TOP MAGAZINE特集 蕎麦前を粋に愉しみ大人は蕎麦屋で遊ぶ

蕎麦前を粋に愉しみ
大人は蕎麦屋で遊ぶ

蕎麦いっこん

肴をあてに酒を傾け、香り立つ蕎麦をすすり、
最後は蕎麦湯で整える。その一連の流れにこそ、日本ならではの〝粋〞が宿る。
今回は、粋な大人の嗜み「蕎麦前」が愉しめるおすすめの店をご紹介。
蕎麦と酒が織りなす、豊かな時間へご案内。

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粋な愉しみ方
「蕎麦前」の歴史

「蕎麦前」とは、蕎麦を食べる前に酒と肴を愉しむ江戸発祥の食文化。江戸時代から庶民の食として親しまれてきた蕎麦。当時は注文が入ってから手打ちをし、提供までに時間がかかっていたそうで、蕎麦を待つ客は蕎麦に乗せるかまぼこや天ぷらを先にもらい、それを肴に酒を呑み時間を潰していたという。それが蕎麦屋の慣習となり、江戸っ子たちはこの蕎麦を待つ時間を「蕎麦前」として愉しみ、蕎麦屋を社交の場としても利用していたそうだ。そんな粋な蕎麦屋での過ごし方は、食を急がず、余白を愉しむ日本人の美意識として今に受け継がれ、蕎麦と一品料理を織り交ぜた蕎麦割烹やコーススタイルなどに進化を遂げながら、「蕎麦前」文化として愉しまれているのだ。

蕎麦割烹 橙

蕎麦割烹 橙

蕎麦割烹 橙

蕎麦割烹 橙

「蕎麦前」の流儀

蕎麦屋に入り、いきなり蕎麦をすすらない。それが「蕎麦前」の流儀。まずは、酒を一献。特に好まれるのが、蕎麦の風味を引き立てる日本酒だ。そのあとに、板わさや出汁巻き玉子といった肴で軽く舌を慣らし、ゆるやかに気持ちをほどいていく。呑みすぎず、あくまで主役はこのあとの蕎麦。そこに、粋な大人の美学がある。「蕎麦前」とは、単なる〝食前酒〞や〝前菜〞ではない。酒で場を温め、肴で出汁の旨みを知り、最後に蕎麦を味わう。その一連の流れと時間を愉しむ姿勢そのものが、「蕎麦前」の粋な流儀だといえるだろう。

夕星

夕星

銀座蕎麦割烹 橙

夜のコース料理(15,000円~ 税込)では3種類の蕎麦が味わえる。その中の一つ「からすみそば」は、おつまみとしてコース前半に提供。日本酒「八鹿スパークリング Niji」との相性も抜群だ。

夜のコース料理(15,000円~ 税込)では3種類の蕎麦が味わえる。その中の一つ「からすみそば」は、おつまみとしてコース前半に提供。日本酒「八鹿スパークリング Niji」との相性も抜群だ。

中国料理「Wakiya」が手掛ける
新進気鋭の実力派蕎麦屋

無類の蕎麦好きである「Wakiya」グループオーナーの脇屋友詞さんが自分好みの蕎麦屋を形にした「蕎麦割烹 橙」。日本一の蕎麦打ちの名人と崇められる高橋邦弘さんに師事した実力派の店主が打ち上げる蕎麦は、江戸蕎麦文化の王道「二八蕎麦」。本格派の蕎麦と脇屋氏ならではの中国料理のエッセンスを盛り込んだ蕎麦前メニューを一緒に愉しめるのが最大の特徴だ。蕎麦打ちの技術を活かし、田舎や十割、粗挽き、更科、変わりそば等、希望に柔軟に対応してくれる(予約時に要連絡)。割烹仕立てのコースをメインに、ここでしか味わえない逸品を堪能したい。

蕎麦前の逸品

フカヒレ玉子
(2,000円 税込)

