味見が出来ない料理だからこそ 常に仕上がりをイメージする 固定概念に囚われない天ぷら。
「西麻布 拓」の石阪健二さんからバトンを受け継いだのは南青山の「天ぷら 元吉」の元吉和仁さん。アイディア溢れる職人が作り出す天ぷらに舌鼓。
Profile
元吉和仁
神奈川県川崎市出身。店内を飾る四季折々の花卉、ナプキン、陶器なども自らがデザインするこだわり。天ぷら専門店がもっと広がるよう、アイディア、技を出し惜しみしない天ぷら職人。
ゴールを決めて歩き出した 天ぷら職人への道
店主の元吉和仁さんが、こだわりを詰め込んで31歳の時に南青山に開店した『天ぷら 元吉』。
「実家が魚屋を営んでおり、母が新鮮な食材を使って作る天ぷらが大好きでした。高校生の頃『大好きな天ぷら屋は一人でもできるのでは』って思ったんですよね。まぁもちろん、一人ではできないんですが(笑)」
修業期間を10年と決め、ゴールを天ぷら専門店開店として進み始めた。天ぷらだけでなく幅広い料理の技術を身に付けたいと、大阪の調理師専門学校へ進み、卒業後は料亭、割烹で日本料理を学ぶ。二十歳の頃から修業の傍ら、好きな陶器を集めたという。「店を開いた時に、自分がいいな、と思った器で天ぷらをご提供したいと思い『これには天つゆを入れて』等とイメージしながら集めました」。こつこつと、しかし着実に夢を育み、今や予約の取れない話題の店を作り上げたのだ。
『天ぷらは熱々じゃないと』という固定概念はない
『元吉』の天ぷらには愛情が詰まっている。「シンプルな料理なので衣は大事。状態に合わせて洋服を着せてあげるイメージでしょうか」。一つのボールの中で粉の濃さを変え、毎日厳選している素材の状態によって、その日の衣を調整する。揚げ油もコーン・菜種・玉締め絞りの胡麻油と三種類をブレンドし素材の味を引き出している。
「道具にもこだわります。衣に最適な粉を振るうため、竹筒に目の大きさの違う網を張り、振るいを自分で作りました。網目ひとつで衣に違いが出るので菜箸も衣が壊れないよう太いものを使います」。
天ぷらは温度とタイミングが命。揚げたてを楽しむのはもちろんだが、揚げたてを食べたくても食べれない猫舌の方でも美味しく召し上がれるよう、急激に冷ます『北風』を考案し特許も申請している。溢れるアイディアを形にしているのだ。
美味しさだけでなく天ぷらへの深い想いが感じる一軒だ。
RESTAURANT INFO
店舗情報
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天ぷら 元吉 (てんぷら もとよし/南青山)
住所: 港区南青山3-2-4 セントラル青山No6 B-A ▶︎MAP 営業時間: 17:30~24:00 定休日: 日曜・祝日の月曜日