ジャンルを超越した独創的な料理と日本酒のマリアージュ
神泉の居酒屋「松濤 爛缶」の柿木さんからバトンを受け継いだのは池尻大橋の「sake restaurant & shop めでたし」の五嶋千裕さん。
シェフの才能が光るコース料理を、日本酒とじっくり味わう。
Text_SAYAKA NAGASHIMA. Photographs_YASUHIRO TAKEDA.
五嶋シェフの料理は変幻自在。和食の枠にはまらない自由な発想と食材の活かし方で、不思議と日本酒と合ってしまう技術が見事です。
松濤 爛缶|神泉 柿木 信浩さんより
Profile
五嶋 千裕さん
愛知県出身。家業の鮮魚店に携わる中で、魚の目利きやさばき方、調理法などを実践的に習得。2011年に兄・慎也と共に墨田区押上で飲食店「ごでん屋」をオープン、2015年には香港で「GODENYA Hong Kong」をオープン。2016年の帰国後は、赤坂のビールバー「sansa」のシェフを経て2020年に「sake restaurant & shop めでたし」のシェフに就任。
「型にはまらない」とは、まさにこのことを言うのだろう。「sake restaurant & shop めでたし」のシェフ・五嶋千裕さんの料理を前にした率直な感想だ。「今まで誰もやったことのない食材の使い方や調理法にとても興味があるんです。気になった食材は納得がいくまで研究を重ねます。夢にまで食材が出てくるほどですよ」と、五嶋さんは楽しそうに語る。
五嶋さんは以前、兄・慎也さんと創作フレンチコースと日本酒を提供する飲食店を営んでいたが、料理は独学で学んだ。そもそも自身が料理人になるとは思ってもいなかったという。
「実家が鮮魚店なので魚のさばき方は知っていましたが、料理の知識は皆無でした。兄から飲食店を始めると誘いを受けた時も、調理補助だと思っていたんです。しかしいきなり『お前が料理長だ』と言われて(笑)」
しかしそこから持ち前の探究心と努力家精神を発揮する。さまざまなレシピ本などを参考に独特の食材の組み合わせや調理法を編み出していった。味付けに化学調味料は不使用、砂糖もなるべく使わず素材の自然な甘みを活かすことを心がけている。
「香港で店をオープンし現地に渡ったことで、改めて日本の食材の魅力に気付きました。余計な調味料を足さずに野菜やフルーツ特有の甘さをきちんと引き出してあげた方が、料理の幅が広がると思ったんです」
同店では、コース料理の一皿ごとに日本酒、または世界各国のティーや五嶋さんオリジナルのノンアルコールドリンクを合わせて提供する。日本酒は、日本酒ソムリエの柴田亜希子さんが五嶋さんのクリエイティブな料理に合わせて丁寧に厳選したものばかりだ。
1ヶ月半ごとに変わるコースメニューは「この季節に自分だったら何を食べたいか」をベースに、2人でアイデアを出し合いながら決めているという。季節ごとに新鮮な驚きを求めて足を運びたくなる店だ。
RESTAURANT INFO店舗情報
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Sake restaurant & shop めでたし
(さけれすとらんあんどしょっぷ めでたし/池尻大橋)住所: 東京都目黒区大橋2-16-26 CRIMSON ONE 5F ▶︎MAP 営業時間: ランチ13:00(入店時間)、ディナー18:00〜20:00(入店時間)
※いずれも完全予約制。予約はHPから休業日: 月曜日 料金: ペアリングコース 13,600円~(税込・サ別)