TOP MAGAZINE特集 SUVに受け継がれるハイブランドのDNA

SUVに受け継がれるハイブランドのDNA

発行: 最終更新日:

人気の衰えないSUV市場に今、世界のハイブランドメーカーが次々と参入している。
トップメーカーがリリースするハイブランドSUVのアドバンテージとは何か?

SUVに受け継がれるハイブランドのDNA

世界的な人気が続くSUV市場に続々と登場するハイブランドSUV

SUV人気が止まらない状況だ。
SUVとは、「スポーツ・ユーティリティ・ビークル」の略で、セダンやクーペなどと同様に、クルマのカテゴリーを指す名称だ。もともとはオフローダーやクロスカントリーなどと呼ばれ、悪路走行に最適化した大型のタイヤに高い車高を特徴にしたモデルを指していたが、ここ数年は解釈が広がり、その特徴的なスタイルは踏襲しつつ、街中や日常使いができるモデルが登場し人気がブレイク。今や自動車メーカーの業績を大きく左右するほどのカテゴリーになっているのだ。

 昨年のSUV国内販売数は前年比120%で、その成長はまだまだ継続中だ。欧州での人気も同様で、2015年にはそれまで最も生産数の多かったセダンモデルを抜き、現在も市場シェア率トップをキープ。アメリカでは全自動車中のSUV比率が60%ともいわれている。そんな好況に各自動車メーカーはさらにSUV開発を強化し、次々とニューモデルを投入している。新モデルが発表されると競合メーカーが対抗的にニューモデルを投入するといった流れもできつつあり、特にここ数年はハイブランドメーカーの参入も相次ぎ、スポーツカーメーカーであるランボルギーニやマセラティに、高級車ベントレーからもSUVが登場。先日もあのロールスロイスが初となるSUVモデルを発表し、世界を驚かせたばかりだ。

 これほどまでにSUVが人気を得た理由は何か。それはセダンほどフォーマルではなく、ミニバンほど生活感もなくて、スポーツカーほど尖ってもいない。それでいてしっかりとこだわりが感じられるスタイリッシュなデザイン。居住性が良く十分な積載量を持つ荷室もあり、高めの車高は見通しが良く運転がしやすい。さらにその生い立ちからか、多少荒っぽく扱っても壊れにくそうなイメージまである。そんなクルマの良いとこ取りの隙の無さだから、人気がでない訳がないのである。

 しかし、ここまでマルチパーパスでラインナップも充実していると、次の悩みは「どのモデルを選択すればよいか」という点になるだろう。そこで今回は、「このモデルなら間違いなし」といえる、ハイブランドの最新SUVモデルをピックアップしてみた。スタイリングも実用性も高いレベルで両立している今時のSUVモデルの中にあって、ハイブランドメーカーが威信をかけてリリースしたSUVには、一体どんな魅力が詰まっているのか。そのこだわりのDNAを探ってみたいと思う。

1.名車カウンタックをモチーフにするなど、デザイン面でもブランドDNAを受け継ぐ外観。
2.マテリアルやステッチの選択で、エレガントにもスポーティにもカスタムできる内装。
3.走りのための最新デバイスを集約した、ドライビング欲を刺激するコクピット。

[LAMBORGHINI] URUS

余裕の5名乗車で最高速は300㎞オーバー
スーパースポーツとSUVが見事に融合した注目の「スーパーSUV」モデル

独創的なデザインとその希少性で、スーパーカーブランドの地位を確立しているランボルギーニ。同社初のSUVとして、今、世界で最も注目されているSUVの一台といえるのが、このウルスだろう。

 SUVの魅力は高い実用性だが、大人5人が余裕で乗車でき、ゴルフバック3つは入るであろうラゲッジスペースなど、ウルスの実用性もその例に漏れない。それでいて、スーパーカ ーブランドとしてのDNAもしっかり受け継ぎ、同社初採用となるターボエンジンは、V8 4.0Lで最高出力650PS、最大トルク850Nm、最高速度は305km/hという怒涛のエンジンスペックで、得られる高揚感はまさにランボルギーニそのものだ。

