株式会社日本M&Aセンターは2026年4月に創業35周年を迎える。2024年4月、代表取締役社長に就任し、40代の若手社長として同社の〝第二創業〞を牽引するのが竹内直樹氏だ。
カリスマ経営者、三宅 卓氏(日本M&Aセンターホールディングス代表取締役社長)による力強いリーダーシップで成長してきた同社は、世界No.1のM&A総合企業を目指すと共にM&A仲介業界のリーディングカンパニーとして業界全体のレベルアップという責務を全うする。
日本経済の低迷を背景に、安心安全で透明性高いM&Aが求められる今、創業者のスピリットを受け継ぎつつ、どのような変革を行い、成長と飛躍を目指すのか。竹内社長が推し進める日本M&Aセンターの〝第二創業〞の姿について聞いた。
PROFILE
竹内 直樹氏
株式会社日本M&Aセンター代表取締役社長
1978年生まれ。広島県出身。2000年ノンバンク入社。2007年株式会社日本M&Aセンターに入社。主に中堅・中小企業と上場企業に対して買収提案を担う部署の責任者として、上場後のブリッツスケール(爆発的成長)に貢献。譲受け企業だけではなく、譲渡企業の成長も実現する成長戦略型M&Aの普及・啓発に尽力。2024年4月に株式会社日本M&Aセンター代表取締役社長に就任。株式会社日本M&Aセンターホールディングス専務取締役を兼務。
「8割経済」社会では現状維持=衰退生き残る手段としての成長戦略型M&A
日本の人口減少は歯止めがかからず、2045年には、15歳から64歳までの「生産年齢人口」は2025年に対し2割減少すると推計されている。例えば、内需型の企業の場合、消費者が少なくなることで売上高は2割減る。いわゆる「8割経済」の到来である。売上高が2割減れば、社員にこれまでと同じ給与を支払うのは難しくなるだろう。8割経済の危機を乗り越えるために、企業は成長し続けなければならないと株式会社日本M&Aセンター代表取締役社長 竹内 直樹氏は強調する。
「売上高と利益を増やしていきながら新たな雇用を生み出し、社員の賃金を上げていく。そして自社に関連する他の企業の成長も促す。それが地域の活力となり、地方創生、ひいては日本経済全体の活性化につながります。そのための有効な手段が日本の人口減少は歯止めがかからず、2045年には、15歳から64歳までの「生産年齢人口」は2025年に対し2割減少すると推計されている。例えば、内需型の企業の場合、消費者が少なくなることで売上高は2割減る。いわゆる「8割経済」の到来である。売上高が2割減れば、社員にこれまでと同じ給与を支払うのは難しくなるだろう。8割経済の危機を乗り越えるためM&Aなのです」
竹内氏は2024年から全国65か所で「成長戦略セミナー」を開催し企業の成長を目的としたM&Aの有効性を訴えてきた。
「セミナーの参加者は2000名を超え、成長戦略に関心を示す中堅・中小企業経営者が多いです。しかし、中には『頭では理解できても、あえてリスクを冒してまでM&Aにチャレンジする必要性を感じない』とおっしゃる経営者がいます。売上高数十億円規模でしっかり利益を出している企業の中には、成長戦略に関心はあるものの、現状維持を望む経営者が少なくないのです」
こうした経営者に対して、行動変容を促す格好の国の支援策が2025年にスタートした。それが、中堅・中小企業の成長を後押しする「100億宣言」だ。売上高100億円の目標を掲げる企業に対して補助金等が給付されるというもので、竹内氏はこの施策に注目している。「中堅・中小企業の経営者は地域経済や業界内での評価を重視する傾向があります。その経営者が売上高100億円を宣言し、それを実現すれば、企業は地域、業界から一目置かれる存在になります。成長戦略の必要性を感じていればなおのこと、経営者の意識が〝守り〞から〝攻め〞へと転換するきっかけになるのではと期待しています」
