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身近になった未来を体験
次はBEVを狙う

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バッテリーに蓄えた電気をエネルギー源に、モーターを駆動し走る電気自動車 BEV。
環境負荷の低さに加え、自動車という移動手段にこれまでに無い新たな価値を与え、次世代の乗り物に進化しつつある。
そんなBEVの可能性について考えてみたい。

Edit_POW-DER.

BEVの魅力と可能性を考える

100年以上にわたり化石燃料とエンジンを動力源としてきたクルマが、電気とモーターを利用したBEVに置き換わる流れが加速している。
そのBEVの存在意義を考えつつ、注目の車種を紹介する。

地球規模で問題視されている「環境悪化」の解決策として、各国自動車メーカーとユーザーが導き出した答えのひとつが、「BEV」だ。電気を使いモーターを駆動させて走るBEVは、走行中のCO2排出が無く、枯渇が心配される化石燃料を使用しないことも併せて、極めて環境に配慮された乗り物だ。そうした環境的なメリットとともに、自動車としての基本性能を高める副産物も得ている。アクセルを踏み込んだ瞬間から強力なトルクが立ち上がるモーターならではの特性で、パワフルでスムーズな加速が実現し、バッテリーが車体中央床下に搭載されることでの低重心化が抜群のハンドリング性能に寄与した。そして、エンジンによる振動や音が無くなり、これまでにない快適さも兼ね備えたのだ。

しかしその一方で、充電スタンドなどインフラ整備が道半ばであるのはご承知の通り。また、バッテリーのフル充電にはそれなりの時間が必要で航続距離もまだまだ短いなど、技術的な課題も残されてはいる。それでも、電力とモーターによって走るBEVという革新は、ITの進化と相まってテスラのような新興メーカーを登場させ、IT企業など異業種からの参入にもつながるなど、時代はまさに未来への入り口にあるといえる。世界の主要な自動車メーカーは今、その威信と生き残りをかけてBEVを次々にリリースしている。今回の特集では、そんな私たちの最も身近なツールの一つである自動車の未来を感じさせてくれる、期待のBEVを紹介したいと思う。

CHECK

新しいモビリティのカタチ「AFEELA」

「自動車は自動車メーカーがつくるもの」という概念を覆す力を持ったBEV。GoogleやAppleといったIT企業が自動車産業への参入を目論む時代となり、国内でも2022年に電気自動車とサービス開発でソニーとホンダが手を組み、ソニー・ホンダモビリティ(SHM)を立ち上げた。その新ブランドとなる「AFEELA(アフィーラ)」のプロトタイプは、全面タッチパネルの運転席、45個のセンサーによる自動運転レベルの向上、そしてソフトウェアのアップデートによる機能拡張など、まるでガジェットのような未来感が詰まった仕立てのBEVとなっている。  従来の自動車メーカーだけではつくれなかった、新しい発想で生まれる新しい価値を持ったBEVの登場に、今後も注目していきたい。

新しいモビリティのカタチ「AFEELA」

PORSCHE Taycan(ポルシェ タイカン)

充電航続可能距離:488km
● WLTCモード

日常使いからロングドライブまで楽しめるフル電動スポーツカー

さまざまなモータースポーツシーンで活躍し、RR(リアエンジン・リアドライブ)という唯一無二のピュアスポーツカー、911を生み出したポルシェ。そんな誰もが知るスポーツカーブランドが手がけた初のBEVということもあって、最高出力408PS(ローンチコントロール時オーバーブースト出力)、0-100km/h加速が5.4秒といったパフォーマンスが注目されるのは当然といえるだろう。しかし、タイカンの本当の価値はフル電動スポーツカーでありながら、十分なレッグスペースを備えた快適なリアシートや、407ℓという必要にして十分なラゲッジルームも兼ね備えていることだ。しかも、タイカンの航続距離は最長488km(WLTCモード)だから、毎日の通勤やショッピングから週末のロングドライブまで、余裕で活用できるのも嬉しい。また、タイカン自身がステアリングを操作し、自動駐車してくれるといった、先進の技術を搭載している点も見逃せない。