蕎麦汁仕込みの出汁巻き玉子を割ると、「Wakiya」の代名詞であるフカヒレが中から顔を出す。出汁の風味と玉子の甘さにフカヒレが融合した、意外性のある逸品。

蕎麦汁仕込みの出汁巻き玉子を割ると、「Wakiya」の代名詞であるフカヒレが中から顔を出す。出汁の風味と玉子の甘さにフカヒレが融合した、意外性のある逸品。

  • 「シラス醤と季節野菜」(1,000円 税込)。シンプルに茹で上げ、素材そのものの旨みを提供する。

    「シラス醤と季節野菜」(1,000円 税込)。シンプルに茹で上げ、素材そのものの旨みを提供する。

  • 樹齢2000年の香杉のカウンターテーブルが目を惹く、落ち着いた雰囲気の店内。上質でリラックスした時間を演出。

    樹齢2000年の香杉のカウンターテーブルが目を惹く、落ち着いた雰囲気の店内。上質でリラックスした時間を演出。

蕎麦割烹 橙

住所: 東京都中央区銀座5-10-5 スリーY’S & D 3F
電話: 050-3662-0054
営業時間: 12:00~15:00(L.O.14:30)/17:00~22:00(L.O.21:00)
定休日: 日・月曜日

※サービス料別途10%

代官山夕星

夜のコース料理(15,000円~ 税込)では3種類の蕎麦が味わえる。その中の一つ「からすみそば」は、おつまみとしてコース前半に提供。日本酒「八鹿スパークリング Niji」との相性も抜群だ。

一番人気の「十六夜」コース(7,200円 税込)。フレンチシェフが「夕星」の蕎麦に合わせるために作った「ずわい蟹と帆立貝のムースのテリーヌ」はぜひ味わいたい逸品だ。

江戸切り蕎麦とフレンチのエスプリ
を効かせた逸品の融合に脱帽

「江戸時代、フランスの田舎町に日本の蕎麦屋があったら?」という面白いコンセプトを掲げる「夕星」。名店仕込みの「十割手打ち」の江戸切り蕎麦と、系列店のミシュラン星付きフレンチレストラン「レザンファンギャテ」のシェフが手掛ける小料理のマリアージュが愉しめる異色の蕎麦屋だ。蕎麦には茨城の契約農家で有機肥料のみで育てる風味豊かな蕎麦粉(常陸秋蕎麦)を使用。毎日石臼で丁寧に挽き、その日の気温・湿度に合わせて水量を調整しながら手打ちしている。お酒は料理との相性や好みに合わせてセレクトしてくれるのも愉しみだ。

蕎麦前の逸品

前菜三種盛
(1,600円 税込)

コースの八寸としても提供している「前菜三種盛」は、炙りスモークサーモン、鴨のロース、牡蠣の醤油煮など、旬の味覚を使用。季節ごとに違った味わいが愉しめる。

コースの八寸としても提供している「前菜三種盛」は、炙りスモークサーモン、鴨のロース、牡蠣の醤油煮など、旬の味覚を使用。季節ごとに違った味わいが愉しめる。

  • 江戸時代に名を馳せた葛飾北斎と歌川広重の浮世絵と、フランスを彷彿とさせる洋風のインテリアが調和したお洒落な店内。

    江戸時代に名を馳せた葛飾北斎と歌川広重の浮世絵と、フランスを彷彿とさせる洋風のインテリアが調和したお洒落な店内。

  • 日本酒の五味の立体感を愉しめる純米大吟醸「醸し人九平次」が、逸品の美味しさを引き立てる。

    日本酒の五味の立体感を愉しめる純米大吟醸「醸し人九平次」が、逸品の美味しさを引き立てる。

夕星

住所: 東京都渋谷区恵比寿西1-30-13 グリーンヒル代官山1F
電話: 050-5487-9838
営業時間: 11:30~15:30(L.O.15:00)/17:00~21:30(L.O.21:00)
※土曜日、日・祝日は~20:30(L.O.20:00)
定休日: 月曜日(祝日の場合は翌火曜日休み)

恵比寿蕎麦いっこん

蕎麦いっこんの名物「大せいろ」を含んだコース料理でも、和食材を活かした蕎麦前メニューを堪能できる。さまざまな銘柄を豊富に取り揃えた日本酒と共に味わって。

蕎麦いっこんの名物「大せいろ」を含んだコース料理でも、和食材を活かした蕎麦前メニューを堪能できる。さまざまな銘柄を豊富に取り揃えた日本酒と共に味わって。

50種以上の蕎麦前メニューと
鮮度に拘る二八蕎麦を五感で愉しむ

豊富な蕎麦前メニューを取り揃えた「蕎麦いっこん」は、オープンキッチンのライブ感、素材本来の旨みを活かした料理で、五感で味わう蕎麦時間を提供。店名にもある〝いっこん(一献)〞の精神どおり、まずは刺身や天ぷらなど旬の一品料理を肴にお酒を傾けた後、最後にこだわりのブレンドで仕上げた「二八蕎麦」を提供する流れを大切にしている。蕎麦前メニューの「鴨わさ」や「極太メンマ 山椒煮」は、出汁や蕎麦のかえしをベースにした味付けで、蕎麦の風味を損なわないよう工夫。自然と〆に蕎麦が食べたくなるようなメニュー構成にも注目してほしい。