「100億宣言」を表明したら、経営者は本腰を入れざるを得ないが、そもそもなぜ目標が100億円なのか。目標達成した企業の経常利益率は、達成前に比べて2.7%高くなり、雇用が増え、平均賃金も1.4倍にアップしていることが分かる(「中堅・中小企業の成長実現に向けた研究会」中小企業庁2024年)。「日本M&Aセンターも2013年度に売上高100億円を突破しました。当時、年率2割以上の勢いで事業が拡大し、優秀な人材の採用が増えるとともに、お客さまを引き寄せる力が強まって、成長への好循環が生まれました。100億円の目標を掲げ、実行に向けた取り組みを推進していくことで、社員のモチベーションは確実に上がります。では、売上高100億円を目指して自社を成長させるにはどうしたらいいのか。
「企業の成長戦略にはオーガニック(自助努力)とレバレッジ(外部資源活用)があります。今後も急激な人口減少が見込まれる日本では、オーガニックだけで100億円企業を目指すのは困難と言わざるを得ず、レバレッジを活用して経営していくべきです。レバレッジはIPO(株式上場)が有効と言われますが、その壁は高く、準備に長い時間を要します。そこで、近年注目が高まっているのが成長戦略型M&Aなのです」
2025年に日本で行われたM&Aの件数は約5100件(レコフデータ調べ)。その中には後継者不在の企業が他社に譲渡する「事業承継型」も多いが、戦略的に成長を目指す企業が他社を買収する「成長戦略型」が年々増えていると言う。「企業の成長に必要なヒト・モノ・カネ・情報を得るには時間がかかります。これをM&Aによって手に入れることで、成長スピードを速められる。まさにM&Aは〝時間を買う手法〞です。かつてM&Aを成長戦略とすることはアドバンテージでしたが、8割経済が目前に迫った今、〝サバイバルの手段〞になったと言えるのです」
安心安全で透明性の高いM&Aを目指して企業の存続と発展に貢献
2000年代、後継者不在でも会社存続を望む創業オーナーの想いを叶える事業承継型M&Aが増加した。そして、M&Aが経営戦略の手法の一つとして浸透し始め、現在中堅・中小企業のM&Aは急成長している。良好な市場環境を背景に、M&A業界へ新規参入する仲介会社が急増した結果、乱立と言える状況になりモラルや業務品質の低下が起こり、業界全体の健全化が大きな課題になってきた。買収後も譲渡企業に経営者保証が残ることを悪用し、買い手が資産の切り売りや不採算事業を押し付け、譲渡企業に債務を負わせる等の問題が報道をにぎわす事態も起きた。
「お客さま自身もM&Aに関する知識を深めてきており、より安心安全で透明性の高いM&Aへのニーズが高まっていることを強く感じます。今まさに、M&A仲介業界は説明責任だけではなく、〝結果責任〞をも果たさなければならない時代に突入しているのです」
〝結果責任〞とは、狭義では、M&A仲介会社が譲渡企業の経営者保証解除を必ず確認すること。広義では、顧客がこのM&Aをやって良かったと満足する、質の高い事例を一つひとつ積み上げることだと竹内氏は言う。
「当社では、2025年4月からこれまでお手伝いをさせていただいた譲渡企業の経営者に連絡し、経営者保証解除の確認をしています。さらに同年10月から結果責任プロジェクトを立ち上げ、過去にお手伝いしたM&Aが譲渡企業、譲受け企業双方の成長につながっているかを検証し、〝結果責任〞をも全うする最適なプロセスを構築しています」
さらに竹内氏は思い切った社内改革を断行。2025年度のM&Aコンサルタント一人当たりの予算(目標設定)を見直し従来水準からの引き下げを行った。
「当社の創業者が目指したのは、世界一の成約件数や1兆円の時価総額といった数値目標の達成ではありません。少子高齢化が進む日本の未来を見据えた問題解決だという原点に立ち返り、予算改革を決断しました。
安心安全のM&Aを提供するためには、お客さまとのタッチポイントを従前の1.5倍から2倍に増やし、より緊密で丁寧なプロセスを構築する必要があります。予算を引き下げたことで生まれる時間の余裕がそれを可能にし、さらに、M&Aのプロフェッショナルとして、知識をアップデートするための勉強に充てることが可能になりました」
予算改革後の業績は、前年度を上回る見込みだと言う。
