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松濤 爛缶
(しょうとう らんぷ/神泉)住所: 東京都渋谷区松濤2-14-5 1F ▶︎MAP 電話番号: 03-5738-7019 営業時間: 火~金曜日17:00~23:00、土・日曜日14:00~22:00 休業日: 月曜日 料金: コース7,500円~