「良いものをシンプルに」さばきたての活蟹を心ゆくまで味わう贅沢
「六寛」の上田真寛さんからバトンを受け継いだのは活蟹料理店「銀座 きた福」の鈴木啓太郎さん。客の目の前でさばく活蟹料理のコースが人気だ。
Words_TOMOMI KATO / Photographs_KIYOSHI TSUZUKI
Profile
鈴木 啓太郎
1973年生まれ、静岡県出身。高校時代に箱根の老舗旅館「仙郷楼」の厨房でアルバイトを経験。それがきっかけで卒業後は同旅館に就職し、和食料理人としての修業を積む。その後、都内の料亭や割烹で研鑽を重ね、料理長などを歴任。2015年6月、「銀座 きた福」の開店と同時に料理長に就任した。
「東京で活蟹料理を食べるならここ」との呼び声も高い「きた福」。赤坂の本店に続き、4年前にここ「銀座 きた福」がオープンすると、瞬く間に評判が集まり人気店となった。
その魅力は、客の目の前で活蟹をさばく、豪快かつ繊細な調理スタイルだ。個室に活きた蟹を丸ごと持ち込み、その場で包丁を振るうというライブ感。加えて、料理長の鈴木さんは「最も重要なのは鮮度。さばきたての蟹は、味も食感も全く違います」と語る。
「最上の美味しさを味わっていただけるのは、さばいてから約1時間以内。それ以上時間が経つと、蟹独特のにおいが出てしまいます。そのため活きた蟹にこだわり、余計な味付けも一切行いません」
「良いものをシンプルに。それが一番の贅沢だと思います」という鈴木さん。それだけに、味の決め手となる素材選びにもいっさい妥協はしない。「きた福」スタイルのルーツでもある北海道の活蟹専門店の目利きで、常に質の高い蟹を仕入れているのだという。
通年味わえるたらば蟹や毛蟹をはじめ、冬が旬の松葉蟹、希少な黄金蟹など、多彩に用意された蟹尽くしのコースは、刺し身からはじまり、レア、ミディアム、ウェルダン、焼きなど、一杯の蟹が鮮やかに姿を変え、舌と目を存分に楽しませてくれる。また先付けには、秋なら松茸や新いくらなど、旬の食材をふんだんに用いて季節感を演出する。
客との距離が近い分コミュニケーションも大切にし、さまざまな蟹談義に花が咲くことも多いという。洗練されていながらも温かみのある空間で堪能する極上の品々。一度味わえばきっと、それまでの蟹料理の概念が変わるはずだ。
RESTAURANT INFO 店舗情報
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銀座 きた福 (ぎんざ きたふく/銀座)
住所: 中央区銀座7-4-5 銀座745ビル3階▶︎MAP 電話番号: 050-3628-6368 営業時間: 12:00~15:00/17:00~24:00 定休日: 年末年始 ※要予約