シェフの人柄が紡ぎ出す、客を惹きつけてやまない優しい出汁と優しい空間
神楽坂の有名店「虎白」小泉瑚佑慈氏よりバトンを受け継いだのは、三田のミシュラン二つ星日本料理店「晴山」の山本晴彦シェフ。手間暇かけて抽出した出汁の旨みが、ほっこりと心安らぐ時間を演出する。
Profile
山本 晴彦
栃木県足利市出身。エコール辻東京を卒業後、岐阜の日本料理店「たか田八祥」に入店。みるみる頭角を現し、25歳で支店「わかみや八祥」、29歳で支店「こがね八祥」の店長を歴任。2011年3月、31歳で東京三田に「日本料理 晴山」をオープン。開店から1年半後にミシュラン二つ星を獲得して、現在に至る。
人を夢中にさせる 幸せの出汁
三田「晴山」は少し不便な場所にある。「わざわざ調べて店に来て欲しいという思いから、あえてわかりにくい場所を選びました」と店主の山本晴彦氏。都営三田線の三田駅と白金高輪駅のほぼ中間にあり、どちらの駅からもゆっくり歩けば15分くらいかかる。にもかかわらず評判は口コミで広がり、オープンからわずか1年で、予約の取れない人気店となった。
その人気の秘密は出汁の旨さだ。手間暇を惜しまず、昆布、鰹、鮪の旨みをじっくり抽出した3種類の出汁を絶妙なバランスで組み合わせることで、他にはない豊かな風味とまろやかな口当たりを実現している。料理には作り手の人柄が現れるという説が正しいなら、山本氏は優しい人に違いない。「晴山」の料理を一口食べれば、出汁の美味しさが優しく体中に広がり、幸せな気持ちになる。この幸福感を味わいたくて、人はまたこの店を訪れる。
厳しい修行で導き出した お客様を喜ばす極意
山本氏が料理に目覚めたのは中学2年生の頃。家にあったレシピを見ながら作った料理を、両親が褒めてくれたことが原点だ。そこから料理を通して人を喜ばすことに目覚め、やがて「ホッと心が和むような日本料理
をつくりたい」と料理人を志すように。修業時代は持ち前のセンスと努力でたちまち出世した。しかしそれは先輩たちを追い抜くことにつながり、人間関係では苦労したそう。「自分の弟子にはそんな思いはさせたくない」と、若手を育成する上では、コミュニケーション力の強化に力を注ぐ。「お客様に喜んでもらうためには、スタッフ同士はもちろん、お客様とも楽しいコミュニケーションをとることが大切。ただ美味しいだけではなく、安心して食べてもらえる店作りを心がけています」と山本氏。なるほど「晴山」は居心地がいいはずだ。味はもちろん、店の雰囲気づくりにも、シェフの優しい人柄が反映されている。
「日本料理の世界もこれからの時代は男女関係なく、それぞれの個性を生かした若手の育成が大切」と山本氏。女性も4名修行中。
RESTAURANT INFO
店舗情報
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日本料理 晴山 (せいざん/三田)
住所: 港区三田2-17-29 グランデ三田 B1 ▶︎MAP 電話番号: 03-3451-8320 営業時間: ランチ/12:00~14:30(L.O. 12:30)
ディナー/17:30~23:00(L.O. 21:30)定休日: 月曜日 ※火・水曜日はランチのみ休業 WEB: http://www.seizan-mita.com/