蕎麦前の逸品

蕎麦前五点盛り
(1,890円 税込)

蕎麦のかえしや醤油で味付けした鴨を使った「鴨わさ」や、仕込みに3日間かかるという「極太メンマ 山椒煮」など、蕎麦屋ならではの味わいが愉しめる料理が一皿に。

蕎麦のかえしや醤油で味付けした鴨を使った「鴨わさ」や、仕込みに3日間かかるという「極太メンマ 山椒煮」など、蕎麦屋ならではの味わいが愉しめる料理が一皿に。

  • 蒸し鶏と野菜をふんだんに使い、満足感とヘルシーさを両立させた「蒸し鶏と香味野菜の胡麻ぶっかけそば」(1,500円 税込)など、創作蕎麦も豊富。

    蒸し鶏と野菜をふんだんに使い、満足感とヘルシーさを両立させた「蒸し鶏と香味野菜の胡麻ぶっかけそば」(1,500円 税込)など、創作蕎麦も豊富。

  • 和モダンな店内には半個室もあり、会食や接待にも利用しやすい。

    和モダンな店内には半個室もあり、会食や接待にも利用しやすい。

蕎麦いっこん

住所: 東京都渋谷区恵比寿1-21-17
電話: 03-6277-0860
営業時間: 11:30~14:30(L.O.14:00)/17:00~22:30 (L.O.料理21:30 ドリンク22:00)
※土曜日、日・祝日は~22:00(L.O.料理21:00ドリンク21:30)
定休日: なし

広尾蕎麦割烹 こうもと

出汁と蕎麦つゆ、少量のオリーブオイルを九一の手打ち蕎麦に和え、日本酒で磨いた旨みの強い吟醸からすみをたっぷりとかけた「吟醸からすみ蕎麦」(1,650円 税込)。

出汁と蕎麦つゆ、少量のオリーブオイルを九一の手打ち蕎麦に和え、日本酒で磨いた旨みの強い吟醸からすみをたっぷりとかけた「吟醸からすみ蕎麦」(1,650円 税込)。

静謐な空間で愉しむ蕎麦割烹の真髄。
また帰ってきたくなる大人の隠れ家

広尾の閑静な住宅街にひっそりと佇む「蕎麦割烹 こうもと」。一歩足を踏み入れるとまるで日本旅館に訪れたかのような上質な空間が広がる大人の隠れ家的蕎麦割烹店だ。厳選した旬の蕎麦粉を「九一」の割合で打ち上げる蕎麦は、細目でしっかりとしたコシが特徴。看板メニューの「吟醸からすみ蕎麦」をはじめ、その時季にしか食べられない季節の一品料理を、日本酒や300種を超える多彩なワインで愉しめる。気分に合わせてアラカルトで頼むも良し、コースでその日のおすすめを少しずつ堪能していくのも良し。大人の蕎麦時間をゆっくり堪能したい。

蕎麦前の逸品

飛騨牛握り寿司
(4貫 3,960円 税込)

岐阜県飛騨市にある飛騨牛専門店「肉の沖村」から仕入れる上質な飛騨牛の赤身肉を炙り、握り寿司にして、おろしポン酢でさっぱりといただく逸品。

岐阜県飛騨市にある飛騨牛専門店「肉の沖村」から仕入れる上質な飛騨牛の赤身肉を炙り、握り寿司にして、おろしポン酢でさっぱりといただく逸品。

  • 階建ての店内にはカウンター席やテーブル席、ソファ席、個室を完備し、あらゆるシーンとニーズに合わせた使い方が可能。

    階建ての店内にはカウンター席やテーブル席、ソファ席、個室を完備し、あらゆるシーンとニーズに合わせた使い方が可能。

  • 日本酒や焼酎の他、カリフォルニアワインやシャンパーニュとのマリアージュもおすすめ。

    日本酒や焼酎の他、カリフォルニアワインやシャンパーニュとのマリアージュもおすすめ。

蕎麦割烹 こうもと

住所: 東京都港区南麻布5-1-10
電話: 03-3440-1166
営業時間: 17:00~23:00(L.O.21:30)
※土曜・祝日は~22:00(L.O.21:00)
定休日: 日曜日


