待望の東京五輪、2022年は北京五輪にサッカーワールドカップなど、注目のスポーツイベントが目白押しだ。しかし、まだまだ外出しづらい状況は今後も続きそう。それなら自宅のリビングを、スポーツバー並みの臨場感が味わえるホームシアターにしてみたらいかがだろう。夢のリビングを実現するための、最新AV機器の選び方を探ってみた。
Edit&Words_POW-DER.
お話を伺ったのは
オーディオ&ビジュアル評論家
山之内 正さん Tadashi Yamanouchi
横浜市出身。出版社勤務を経て、音楽の勉強のためドイツで1年間過ごす。帰国後、オーディオ、ビジュアル分野の専門誌を中心に執筆活動を開始。大学在学中よりコントラバス演奏を始め、現在も定期演奏会を開催する。年に数回、オペラ鑑賞のためドイツ、オーストリアへ渡航している。
TV
4K、8K放送が始まっている今、最新のテレビはどう選べばいい?
4K、8K時代は有機ELテレビが主流!?
いまテレビは4K、8Kに代わりつつあるが、新しい4Kテレビに買換えるメリットとは何か。オーディオ&ビジュアル評論家の山之内 正さんに伺った。
「4K製作の番組が着実に増えているため、4Kテレビを選べば日常的に楽しむ番組でも画質の改善を強く実感することができます。また、ネットフリックスなど、ネット配信の映像コンテンツでは4Kへの移行が急速に進んでいます」とのこと。では、さらに上位の8Kはどうか。
「8Kはまだコンテンツが限られているため、いま急いで導入する必要はありません」と。
次に、有機ELと液晶のどちらを選ぶかについて聞いた。
「高画質テレビは有機ELが主流になってきましたが、70型を超える大画面モデルを中心に液晶の高画質モデルも根強い人気があり、複数のメーカーがそれぞれの強みを活かして新製品を発売しています。ですが、UHDブルーレイやオンデマンドの映像配信で4Kのコンテンツを楽しむ機会が今後さらに増えることを考えると、絶対的な明るさが特徴の液晶よりも、コントラスト性能に余裕のある有機ELをオススメします。ここ1、2年に発売された有機ELテレビは高輝度部分の明るさが従来よりも改善しており、暗部の階調もなめらかに再現できる製品が増えてきています」と山之内さん。直射日光の入る部屋では液晶が有利だったが、有機ELも弱点をかなり克服しているようだ。
4K、8Kと画面サイズの関係
「8Kテレビは画面サイズが大きく、視聴距離は短くなるため、明るさやコントラストのムラが4Kテレビ以上に目立ちやすくなります。8Kも4Kと同じく解像度とコントラストがバランス良く両立した製品を選ぶことが重要なポイント」と山之内さんは解説。
有機ELと液晶の違いと選び方
自発光パネルの有機ELは黒が沈み、LEDバックライトの液晶は画面は明るいが黒が浮く傾向がある。山之内さんは「映画をじっくり楽しむなら有機EL、直射日光が入る明るい部屋で放送を中心に映像コンテンツを楽しむなら液晶を選ぶのが基本ですね」と語る。
オススメの4K有機EL、8K液晶の最高峰モデル!
8K液晶85V型(インチ)の最高峰モデル。8Kの膨大な画像情報をリアルタイムで処理する高画質プロセッサーを搭載したほか、バックライトのLEDモジュールをブロック単位ではなく単独でコントロールすることで際立つ明るさや深い黒を緻密に再現。W191.3×H122.6×D43.2cm(スタンド含む)、75.8kg。オープン価格(実勢196万6000円前後)。ソニーマーケティング(株) 買い物相談窓口 050-3754-9555
独自設計の有機ELパネルを搭載した65V型(インチ)4K有機ELテレビ。ビエラ史上最高の高コントラスト映像を実現。AIがシーンに合わせて映像を最適化することで、暗いシーンでのコントラスト、スポーツでの芝生の色まで鮮やかに再現する。内蔵スピーカーだけで立体音響も実現。W144.8×H91.6×D35.0cm、約28kg(スタンド含む)。オープン価格(実勢55万円前後)。ビエラご相談窓口 0120-878-981
PROJECTOR
100インチ級大画面には4K対応の高級タイプを選択する
明るい部屋でもはっきり映せるモデルが主流に
超大画面を狙うならプロジェクターの導入だが、そのメリットを山之内さんに聞いてみた。
「4K映像ならではの情報量の余裕は画面が大きくなるほど実感することができ、特に100インチを超えるスクリーンでは2K映像(フルHD)との違いが際立ちます。精細度が高い4K映像は視聴距離が短くなるため、結果として視野角が広がり、テレビと比べても没入感は格段に向上します」とのことだ。
「現在は液晶、DLP、LCOSなどの各方式で手頃な4Kプロジェクターを各社が発売しており、1000~2000ルーメン程度の明るいプロジェクターなら、完全な遮光が難しいリビングルームでも、自然な映像を楽しむことができます。ベンキュー、エプソンなど、プロジェクターの開発経験が豊富なメーカーがコンパクトなサイズと画質を両立した、使い勝手の良い4Kプロジェクターを揃えています」と山之内さん。もはや最新のプロジェクターは、部屋を真っ暗にする必要はない。また、映像を投写できる白い壁面があれば、最初から専用のスクリーンを用意しなくても超大画面映像が楽しめる。
最新の4Kプロジェクター