● 全長×全幅×全高:4965×1965×1395mm
● ホイールベース:2900mm
● 車両重量:2090kg
● 最高出力:408PS(ローンチコントロール時オーバーブースト出力)
● 最大トルク:345Nm(ローンチコントロール時最大トルク)
● 価格:¥12,860,000(税込)

BMW i5 M60 xDrive(ビーエムダブリュー i5 M60 xドライブ)

充電航続可能距離:516km
● WLTPモード

パフォーマンスに脈打つMの遺伝子がフル電動化でさらに進化!

BMW 5シリーズによりパワフルなエンジンを搭載し、さらに足回りを強化することでアグレッシブな走りを可能にしたM5モデルは、1984年デビューの初代から遂に8代目となる。その走りのDNAを継承したBEVが、このi5 M60 xDriveだ。今年8世代目に更新された最新の5シリーズのトップグレードモデルとして登場したこのi5 M60 xDriveは、前後軸にモーターを搭載。そのシステム出力は601psで、0-100km/h加速は3.8秒、最高速は230km/hを実現するなど、パフォーマンスはガソリンおよびディーゼル車、PHEV仕様とは一線を画している。また、30分で10%から80%まで急速充電が可能な81.2kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載していること、そして航続距離が516km(WLTPモード)であることも見逃せないポイントだろう。電動化によってさらに進化した“BMWの駆け抜ける歓び”を、ラグジュアリーかつスポーティなコクピットに座ってぜひ実感して欲しい。

● 全長×全幅×全高:5060×1900×1515mm
● ホイールベース:2995mm
● 車両重量:2380kg
● 最高出力:601PS
● 最大トルク:820Nm 
● 価格:¥15,480,000(税込)
※諸元に関しては、すべて欧州仕様値。

JAGUAR I-PACE(ジャガー Iペース)

充電航続可能距離:438km
● WLTCモード

英国の伝統に新たなコンセプトを加えたジャガー初のSU“BE”V

SUVボディに最先端の90kWhリチウムイオンバッテリーを搭載し、前後輪に配した“エネルギー効率97%”の自社製永久磁石同期式電気モーターによって走る、ジャガー発のゼロエミッションモビリティだ。このIペースの注目ポイントは、渡河水深50cmというSUVならではの走破性を持ちながら、0-100km/h加速4.8秒というスーパーチャージャーV8搭載のスポーツモデルと同等の走行性能も兼ね備えているところ。さらに、ジャガーはもともと振動&騒音が少ない電気モーターを密閉型にすることで、ノイズとバイブレーションをより低減。風切り音を最小限に抑えるシャープなエクステリアデザインと相まって、Iペースのドライビングに荒々しさは微塵もなく、むしろ粛々と走る。また、遠隔操作で乗車前にキャビンの冷暖房を作動させるリモートアプリや、埃や花粉などを取り除いて車内の空気を清潔に保つ空気イオン化テクノロジーといった先進の技術が、乗員を優しくサポートする。

● 全長×全幅×全高:4695×1895×1565mm
● ホイールベース:2990mm
● 車両重量:2230kg
● 最高出力:400PS
● 最大トルク:696Nm
● 価格:¥10,050,000〜(税込)

LEXUS RZ450e “version L” (レクサス RZ450e “バージョンL” )

充電航続可能距離:494km
● WLTCモード

BEVだからと言って気負わない! 肩肘張らない高性能が魅力の和製BEV

日本流の“おもてなし”を具現化した丁寧かつ高品質なサービスが自慢の「レクサス」。そのドメスティック・プレミアムブランドの最新BEVが、このRZ450eだ。新開発のBEV専用プラットフォームの床下に54.5kWhの大型バッテリーを、フロントに260Nm、リアに169Nmというトルクを発生するモーターを搭載する。しかし、その走りは怒涛の加速を売りにしている国内外の他メーカーBEVとは、決定的に異なっている。RZ450eはアクセルを踏んでも、至ってマイルドに加速するのだ。また、インテリアもBEVだからと言って特異なキャラクターを強調せず、レクサスならではのハイクオリティ&ハイセンスな雰囲気に仕上げられている。つまるところRZ450eの魅力は、BEVであることをまったく意識せず、ごく普通の“クルマ”として運転できることに尽きる。さらに494kmの航続距離と、対話型ボイスコマンドで丁寧に対応してくれるインフォテインメントシステムが、より快適かつ安全なロングドライブを約束する。