三田蕎麦切 砥喜和

素材本来の甘みや香りが引き立つ揚げたてのかき揚げは、その時季、一番の旬の素材を使い、軽やかな薄衣でサクッと揚げるのが特徴。「かき揚げせいろ」(2,190円 税込)。

素材本来の甘みや香りが引き立つ揚げたてのかき揚げは、その時季、一番の旬の素材を使い、軽やかな薄衣でサクッと揚げるのが特徴。「かき揚げせいろ」(2,190円 税込)。

季節を映す逸品料理に心ほぐれる。
蕎麦通が憩う、三田の隠れ家蕎麦処

江戸時代、武家屋敷が建ち並んだという旧三田綱町(現、港区三田二丁目付近)。その閑静な街に佇み、江戸の〝粋〞を感じる本格江戸前蕎麦と和食料理を愉しめる「蕎麦切 砥喜和」は、北海道産のソバ「キタミツキ」を使用した「自家製二八蕎麦」が代名詞だ。細目に打ち上げた蕎麦は喉越しが良く、香り高い味わい。そして「どこにも負けないくらいの辛口」だという蕎麦つゆは、みりんではなく熊本産「赤酒」が使われる。蕎麦の風味と、キリッとしたつゆの相性は言うまでもない。全国より厳選した日本酒や和酒などと合わせて味わいたい。

蕎麦前の逸品

出汁巻き玉子
(930円 税込)

蕎麦つゆと同じ出汁をたっぷり含ませることで、箸を入れた瞬間に黄金色の出汁が溢れ出す。醤油をひと垂らしした大根おろしと共に味わえばお酒も一層進む。

蕎麦つゆと同じ出汁をたっぷり含ませることで、箸を入れた瞬間に黄金色の出汁が溢れ出す。醤油をひと垂らしした大根おろしと共に味わえばお酒も一層進む。

蕎麦切 砥喜和

住所: 東京都港区三田2-6-13コート三田
電話: 03-6435-2178
営業時間: 11:30~14:30(L.O.14:00)/17:00~22:30(L.O.22:00)
※土曜日、日・祝日は~21:30(L.O.21:00)
定休日: 月曜日


目白蕎麦おさめ

当日使用する分のみ自家製粉し、「せいろ」「粗挽き」「玄挽き」の三種に打ち分けるという蕎麦(各1,320円 税込)は、売り切れ次第、その日の営業は終了するのだそう。

当日使用する分のみ自家製粉し、「せいろ」「粗挽き」「玄挽き」の三種に打ち分けるという蕎麦(各1,320円 税込)は、売り切れ次第、その日の営業は終了するのだそう。

築100年の風情ある古民家で食す
在来品種を使用した希少な蕎麦

目白駅から徒歩7分。民家が並ぶ閑静なエリアにある築100年の古民家に店を構える「蕎麦おさめ」。趣ある日本庭園を眺めながら、和の風情が漂う店内で蕎麦前を嗜む豊かな時間に、思わず東京にいることを忘れてしまいそうになる。そんな非日常の空間で味わう「十割蕎麦」は、全国20産地ほどから仕入れた希少な在来品種のソバの実を使用。品種改良をせず、土地の風土と共に育った在来品種の蕎麦には、力強い香りと生命が宿るという。「会話を弾ませながら、美味しい蕎麦前を愉しんでもらいたい」。そんな店主の温かなおもてなしの心が息づく店だ。

蕎麦前の逸品

だし巻き玉子
(990円 税込)

銅鍋で丁寧に巻き上げた特製の「だし巻き玉子」。軽快な飲み口の後に、純米酒らしいお米の優しい旨みが口いっぱいに広がる日本酒「緑川 純米」との相性は抜群。

銅鍋で丁寧に巻き上げた特製の「だし巻き玉子」。軽快な飲み口の後に、純米酒らしいお米の優しい旨みが口いっぱいに広がる日本酒「緑川 純米」との相性は抜群。

蕎麦おさめ

住所: 東京都新宿区下落合3-21-5
電話: 03-6908-2362
営業時間: 11:30~14:30(L.O.14:00)/17:30~21:00(L.O.20:00)
※ランチはコースのみ(完全予約制)
定休日: 月・火曜日

※2026年4月7日現在の記事です。詳細はお問い合わせください。

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