新鮮な魚介を熟成させ新たな旨みを引き出す比類無き魚フレンチ
「わたなべ」の渡邊大将さんからバトンを受け継いだのは代官山のフランス料理店「Simplicité」の相原薫さん。 熟成魚を用いた料理の数々で、真っ直ぐに“美味しさ”を追求する。
Words_TOMOMI KATO / Photographs_KIYOSHI TSUZUKI
Profile
相原 薫
1974年生まれ、神奈川県出身。1994年より葉山のレストランで働きはじめる。2000年に渡仏し、複数の星付きレストランにおいて修業を積む。帰国後は「銀座レカン」でスーシェフを務め、広尾の「レヴェランス」、荻窪の「ヴァリノール」でシェフを歴任。2018年1月、代官山に「Simplicité」をオープン。
店名の「サンプリシテ」は、古フランス語で「自然に備わっている正直さ」「真っ直ぐな誠実さ」を意味する。「人・食材・料理に対して常に誠実でありたい」という、オーナーシェフ相原さんの思いが込められた名だ。
相原さんは、海辺の街である葉山で料理人としてのキャリアをスタートした。その後フランスでの修行期間も、大西洋に面したブルターニュ地方などで働き、2つ星レストランでは魚料理を担当した経験を持つ。
そんな相原さんがつくり上げるのは、季節の魚介を中心としたフランス料理だ。しかも、五島列島、函館、明石など日本各地から厳選した鮮度抜群の魚を、種類によって数日から数週間熟成させてから用いる。熟成した魚は身がしっとりと柔らかくなり、格段に旨みが増す。クリームなどと合わせることの多いフランス料理とも、相性がとても良いのだという。
「サンプリシテ」のお任せコースで提供される料理の数々は、目を見張るような美しさと豊かな独創性に溢れている。しかし、相原さんは「第一にあるべきは“美味しさ”。面白さや新しさなどは、その後に少しあればいいんです」と語る。
「大切なのは、シンプルに『美味しい』と思っていただける料理をつくること。そのためには、これまでやってきたことを一つずつ着実に積み上げていかなければなりません。たとえ誰も見ていなかったとしても、少しでも何かをおろそかにすれば、それは必ず皿の上にあらわれてしまいます」。
自分自身に対しても裏表なく、誠実に生きる。相原さんの姿は、まさに「サンプリシテ」だといえるだろう。
RESTAURANT INFO 店舗情報
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Simplicité(さんぷりして/代官山)
住所: 渋谷区猿楽町3-9 アヴェニューサイド代官山1 2F▶︎MAP 電話番号: 03-6759-1096 営業時間: 12:00~15:30 (L.O. 13:30)、18:00~23:30 (L.O. 20:30) 休業日: 月曜日、第1火曜日(祝日の場合翌日)