日本M&Aセンターは平成の時代に設立され、「M&A業務を通じて企業の存続と発展に貢献する」という理念のもとで成長してきた。そして令和の時代に入り、「最高のM&Aをより身近に」という新たなパーパスを掲げている。その実現のために、企業戦略として大きく3つの軸を方針にしている。
「一つ目は〝プロフェッショナルたれ〞。高度な知識とお客さまの想いを受け止める熱い心を持つだけでなく、時には『このM&Aはお客さまのためにならない』と中断する勇気も必要です。そういうプロフェッショナル集団をつくることで〝最高のM&A〞の提供を目指しています。
二つ目は〝データドリブンであれ〞。データには収集、分析、活用の3段階があり、中でも収集が最も重要だと考えています。私たちが35年間にわたるノウハウを駆使して積み上げてきたデータには、経営戦略を日々考え抜いている企業経営者の頭の中にある暗黙知までもが含まれています。この貴重なデータをAIで分析することで、M&Aコンサルティングにおける業務の効率化と提案力の強化を図っています。
三つ目は〝第二創業人材を育成せよ〞。常に『日本M&Aセンターは永遠のメガベンチャーである』という視点を持つ、エッジの効いた人材を育てたいと思っています。優秀であるだけでなく、その人の〝尖った〞部分がビジネス上の優位性や新しい価値創出につながり、さらなる改革と持続的成長を達成する、第二創業の頼もしい仲間になることを期待しています」
書籍の紹介
「成長戦略型M&Aの新常識」M&Aは「特別な手段」から「当たり前の戦略」へ
[新刊]2025年12月10日発行
前著から8年。今伝えたい
M&Aは「特別な手段」から「当たり前の戦略へ」
急激な生産年齢人口減少による「8割経済」の到来が見込まれており、厳しい経済環境を乗り越えるために、中堅・中小企業にとってM&Aが必要不可欠な時代に。業界再編、スタートアップ、第二創業など多様な事例を通じて、買い手・売り手双方の成長を実現する「成長戦略型M&A」の新しい常識と、経営者が実践できるノウハウを解説している。
トップ自ら育児休業を取得D&Iをグローバル水準に
日本M&Aセンターが掲げるパーパス「最高のM&Aをより身近に」は、日本国内にとどまらず、世界中で安心してM&Aに取り組める社会の構築を目指している。
「グローバル化を重要戦略としており、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)もその水準に追いつき、成長の源泉にすることが急務だと考えます」
M&A業界は伝統的に男性中心の構造が続いてきたが、日本M&Aセンターもコンサルタント約630人のうち女性の比率は約10%である(2024年度末)。
「コンサルタントは経営者に向き合う仕事です。必ずしも女性経営者の相談を受けるのが同性である必要はありませんが、現在の当社の男女比は改善の余地があります。実は中堅・中小企業の事業承継M&Aでは、経営者の奥さまの意向が大きなポイントとなるケースが少なくないのです。女性コンサルタントの感性やアプローチが鍵となり交渉が一気に進展することもあり、女性コンサルタントの存在はますます重要になると思っています」
女性コンサルタントの成長を後押しする上で欠かせないのが、成功事例のロールモデルだ。
「2024年度、初めて売上1億円を達成した女性コンサルタントに社長賞を贈呈しました。2025年度は女性の1億円プレーヤーがすでに複数生まれ、今後の女性活躍に大変期待しています。」
コンサルタント職だけでなく、女性管理職候補への研修、次世代の役員候補研修等も導入。さらに育児休業制度やベビーシッター利用補助整備など、女性活躍支援を強力に進めている。
また、女性だけでなく、男性の育児休業取得も推奨し、取得率は37%まで上昇している。竹内氏も2024年6月に育児休業を1週間取得した。
「24時間つきっきりで、ミルク、お風呂、寝かしつけ、夜泣き対応まで全部やり、本当にしんどい思いをしました。パートナーである妻と、体験に基づく言葉と感情を共有できるようになったことは大きな経験です。実体験をもって共感することが互いの信頼と絆を強めますから。男性も全員に育児休業を取得してもらいたいと思っています」