 サーキット走行からオフロードまで、異次元のスピードで駆け抜ける実力をもちながら、後部座席スペースは、乗り心地を含め快適そのもの。フロントシートの背面にモニターが装着されるなど、ラグジュアリー感も高い。まさに「日常使いができるスーパーカー」である。

   世界でオーダーする7割近くのユーザーがファーストランボルギーニだ。このウルスによって、ランボルギーニがより身近な存在になることは間違いない。

■ 全長5112×車幅2181×全高1638mm ■ ホイールベース=3003mm ■ 車両重量=2200kg ■ エンジン=V型8気筒ツインターボ/3996CC ■ 最大出力=650PS(478kW)/6000rpm ■ 最大トルク=850Nm(86.6 kg-m)/2250- 4500rpm ■ トランスミッション=8速AT ■ 駆動方式=全輪駆動 ■ 車両本体価格=28,161,788円(消費税込)

お問い合わせ:ランボルギーニ青山
電話:03-5413-2121
URL:https://www.cornesmotors.com/lamborghini

1.自動車高調整機能により車高は最大50mm上下し、乗降アシストとしても役立つ。
2.高い運動性能を象徴する専用スポーツシート。
3.SVRはランドローバー車の高性能モデルを開発する「スペシャル・ビークル・オペレーションズ(SVO)」が手がけている。

[LAND ROVER] Range Rover Sport SVR

モンスター級の高性能と伝統の上質さを併せ持った、スポーツ専業メーカーを脅かす最速レンジローバー

元祖高級SUVは?と聞いて、恐らく多くの人が名前をあげるであろうレンジローバー。1970年に登場した初代レンジローバーは、オフロードでの走破性と機能性に、快適性を併せ持つという自動車界に新たな価値をもたらし、特権階級の貴族などに好んで利用され、その機能性とデザインで、ルーブル美術館に初めて展示されたクルマとしても有名だ。

 その初代から数えて4代目の現行モデルの中で、オンロード性能に磨きをかけたのがスポーツ。そのTOPグレードが高性能バージョンのSVRだ。2018年モデルからは、最新のインフォメーション機能に4G通信機能、クルマを遠隔操作できる機能などを標準化。精悍さを増したエクステリアに、従来モデル比で25PS、18.6Nmの出力アップが施されたV8エンジンなど、最上級SUVに相応しい上質さと、スポーツ性能に磨きがかかっている。

 スイッチングで排気音を変更できる機能や、ヘッドレスト一体の専用スポーツシートなど、走り好きを唸らせるその演出を含め、スポーツカーメーカーのSUVに引けを取らないパンチ力あるオンロード性能を備えたSVR。上品さというレンジローバーの文法に「最速」の称号を加えた、かなり刺激的なモデルだ。

■ 全長4879×車幅2220×全高1803mm ■ ホイールベース=2920mm ■ 車両重量=2410kg ■ エンジン=V型8気筒スーパーチャージャー/4999CC ■ 最大出力=575PS(423kW)/– rpm ■ 最大トルク=700Nm(71.4kg-m)/–rpm ■ トランスミッション=8速AT ■ 駆動方式=全輪駆動 ■ 車両本体価格=16,810,000円~(消費税込)

お問い合わせ:ジャガー・ランドローバージャパン
電話:0120-18-5568
URL:https://www.landrover.co.jp/

1.AMGスタイリング(フロントバンパー・リヤスポイラー・リヤスカート)を標準採用したエクステリア。
2.ブラックで統一されたインテリアにウォールナットが高級感を添える。
3.ナッパレザーのシートは、シートヒーター、電動ランバーサポートを標準装備。

[Mercedes-Benz] GLS 550 4MATIC Sports

大人7名が余裕で乗れる室内空間に最高峰の上質感と走破性、安全性を手にしたメルセデスが誇る最上級SUV

SUVモデルを表す「GL」に、車格を表す「S」がついたSUVのSクラスモデル、すなわちメルセデスのフラッグシップSUVモデルがこのGLSだ。全長5.1m、全幅約2m、車重2.5 tという大柄なボディながら、最大出力455PS、最大トルク700Nmを発生する8気筒4.7Lツインターボエンジンと9速AT「9G-TRONIC」の組み合わせで、高い静粛性と上質で滑らかな走りを実現。さらに最新の4WDシステム「4MATIC」に、電子制御式エアサスペンション、アクセルやブレーキ、トランスミッションの制御を最適化するオフロードモードを加え、苦手な道などないと思わせる走破性を誇っている。

