焼き鳥は「人を幸せにする食べ物」 その素晴らしい日本の食文化に 「温もり」と「やさしさ」を添えて。
「炭火焼肉なかはら」の中原健太郎さんからバトンを受け継いだのは目黒にある「鳥しき」の池川義輝さん。ミシュラン一つ星を獲得し予約のとれない焼き鳥店の秘密に迫る。
Profile
池川義輝
東京下町生まれ。日本の代表的な食文化である焼き鳥を、広く知ってもらうため海外での啓蒙活動を行っている。
「人を幸せにする食べ物」 焼き鳥店を開くために
『日本一予約のとれない焼き鳥屋』と言われる『鳥しき』は目黒駅東口を出て2分程歩いた路地裏に佇む。店構えは
風情があり、一見料亭のように見える。開店時間の18時になると、この時間を待ち構えていた予約客が店内に吸い込まれていく。
07年1月にオーナーの池川義輝さんは、長年の夢であったこの店をオープンさせた。
「幼少の頃から商店街にある焼き鳥屋は、私にとって身近な存在でした。
誰もが美味しそうにほおばる焼き鳥は『人を幸せにする食べ物ではないか』と思い、抽象的でしたがこの道に進みたい、と思いました」。
そして理想の店を作るために、学生時代には友人の実家の店を手伝い、『自分に足りないものを習得するため』にサラリーマンを経験。
焼き鳥店を100軒以上訪れお客様目線の研究にも余念はなかった。
その時に出会えたのが、のちに弟子入りし8年程修業を重ねた中目黒の『鳥よし』だった。
「温もり」と「やさしさ」全てはお客様のための空間で
「27歳で鳥よしに弟子入りしました。簡単な道ではないことは覚悟しました。実際30歳になっても独立はおろか、
焼きの段階までいけませんでした。」
修行を積み、ついに夢を実現し自らの店で歩みだした。素材の良さは折り紙付き。その良さをさらに引き出す”焼き”
は池川さんが一人で行っている。
「お客様一人ひとりの召し上 がるスピードと空気感を見て、次はこの串を、と見極めています。お客様には何も意識
することなく、ただ食事を美味しく召し上がっていただきたい。その環境を作り上げる事が、職人としての醍醐味です。
なので、ご予約をいただく時も毎月1日に声が聴ける電話にてお願いしております」と池川さんは言う。
予約を受けた時からその客のことを思う徹底したサービス精神が、この店の「温もり」と「やさしさ」の基礎になっているのだ。
RESTAURANT INFO
店舗情報
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鳥しき (とりしき/目黒)
住所: 品川区上大崎2-14-12 ▶︎MAP 電話番号: 03-3440-7656 営業時間: 18:00~23:00 定休日: 月曜日・祝日