第二創業実現に向け力強く邁進する竹内氏。その行動力の源泉は何か。「社会人デビューは大手ノンバンクでした。中堅・中小企業の経営者に対する事業者向け融資の営業でしたが、自分の仕事の社会的意義について疑問を感じることもありました。
29歳で日本M&Aセンターに転職し、驚きました。M&Aのお手伝いをすると、お客さまが涙を流して喜んでくださるのです。『すごいビジネスだ、自分が社会に対してやりたかったことだ』と思ったことを鮮明に覚えています。会社と自分のミッションがピタリと重なって、ここで自らの存在意義を社会に示せるという思いが、今も行動力の源になっています。M&Aが安全安心なものであり、お客さまにとっても社会にとっても最適な選択肢の一つである世界をつくっていきます」
世界ナンバー1のM&A総合企業を目指す若き経営者の活躍から、今後も目が離せない。
「100億企業を目指す」をテーマに
書籍出版記念「特別講演」&「懇親会」を開催
株式会社日本M&Aセンターの竹内直樹社長の著書『成長戦略型M&Aの新常識 M&Aは「特別な手段」から「当たり前の戦略」へ』出版記念特別講演が2月4日(水)にシャングリ・ラ ホテル 東京で開催された。講演では、持続的な成長を目指す企業経営者を対象に、成長戦略の手段としてM&Aを活用するための実践的なヒントや具体的な戦略、さらに最新の事例を届けた。竹内社長の講演に続いて、12のグループ会社を持つTAKUMINOホールディングス株式会社の小野晃良社長が登壇。その後の懇親会は、同じ志を持つ経営者らが活発に交流を深める機会となった。
【竹内社長講演】
M&Aは、経営戦略の1丁目1番地〝最高のM&A〞を1社でも多く届けていく。
まず、株式会社日本M&Aセンターの竹内直樹社長による「100億企業を目指す」ための想いをまとめた著書の出版記念特別講演が行われた。
同社の紹介及び竹内社長の自己紹介に続いて、日本は生産年齢人口が2割減るという8割経済が目前に迫っており、国や行政が量的拡大から生産性革命へと大きく舵を切っていること、中小企業庁が〝100億宣言〞という施策を1年前に肝いりで打ち出し、宣言企業は2,241社となった(講演時点)ことが報告された。
いかにして売上高100億企業になるか。そのためには、自社株を活用した成長戦略を促進させる、つまりM&Aの活用が不可欠であると強く訴え、「成長戦略のためのM&Aは一昔前まではアドバンテージでしたが、今はサバイバルの手段です。M&Aは、まさに経営戦略の1丁目1番地なのです」と語った。
最後に、今年35周年、第二創業を迎える日本M&Aセンターの代表取締役社長として「〝最高のM&Aをより身近に〞というパーパスの下、最高のM&Aを1社でも多く届けることが私の存在意義と考えます」と力強く宣言した。
【小野社長講演】建設業の課題解決にはM&Aが必須
続いて登壇したTAKUMINOホールディングス株式会社の小野晃良社長から、
M&Aを活用した企業成長や経営の意思決定ポイントについて講演が行われた。
小野社長は東日本大震災復興事業による事業量増大をきっかけにM&Aの検討を始め、2015年以降、毎年のようにM&Aを実行し、現在は12のグループ会社を持つまでになった自社の状況を解説。
さらに日本の建設業の構造的課題に触れ、日本の建設会社の約6割が従業員5人未満であり、従業員5人未満の企業の1人当たりの生産性が大・中堅企業と比較して低いことを解説。この課題解決に取り組む小野社長は、M&Aにより企業を集約化し、生産性を上げ、賃金を上げていくことで業界全体の成長に寄与できると力説。加えて、外国人を含む人材採用や若手育成の教育にも力を注いでいると語った。
「M&Aは大変エネルギーを使うものですが、活用することにより利益を増やし、それを賃上げの原資に使い、福利厚生を拡充して、より良い企業グループを目指すことができるのです」と講演を締めくくった。
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