老後の生活を支えるのは公的年金だけではない
着実な資産形成と家計の見直しを実践
日本は少子高齢化、さらに人口減少に向かって突き進んでいる。2024年には日本人の3人に一人は65歳以上の「超高齢者大国」となり、2人の現役世代で一人の高齢者を支える計算となる。
日本の公的年金制度は“賦課方式”を取っており、その時々の現役世代が支払う保険料を財源とし、高齢者へ年金を給付している。少子高齢化・人口減少が進む日本では、給付の抑制・保険料の引き上げをしない限り、この方式を維持していくのは難しい。政府による年金制度改革なども思うようには進まず、現役世代の負担感は増す一方だ。
2019年に金融庁が公表した報告書では、無職の高齢夫婦世帯の場合、老後30年間で公的年金以外に2000万円が必要と記載されていたことが話題となった。いわゆる「老後2000万円不足問題」だ。ただこれはモデルケースであって、必要となる老後資金は家計の状況により異なるため一概には言えない。とはいえ、ゆとりある老後を送りたいと考えるなら、公的年金だけに頼るのではなく、可能な限り早い段階から資産形成のための自助努力を始めておくべきなのだ。
今から始める賢い資産形成で
不足しがちな老後の生活資金を準備
老後のための資金がどれくらい必要かは、どのような生き方をしたいかによって異なる。身体の自由がきくまでは働き続けたいという人もいれば、ある程度の年齢までに蓄えをして老後はゆとりある生活をしたいという人もいる。まず大切なのは。自分の場合安心して老後を過ごすのに十分な資金はどれくらい必要なのかを考えること。
生命保険文化センターが行った意識調査から、老後生活資金を計算してみよう。それによると、夫婦二人で老後生活を送るうえで必要な最低日常生活費は月額の平均値で22.1万円※1となっている。また、旅行やレジャー、趣味・教養、人との付き合いのための費用などをプラスした、充実したゆとりある老後生活のために必要な費用は月額の平均値で36.1万円※2。つまり老後のゆとりある生活のための費用は、最低日常生活費に加えてひと月あたり14万円となり、65歳から85歳までの20年間で計算すると3,360万円もの金額が必要となる。
夫婦二人でゆとりある老後生活を送るためには、公的年金に頼るだけではなく、資産形成をしっかりと行う必要がある。そのためにも必要なのは、自身の収入・支出の全体のバランスを把握し、お金の流れを知ることだ。下の図を頭の中に入れておくとよいだろう。収入があったら、まずは強制的に資産形成のためのお金を引き去っておき、預貯金や外貨預金、株式、投資信託などにまわす。それ以外の残ったお金の中で、生活費や自分への投資の費用として、工夫しながらやりくりをする。また負債がある場合はなるべく早く返済し、金利による負の効果を緩和しておくべきだ。ここで大切なのは、収入と支出のバランスを取っておくこと。無理をしてバランスが崩れることがないよう、できる範囲で工夫し、家計全体を継続的にチェックしていこう。
月に4,700ポイントも貯まる!?
“ポイ活”を利用した賢い家計の見直しを
お金をより多く貯めるには、支出を減らして節約するのが近道だ。ムダな出費を減らすことはできても、コツコツと節約を続けるには多少の我慢や無理がともなうことも。
そこでこれからの時代の賢い節約法としておすすめしたいのが、ポイントカードやクレジットカードなどを利用して、貯めたポイントを有効活用する“ポイ活”だ。ポイントは、オンラインサイトで購入したり、サイトを閲覧したりすると、ユーザーのアクションに応じて付与される。例えば、楽天の「楽天ポイント」、ドコモの「dポイント」など、目にしたことがあるだろう。貯めたポイントは、次の買い物をするときに使ったり、特典と交換したりと、工夫次第で賢くお得に活用できるのが魅力だ。
“ポイ活”を成功させるには、まずメインで貯めたいポイントを一つに絞り、ポイントを分散しないようにするのが鍵。次に、オンライン通販サイトや店舗で買い物をする場合は、利用するショップを決めておくこと。また使うクレジットカードやポイントカードも絞っておくことがポイントだ。利用するショップを決めておき、そのショップと提携しているクレジットカードを利用することで、ポイント還元率がアップし、より効率的にポイントを貯められる。また毎月支払う光熱費や通信費、保険料の支払いなども、ポイントを貯めているクレジットカード支払いに切り替えておくのも一案だ。
こんな試算もある。日常生活で楽天ポイントグループのサービスを使うと、どれくらいの楽天ポイントが付与されるかを検証したところ、標準的な二人世帯でひと月20万円程度の生活費の支出にたいし、楽天ポイントが約4,700ポイントも貯まった。年間に換算すると約57,000ポイントに相当する。この金額分の利息を年利0.01%の運用で得るためには、なんと年間6億円もの資金が必要となる。“ポイ活”は工夫次第で、運用よりも効率的に貯めることができるのだ。今すぐできる資産形成の一歩として、積極的に“ポイ活”に取り組みたい。
効率的な“ポイ活”で、賢く家計を節約
老後に備えて揺るぎない資産形成を
人生100年時代。老後の生活を豊かに充実させるためにも、今からしっかりと準備をしておきたいもの。それには、公的年金など社会保障制度や、自助努力による資産形成の方法を把握しておくだけでなく、身近なところから、例えば“ポイ活”で賢く節約しながら家計の見直しを始めることが大切だ。
とはいえ、何をすべきかが分からない、将来が不安だという人は、一度マネーセミナーを訪れてみては。最新の経済・金融の情報を盛り込みながら、ファイナンシャルプランナーなどの肩書を持つ講師が、マネー全般について初心者にもわかりやすく解説してくれる。個別相談会を実施してくれることもあるので、ぜひ活用したい。
記事監修/こんさるてぃんぐ・おふぃす
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独立系FP事務所こんさるてぃんぐおふぃす代表。家計診断、資産や退職金運用等お金のお悩みに寄り添ってきた人数は述べ1万人。整理収納アドバイザー目線での片付けながら誰でも簡単節約&貯めテクが評判。話題のセミナーは日経ウーマン掲載の他、執筆・ラジオイベントでも活躍中のお金のエキスパート。
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