「料理で想いを伝えたい」真っ直ぐな願いをこだわりの素材に込めて
「Eme」の武藤恭通(やすゆき)さんからバトンを受け継いだのは 新橋に店を構える「割烹 山路」の畠山義春さん。 料理への真摯な姿勢と確かな腕前に、今宵も多くの客が暖簾をくぐる。
Photographs_KIYOSHI_TSUZUKI / Words_SAYAKA NAGASHIMA
Profile
畠山義春
岩手県生まれ。高校卒業と同時に、ホテルニューオータニ幕張に就職。インドの和食料理店や銀座「すみのえ」、六本木「旬菜魚 藍」、銀座「割烹 智映」などでの経験を経て、2016年に「割烹 山路」を開店。「父は“伝説の寿司職人”として名高い藤本繁蔵氏の孫弟子に当たります。店名の『山路』は、父が藤本氏から譲り受けた屋号を引き継ぎました」。
追い求めるのは作り手の想いが伝わる料理
新橋・烏森神社の近く、飲食店が林立するエリアの2階に店を構える「割烹 山路」。店内はカウンター5席、4人がけテーブル2台という、他とは一線を画す落ち着いた空間が広がる。
「作り手の想いが伝わる料理を提供したいんです」と真っ直ぐに話す店主の畠山義春さん。地元の岩手で鮨屋を営んでいた父親の影響で料理人を目指すようになった。〝手作り〞を信条に丁寧な仕事にこだわり、毎朝築地に出向いて良質な食材を仕入れる。この店で提供するのは、故郷・岩手県産の野菜やそれら築地の鮮魚・旬彩を使ったおまかせコースのみだ。
「お客様には食事そのものを楽しんで頂きたいんです。季節感や調理法など、料理を口にしたお客様が〝何か〞を感じ取り、それが楽しい食事のきっかけになってくれれば嬉しいです」。
客の厚い信頼を集めた料理人としての真摯な姿勢
2016年に同店をオープンした畠山さんだが、満を持しての独立ではなかった。「本当はもう少し先の独立を考えていましたが、縁あって現在の物件を紹介してもらえることになったんです。この機会は逃せないと思い、手元の資金で何とか独立に漕ぎつけました」。
駆け足での開店ということもあり、しばらくは閑古鳥が鳴くことも多かったという。しかし、そんな中でも畠山さんにはポリシーがあった。「どんなに客足が少なくても、素材選びに妥協はしませんでした。毎朝築地に足を運び、納得のいく素材を仕入れてお客様をお待ちしていたんです」。
その料理人としての真摯な姿勢が訪れた客の信頼を集め、口コミで新たな客を連れて来ることも多くなった。確かな腕の評判は徐々に広まりつつある。
「この店は本当にお客様に育てて頂いていると感じます。だからこそ、これからもお客様を大切に、常に〝美味しくしたい〞という気持ちを持って料理を作り続けていきたいです」。
RESTAURANT INFO 店舗情報
-
割烹 山路 (かっぽう やまじ/新橋)
住所: 港区新橋2-9-12 フロンティアビル 2F▶︎MAP 電話番号: 03-6457-9828 営業時間: 月~土18:00~23:00(最終入店20:30、 L.O.22:00) 定休日: 日曜日・祝日