 室内は大人7名がくつろげる広さが確保され、それでいてラゲッジルームは680Lをキープ。シートアレンジによっては最大2300Lまで拡大可能だ。また、クルマの周囲360度をカバーするセンサーが車両や歩行者を検出し、状況に応じてアクセル、ブレーキ、ステアリングを自動アシストする、メルセデス自慢の「インテリジェントドライブ」も標準装備となる。

 2016年リリースのモデルだが、上質な室内空間に高い走破性と最新の安全性など、メルセデスの最上級SUVとして、その圧倒的な存在感はまだまだ健在だ。

■ 全長5140×車幅1980×全高1850mm ■ ホイールベース=3075mm ■ 車両重量=2560kg ■ エンジン=V型8気筒ツインターボチャージャー/4663CC ■ 最大出力=455PS(335kW)/5250-5500rpm ■ 最大トルク=700Nm(71.4kgm)/1800-3500rpm ■ トランスミッション=9速AT ■ 駆動方式= 全輪駆動 ■ 車両本体価格=15,300,000円~(消費税込)

お問い合わせ:メルセデス・ベンツ日本
電話:0120-190-610
URL:https://www.mercedes-benz.co.jp/

1.ボディはわずかに大型化されたが、車両重量はアルミ、炭素繊維などの採用で軽量化を実現。
2.12.3インチの大型ディスプレイを採用し、タコメーター左右にも液晶化が施されている。
3.さらに上質さが高まった室内。トランク容量は先代比100Lアップ

[PORSCHE] Cayenne Turbo 

衝撃のデビューから数えて3代目911らしさを増し着実な進化をつづけるハイブランドSUVのトップランナー

2002年の発表以来、ハイブランドSUV界を牽引してきたカイエンは、昨年末にフルモデルチェンジがおこなわれ、軽量化されたボディはより精悍に整えられ、エンジンやブレーキシステムはさらに強化、電子デバイスも最新モデルに更新されている。

 今回採用されたV型8気筒ツインターボエンジンは、最高出力550PS、最大トルク770Nmを得て、0-100km/h加速タイム4.1秒、最高速度286km/hと、最新のポルシェに相応しいパフォーマンスを発揮し、2列のフロントライトモジュールや21インチターボホイールなど、他モデルとはひと目で違いが分かる専用装備で風格の演出も怠りない。さらに、SUV初となるアダプティブルーフスポイラーは、エアブレーキとしての役割も備え、250km/hからのフルブレーキングでは制動距離が最大2mも短縮されるという。

 新採用の3チャンバーエアサスペンションは、オフロードの地形に応じて6段階の車高調整を可能にするなど、悪路での走行性能もしっかりアップデート。走りに磨きをかけ、質感も装備も大幅に向上させた新型カイエンターボは、最新のポルシェが最良のポルシェ。そんな言葉がぴったりの仕上がりなのである。

■ 全長4926×車幅2194×全高1673mm ■ ホイールベース=2895mm ■ 車両重量=2175kg ■ エンジン=V型8気筒ツインターボエンジン/3996CC ■ 最大出力=550PS(404kW)/5750-6000rpm ■ 最大トルク=770Nm(78.5kgm)/1960-4500rpm ■ト ランスミッション=8速ティプトロニックS ■ 駆動方式=全輪駆動 ■ 車両本体価格=18,550,000 円(消費税込)

お問い合わせ:ポルシェ ジャパン
電話:0120-846-911
URL:https://www.porsche.com/japan/

1.乗客の乗降に合わせ車高が40㎜自動可変する機能を搭載。最大渡河水深は超高級SUV最大の540mm。
2.最新モデルらしく大型のディスプレイが備わるが、メーターはこだわりのアナログ式。
3.ベンチタイプの「ラウンジシート」は3人掛けのファミリー向けだ。