DLPプロジェクター世界シェアトップBenQの新モデル。約20cm四方の小型モデルながらスクリーンから約1.8mで100インチの4K映像が投写できる。8度までの角度調整と、オートフォーカス、自動台形補正で設置も楽だ。内蔵のLED光源とプレミアム4Kレンズ設定で、20,000時間の長寿命なのも魅力。W19.5×H22.4×D19.5cm、4.1kg。 オープン価格(実勢21万円前後)。 BenQテクニカルサポートセンター 0570-015-533
壁の前に置くだけで、最大130インチの4K相当の映像を投射できる超短焦点のプロジェクター。ちなみに80インチなら、投射面からレンズまでの距離が約50cmで高画質な大画面が実現できる。明るさは4000ルーメンあり、昼間の室内でも使用できる。3LCDの液晶方式でレーザー光源を搭載。W45.8×H21.0×D37.5cm、約9.3kg。オープン価格(実勢31万5400円前後)。プロジェクターインフォメーションセンター 050-3155-7010
※実勢価格は編集部調べ。2021年6月18日現在。
SOUNDBAR
テレビ前に1本置くだけで上下左右に音が広がる立体音響3Dサラウンド
サウンドバーを加えて音声をグレードアップ
ホームシアターの「音」を強化するサウンドバーの選び方を山之内さんに聞いてみた。
「最近のサウンドバーはスリム化が進み、薄い有機ELテレビと組み合わせても違和感の少ない製品が主流ですね。接続は基本的にHDMIケーブル1本だけなので導入しやすく、設置の手間もかかりません。独立したサブウーファーを組み合せる方式のサウンドバーは低音の量感に余裕が生まれ、テレビの内蔵スピーカーとの違いをはっきり実感できるでしょう。サブウーファーの置き場所を確保できるならオススメです」とのこと。重低音をお望みなら、サブウーファー付きの導入を考えたい。
3Dサラウンドが楽しめる高音質サウンドバー
横幅65cmのコンパクトな本体に、専用設計の6つのドライバーを搭載。2つのパッシブラジエーターで映画の轟音やバスドラムなど、低音も大迫力で再生できる。また、同社の本機に対応するワイヤレススピーカーをリア用に追加でき、映画再生時に本格的な立体音響を味わえるシステムにアップグレードできる。W65.0×H7.5×D12.0cm、3.5kg。オープン価格(実勢8万8000円前後)。デノン・マランツ・D&Mインポートオーディオお客様相談センター 0570-666-112
最新の音声フォーマット「ドルビーアトモス」や「DTS:X®」に対応したほか、ソニー独自のバーチャルサラウンド技術で、フロントスピーカーだけで前後左右に加え高さ方向の3次元の立体音響を実現している。W100.0×H6.4×D9.9cm(グリル装着時)、3.1kg(バースピーカー)。W19.0×H38.2×38.6cm、8.1kg(サブウーファー)。オープン価格(実勢8万2700円前後)。ソニーマーケティング(株)買い物相談窓口 050-3754-9555
VR GOGGLES
スポーツ中継からライブイベントまでVRなら没入感ピカイチです!
VRを体験するなら定番モデルから入門
「VRゴーグルはゲームのイメージが強いですが、それ以外にもユーチューブのVR動画やアマゾンプライムの映画など、VRで楽しめるコンテンツが着実に広がっています。映画用VRアプリは視野角の広さを活かして臨場感や没入感を追求しており、ミニマムなホームシアター体験ができ、野球やサッカーなどスポーツ中継や海外旅行をVRで体験する仮想ツアーなども人気があります」と山之内さん。
「重くてかさばるという課題はかなり改善が進み、パソコンにつながなくてもワイヤレスで再生できるオキュラス・クエスト2に人気が集中しています」と定番モデルをオススメする。
VRを楽しむためのおすすめ2タイプ
パソコンとケーブルでつないだり、スマホをセットする必要のない、本体だけで楽しめるスタンドアローン型のVRゴーグル。インターネットとの接続は家庭内のWi-Fiを使い、オキュラスの公式アプリや、YouTube、DMM、Netflix、Amazonプライム・ビデオなどにコンテンツが多数用意されているのも魅力だ。さらに、AbemaやGYAO!、DAZN、ニコニコ動画などブラウザに対応している動画サイトの閲覧も可能だ。256GBモデル:オープン価格(実勢4万9300円前後)。https://www.oculus.com/
手持ちのスマホにVR対応アプリをインストールして、ゴーグルにスマホをセットして楽しむスマホ装着タイプのVRゴーグル。もちろんVRコンテンツの再生中に周囲を見渡せば、頭の動きに合わせて360度視界が動くので、自分がVR空間に居るような体験ができる。また、DMM.comとのコラボモデルになっており、DMMの動画ポイントが1000円分付属している。装着可能なスマホは4.7インチから6.5インチに対応。オープン価格(実勢2200円前後)。エレコム総合インフォメーションセンター 0570-084-465
COLUMN
省スペース&低騒音で完璧なサラウンド音場が体験できるパーソナルチェア
Audio Heart VRS-1
マンションなどの場合、隣戸を気遣って大音量でサラウンド音声を再生したり、そもそも、そのようなスペースが確保できない場合もあるだろう。そんな条件でも、ドルビーアトモスなどのサラウンド音声を完璧に堪能できるのがこのパーソナルチェアだ。内蔵されているスピーカーを駆動するにはAVアンプを別に用意する必要がある。
大画面テレビを目の前に設置して視聴するので、とても省スペース。VRゴーグルを使うこともできる。