食通の舌を唸らせる、名店仕込みの美しい日本料理
日本料理店「新ばし 笹田」の笹田秀信氏からバトンを受け継いだのは、東北沢にある「御料理 与志福」の髙橋憲治氏。2008年の開店以来、ミシュランの星を逃さない実力店の味をぜひ堪能して。
Profile
髙橋 憲治
東京都下北沢出身。辻調理師専門学校を卒業後、京都の日本料理店「桜田」で9年間研鑽を重ね、2008年に独立。店名は料理好きだったという祖父母の名前から命名し、幸せを与えられるような店にしたいという思いが込められている。2年前から小学校給食のアドバイザーも勤めている。
クラシカルさを残しつつ、遊び心のある独自の料理
今年6月に9周年を迎えた「与志福」。8年連続でミシュランの星を取り続けることに対し店主の髙橋憲治氏は、「日々、料理の腕は着実に上がっているので、星を落とすという感覚はまずありません。お客様に〝おいしかった?と言ってもらえる仕事、自分の大切な人に食べさせたいという思いを肝に銘じていれば大丈夫」と語ってくれた。
その料理と向き合う姿勢を髙橋氏に教えたのは、一昨年に惜しまれつつ閉店した京都の名店「桜田」だった。大阪の専門学校時代にアルバイトしていた日本料理店の先輩の勧めで食べに行き、「こういう繊細で美しい料理を東京で出したい」そう心に一番響いた店だったのだという。その後9年もの間修業に励み、念願だった地元・下北沢周辺に店をオープン。土台となる桜田のクラシカルな料理に、フォアグラなど意外性のある食材の組み合わせや、定番以外の調理法を用いることで髙橋氏ならではの料理を確立。今では日本料理界に欠かせない、食通を唸らせる存在となったのだ。
一挙手一投足に気を配った美しい料理を作る
今回、髙橋氏が作ってくれた御椀は、北海道・利尻島の利尻昆布と、鹿児島・枕崎の本枯節から丁寧に出汁を取った店の挨拶代わりの一品。「日本の四季を感じられるのが和食の魅力」と、椀種にアイナメを使い夏らしい季節感ある椀に仕上げてくれた。
調理中、開放的なキッチンということもあって、調理過程を思わず目で追ってしまう。「常にお客様に見られているという意識を持つことで、美しい仕事ができる」と髙橋氏。一つひとつ無駄のない所作、上品な立ち振る舞いを目の前で見ているからこそ、より一層料理が美味しく感じられるのかもしれない。こういった姿勢も桜田から学んだのだという。「特別な日に訪れてくださったお客様の期待に応えたい」。その一心で今日も髙橋氏は与志福に立っている。
RESTAURANT INFO
店舗情報
-
御料理 与志福 (おりょうり よしふく/東北沢)
住所: 東京都中央区銀座4丁目12−1 GINZA12 10階 ▶︎MAP 電話番号: 03-6905-7767 営業時間: 12:00~14:30
18:00~22:00定休日: 水曜(昼の会席は月・水・木曜休み)