● 全長×全幅×全高:4805×1895×1635mm
● ホイールベース:2850mm
● 車両重量:2090kg〜
● 最高出力:203.9PS
● 最大トルク:266Nm
● 価格:¥8,800,000(税込)

TESLA Model S Plaid (テスラ モデルS プレイド )

充電航続可能距離:600km
● WLTPモード

モビリティの未来を予感させるコンセプト&パフォーマンス

電子書籍デバイスの会社から自動車メーカーへ転身した『テスラ』。2006年に「炭化水素経済から太陽電池経済への移行を促進」を掲げ、いち早くBEVをリリースしてきた新興ブランドのフラッグシップモデルが、このモデルSプレイドだ。パワートレインとバッテリーユニットを一体化させたプラットフォームにより、1020PSという無双のパフォーマンスと600kmという驚異の航続距離(WLTPモード)を実現。なにしろモデルSプレイドは並いるスーパースポーツカーを抑え、0-100km加速2.1秒という“量産されているどのクルマより速い”加速性能を誇っているのだ。しかも、新しいモジュールとパックの温度設計によってより早く充電できるようになり、どんなシーンにおいてもより多くのパワーを発揮するのも、BEVユーザーには心強いファクターだ。また、テスラ自慢の先進の自動運転技術(オートレーンチェンジ、オートパーキングなど)は、まさに近未来感を体験できる。

● 全長×全幅×全高:5021×1987×1431mm
● ホイールベース:2960mm
● 車両重量:2190kg
● 最高出力:1020PS
● 最大トルク:967Nm
● 価格:¥15,969,000(税込)

セカンドカーにお勧めのBEV

取り回しが楽で都内でのチョイ乗りにも最適なコンパクトBEV。
スタイリッシュで実用性も兼ね備えたモデルが登場しているので、まずはセカンドカーとしてBEV体験をしてみるのもありだ。

VOLKSWAGEN ID.4 Pro (フォルクスワーゲン ID.4 プロ)

充電航続可能距離:618km
● WLTCモード

77kWhの大容量リチウムイオンバッテリーを搭載し、618kmの航続距離を実現。電気モーターとトランスミッションを車体後軸上に配置することで、モーターが発生する力強いトルクをきちんと路面に伝達。アクティブにロングドライブが楽しめるBEVだ。また、機能的で快適なインテリアと543〜1575ℓのラゲッジルームが、幅広いドライブシーンをサポートする。

● 全長×全幅×全高:4585×1850×1640mm
● ホイールベース:2770mm
● 車両重量:2140kg
● 最高出力:204PS
● 最大トルク:310Nm
● 価格:¥6,488,000〜(税込)

FIAT 500e ICON(フィアット チンクエチェントイー アイコン)

充電航続可能距離:335km
● WLTCモード

コンパクトボディに最高出力118PS、最大トルク220Nmを発揮するモーターを搭載し、街中から高速までアクティブな走りを実現。「ノーマル」「シェルパ」「レンジ」という3つのドライブモードを選択可能で、さらに運転の楽しさが広がる。ミニマルかつシンプルなエクステリア&インテリアデザイン、必要十分なラゲッジスペースがお洒落なカーライフを約束する。

● 全長×全幅×全高:3630×1685×1530mm
● ホイールベース:2320mm
● 車両重量:1330kg
● 最高出力:118PS
● 最大トルク:220Nm
● 価格:¥5,220,000(税込)

※2023年9月5日現在の記事です。詳細はお問い合わせください。

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