[Rolls-Royce] Cullinan

ついに発表されたロールス・ロイスの極上SUV
あらゆる路面状況に対応する走りは、ドライバーズカーとしての魅力も大きい

高級の象徴・代名詞であり、世界最高のラグジュアリーカーと呼ばれるロールス・ロイスが、満を持して発表した最新SUVモデル、カリナン。パルテノンと呼ばれる大型のグリルに、象徴的なエンブレム「フライングレディ」、後席のコーチドアなど、その外観はひと目でロールス・ロイスと分かる伝統の方程式をしっかりと受け継いでいる。

 搭載される新型6.75LツインターボV型12気筒エンジンは、ロールス・ロイスらしい上質な乗り心地のために1600rpmという低回転で最大トルクを発生する躾となっている。同社初の4WDシステムと、毎秒数百万回の演算で路面状況に応じた制御を行うエアサスペンションで、「魔法の絨毯」と表される乗り心地も踏襲。また、ボタン一つであらゆる悪路走行をこなす最新の制御モードも備えている。後席は2人用と3人用を選択でき、2人用には専用のグラスやデカンタ、クールボックスなどを収めたセンターコンソールが備わり、後席ファーストの豪華装備も変わらない。「世界中のどんな場所においても、快適で最上級の旅、走りを提供する最高級SUV」と発表されたこのカリナンが、SUV市場に新たな価値をもたらすモデルであることは間違いないだろう。

■ 全長5341×車幅2164×全高1835mm ■ ホイールベース=3295mm ■ 車両重量=2660kg ■ エンジン=V型12気筒ツインターボ/6750CC ■ 最大出力=571PS(420kW)/5000rpm ■ 最大トルク=850Nm(86.7kg-m)/1600rpm ■ トランスミッション=8速AT ■ 駆動方式=全輪駆動 ■ 車両本体価格=未定(6月発表予定)

お問い合わせ:ロールス・ロイス・モーター・カーズ東京
電話:03-6809-5450
URL:https://www.cornesmotors.com/rolls-royce

1.バッテリー搭載位置の工夫で低重心化されたボディは、横転リスクが軽減され、高い運動性能にも寄与している。
2.後席は、2列4名から3列7名乗車までアレンジが可能だ。
3.ファルコンウイングドアは狭い場所や雨の日の乗降など、利便性がかなり高い。

[TESLA] MODEL X P100D

シリコンバレー発EVベンチャー
テスラのリリースする近未来SUVには、クルマの既成概念を覆す魅力が詰まっている

モデルXの魅力は、何といっても驚くほどの先進性だろう。たとえば、キーを持ってクルマに近づくと自動でドアが開き、運転席に座りブレーキを踏むとドアが閉まり運転システムが起動。すぐに走れる状態になる。車両の各種操作のほとんどをダッシュボード中央のタッチパネルでおこなうので、運転席周辺にほとんどスイッチ類が無い点も、未来感を楽しめるポイントだろう。自慢のオートパイロット機能は、8台のサラウンドカメラ、12個のセンサーにレーダーも駆使して、全方向を把握しドライバーをサポート。ソフトウェアも自動更新で常に最新の状態が保たれる。そして、ハイエンドモデルであるP100Dは、大人7人が乗れる大柄なモデルXを高効率モーターで軽々と走らせ、100km/h加速が3.1秒と、スポーツカー顔負けの速さを誇る。それでいて最長航続距離は542㎞と、実用性も申し分ない仕上がりなのだ。

 史上最も安全で速く、高機能なSUVを目指したというモデルX。充電設備の問題など課題はあるものの、ハイエンドSUVに相応しい完成度と実用性、そして先進性を備えたモデルXは、クルマの未来、新しい価値観に気づかせてくれる1台である。

■ 全長5030×車幅2270×全高1680mm ■ ホイールベース=2960mm ■ 車両重量=2487kg ■ パワートレーン=モーター ■ モーター最大出力=計611PS ■ モーター最大トルク=計967Nm ■ トランスミッション= – ■ 駆動方式=全輪駆動 ■ 車両本体価格=17,800,000円(消費税込) 

お問い合わせ:テスラモーターズジャパン
電話:0120-982-428
URL:https://www.tesla.com/jp/

END
※2021年11月30日現在の記事です。詳細はお問い合わせください。

others