一流の技が生み出すすっぽん尽くしの品々に思わず言葉を忘れる
「aizbar」の江藤愛さんからバトンを受け継いだのは築地のすっぽん料理店「六寛」の上田真寛さん。京の伝統に独創性を加え、豊かな滋味を引き出す。
Words_TOMOMI KATO / Photographs_KIYOSHI TSUZUKI
Profile
上田 真寛
京都府出身。実家は京都の老舗旅館で、10代の頃から和食料理人を志す。京都の「たん熊」で10年間の修業を経て上京。和食の最高峰といわれる新橋の「京味」にて13年間さらなる研鑽を積んだ後、日本料理店「井雪」を銀座にオープン。その後2015年、築地にすっぽん料理店「六寛」を開店した。
築地駅からほど近く、看板も掲げていないひっそりとした佇まいに、初めて訪れる人は気づかず通り過ぎてしまうかもしれない。5年前の開店以来、舌の肥えた食通たちを唸らせてきたすっぽん料理の名店「六寛」だ。
店主の上田さんは、和食の最高峰との呼び声高い「京味」の出身。長年にわたり腕を磨いた後に独立し、今や予約の取りにくい名店としても知られる日本料理店「井雪」を開いた。
「すっぽん料理は京都ではとても馴染み深いものですし、『京味』『井雪』でもお出ししています。けれど、人によって好き嫌いの分かれる食材なので、好きな方にすっぽんの美味しさを存分に味わっていただきたいと考え、この『六寛』を開店しました」
単品での提供はなく、おまかせのコースのみ。だからこそ「常にお客様の様子に気を配ることが大切」と、上田さんは語る。「表情や会話の様子、苦手な食材やお好きな料理。それらをきちんと把握した上で献立を組み立てていきます」
これまでの経験を生かしつつ独自の取り方を確立したというすっぽんの出汁は、旨味がギュッと凝縮された濃厚な味わいが特長だ。使用するすっぽんは全て、国内でも名高い「服部中村養鼈場」から仕入れている。
「元々雑食で個体差の大きい天然ものに比べ、1年通して安定した質の高い味をご提供できます」という言葉に、専門店ならではのこだわりが垣間見える。
丸鍋をはじめ、レバーペースト、春巻き、炭焼き、茶碗蒸しなど、余すところなくすっぽんを堪能できる至福のひととき。伝統を受け継ぎながらもオリジナリティに溢れる、すっぽん好きにはたまらない店だ。
RESTAURANT INFO 店舗情報
-
六寛 (ろっかん/築地)
住所: 中央区築地6-6-6▶︎MAP 電話番号: 03-6278-7917 営業時間: 12:00~14:00/18:00~21:00(最終入店) 定休日: 不定休※要予約