選び抜かれた素材に柔軟かつ真摯に向き合い新たな表情を引き出す
「ZURRIOLA」の本多誠一さんからバトンを受け継いだのは南青山の日本料理店「伯雲」の坂本慎吾さん。 型にはまらない自由な発想で素材の力を活かしきる。
Words_TOMOMI KATO Photographs_KIYOSHI TSUZUKI
Profile
坂本 慎吾
1983年生まれ、東京都出身。日本料理の板前に憧れ、高校卒業後、辻調理師専門学校へ進む。都内の日本料理店での勤務を経て、2007年に日本料理「龍吟」に入社し、山本征治シェフに師事。龍吟本店にて2012年より副料理長を、2016年より料理長を務める。2021年1月、南青山に「伯雲」を開店。
南青山の閑静な住宅街に、ひっそりと浮かび上がる柔らかな光。今年1月にオープンした日本料理店「伯雲」だ。
店主の坂本慎吾さんは、日本料理の最高峰とうたわれる「龍吟」で12年にわたり研鑽を積み、本店料理長まで務めた実力の持ち主だ。修業時代に学んだことを「素材へのアプローチの柔軟性。最も良い状態に仕上げるため、あらゆる角度から素材に向き合うことです」と語る。
日本の豊かな四季を感じさせる料理の数々においても、重きを置くのはやはり“素材”だ。各地の生産者と直接やり取りして厳選した素材を仕入れ、そのポテンシャルを存分に引き出す。
「同じ素材であっても、火の入れ方、皮の焼き方ひとつで味わいは全く異なります。例えば鰹など誰もが食べたことがある素材でも『こんなに美味しいものなのか』という新たな一面をお見せしたい。技術の全てを素材の中に込めたいと思っています」
同時に大切にしているというのが、料理の温度と状態だ。味はもちろん温度や食感、香りまで、客の口に入る瞬間にベストな状態であることを目指す。また、料理に合わせる酒は、同じく「龍吟」出身であるソムリエの亀澤広義さんが担当し、日本酒のほかワインも豊富に揃う。
店名の「伯雲」は、禅語の「青山元不動」「白雲自去来」という対句に由来する。悠然とそびえ立つ不動の山を「日本料理」に置き換え、流れゆく雲のように柔軟な心で日本料理を彩りたいとの思いから、白雲に「人」を加えて「伯雲」としたのだという。確固とした技術や素材と、軽やかで自由な発想。そこにはきっと、日本料理との新たな出会いがあるはずだ。
RESTAURANT INFO 店舗情報
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伯雲(はくうん/外苑前)
住所: 港区南青山4-11-2 MAIYAビル1F▶︎MAP 電話番号: 03-6812-9613 営業時間: 17:30~23:30 休業日: 日曜、祝日