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木村屋總本店/酒種あんぱん

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一世紀以上変わらぬ製法で作られる、あんぱんの元祖

Photographs_HIDE NOGATA.

数あるパンの中でも、定番中の定番と言えば間違いなく「あんぱん」だが、この日本人が大好きな「あんぱん」を最初に作ったのが木村屋ということをご存知だろうか。

明治2年の創業時、国内で販売されていたパンは固くてパサパサしており、まったく普及していなかった。そこで創業者の木村安兵衛は、日本人の口に合うパンを作ろうと、大衆に馴染みのあった酒饅頭をヒントに酒種を使った「あんぱん」を生み出したのである。酒種によってしっとりと仕上がったパン生地の中にあんこが入ったこのあんぱんは瞬く間に人気となり、安兵衛と親交のあった政治家・山岡鉄舟の橋渡しにより、明治8年4月4日、明治天皇のお花見のお茶菓子として、献上されることとなる。この時、安兵衛は季節を感じられるようにと、八重桜の塩漬けをあんぱんに埋め込み、特別な「桜あんぱん」を製作。これが陛下に気に入られ、以降も宮内庁御用達として納めるようになったことから、4月4日は「あんぱんの日」として日本記念日協会に認定された。

それから一世紀以上たった今も、「酒種あんぱん」は安兵衛こだわりの製法で作り続けられている。パンの肝となる酒種は非常に繊細で管理が難しく、代々148年に渡り“種師”によって守り、受け継がれている。また、生地は酒種あんぱん用に調合した粉を使い、パンの出来を左右する発酵状態を生地の温度0.1℃、湿度1%刻みで管理を行う徹底ぶり。生地を作る職人は、触るだけで状態を見極めることができるのだそうだ。そして、あんは糖分が高くて色艶のよい北海道十勝周辺の小豆を、木村屋独自の方法で丁寧に炊き上げコクを引き出している。

あんの甘さにやさしいパン生地。この2つが合わさることで、なんとも上品な味わいを生み出しており、小ぶりなサイズも相まって、ついついもう一個と手が伸びる。今なお看板商品として一番人気なのもうなずける美味しさだ。ぜひ文明開化の時代に思いを馳せながら味わってみてはいかがだろうか。

木村屋總本店 お客様相談室
180円(税込)
TEL:0120-01-4873
URL:https://www.kimuraya-sohonten.co.jp/
※記事は公開日(2022年4月5日)当時の内容です。詳細はお問い合わせください。

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