大学全体で85%以上が取り入れている総合型選抜入試。その総合型選抜入試で圧倒的な合格実績を誇るのが、今回ご紹介するスイスにある全寮制の「スイス公文学園高等部」(以下KLAS)だ。ほとんどの生徒が日本の難関大学や海外の名門校に進学しており、その進学先には目を見張るものがある。
KLASの生徒が総合型選抜入試で圧倒的な強さを発揮する理由。その鍵は、学力だけでなく、子供の「人間力」を育む独自の教育にある。ここではKLASの独自の教育について紐解く。
未来のグローバルリーダーを育む教育環境
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四季を通して様々な活動を楽しむことができる。
壮大なアルプスの山々に抱かれた全寮制の高校KLASは、治安の良いことで知られる、スイスのヴォー州の学園都市レザンにある。スイスにあるのでインターナショナルスクールだと思う方がおられるかもしれないが、そうではない。帰国子女や外国籍の生徒は少数いるが、ほとんどの学生は日本のごく一般的な中学校を卒業した日本人だ。生徒の国籍の構成は日本にある一般の学校と変わらないが、大きな違いはKLASでは公用語が英語であることだ。
授業の半分以上が英語で行われており、生徒は日常会話からアカデミック・ディベート、プレゼンテーションまで、英語漬けの環境で3年間を過ごす。この英語を中心にした環境こそが、総合型選抜入試への強さにつながっている。
英語漬けの環境により多くの大学が重視する英語力(IELTSやTOEFLのスコア)がしっかりと身につくだけでなく、英語でのエッセイ執筆やディベートを通じて論理的思考と説得力が徹底的に鍛えられ、国際的な視野やコミュニケーション能力の書類審査や面接で高く評価されるのだ。
保護者の方の声
魅力/上位有名大学への高い進学実績
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海外への大学進学を含め、早い段階から自ら情報を集め、卒業後の進路を考え始める。
KLASに2人の子供を進学させた会社経営者の鳴嶋氏。初めて卒業生の保護者からKLASの話を聞いたとき、「公立中学で成績はクラスの真ん中。そんな自分の子にKLASはハードルが高すぎなのではないか」「英語も話せない息子には、全寮制、しかもスイスにある学校で勉強についていかれないのではないか」と不安を感じたという。その一方で「卒業生のうち3割が海外、7割が日本の大学に進学。日本の大学に進学したうち、慶應大学に5名、国公立や医学部、早稲田大、関関同立、GMARCHなど、8割以上が上位有名大学へ進学している事実に驚きました」と大きな魅力も感じていたという。
進学率の高さが表す教育の質
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スイスの全寮制で3年間生活する中で、周囲への感謝と将来への自信が芽生える。

スイスの全寮制で3年間生活する中で、周囲への感謝と将来への自信が芽生える。
先述の進学の実績は偏差値65~70の進学校に相当する進学率と進学先である。注目したいのはKLASの生徒の学力が、入学時は偏差値50~70と幅広く、偏差値が高い生徒ばかりではない点だ。普通の公立中学から私立進学校まで、多様な背景の生徒が集まり、互いに刺激を与え合う環境の中で、学力の底上げが叶えられているのだ。子供のポテンシャルを最大限に引き出す教育環境が整っているのが、KLASの大きな特徴になっている。
保護者の方の声
真の価値/国際交流の充実とリーダーシップ体験
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年間複数回あるスイス国内やヨーロッパ諸国への旅を通じて、各国の文化を体感する。
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地域の方々に日本の文化を伝える機会となっているOpen House(文化祭)。
鳴嶋氏は海外大学への進学率の高さや、日本の有名大学への圧倒的な進学実績が同校の魅力であると同時に、3年間で子供たちが経験する多様な体験こそがKLASの真の価値だと続ける。KLASでは、模擬国連、発展途上国へのボランティアトリップ、交換留学、ヨーロッパ諸国への研修旅行、英語ミュージカル、教育活動や生徒の成果を保護者や地域に公開するオープンハウスなど、国際交流の機会が充実していて、これらの活動は生徒の自主運営によって行われている。生徒全員が複数のリーダーシップを経験する仕組みもあり、寮生活や生徒会、体育祭、部活動でのリーダー経験を積むことができる。
「1学年45人定員と小規模だからこそ、子供たち一人ひとりに目が行き届きます。そうした環境の中で子供たちの能力が最大限引き出され、人格的にも大きく成長します」と鳴嶋氏は進学率だけではない、総合的な教育についても称賛する。
保護者の方の声
真の価値2/実社会で必要な能力が身につく
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様々な国の留学生とともに生活する機会を通じて、体験の中で多様性を学ぶ。
KLASではディスカッションやフィールドリサーチ、プレゼンテーション、グループワークなど、自らが考え行動する欧米スタイルの学びの場が設けられているが、鳴嶋氏はこうした参加型の授業スタイルにも言及。「参加型の授業によって、子供たちには社会で必要な能力を自然に身に付けることができ、社会に出た時の活躍につながっています」と鳴嶋氏。こうした学びのスタイルにより子供たちは目的意識を持ち、進路に関して主体性をもって考えるようになるという。鳴嶋氏の息子さんは映像に興味を持ち立命館大学映像学部に進学、その後、大手広告企業に就職している。また、上位大学に進学しなかった生徒たちも、芸術や薬学、パイロットなど、目的意識をもった進路を拓いていく。「子供が主体性を持って進学に取り組む。これは日本の高校生にはなかなか見られないのではないでしょうか」と鳴嶋氏は指摘する。
いじめなどの問題を寄せ付けない環境
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クモリンピック(体育祭)を作り上げる過程でお互いを尊重し合う風土が育まれる。
親元から離れた場所でのいじめや、留学する日本人学生が巻き込まれる薬物の問題を懸念する親御さんがいるかもしれない。KLASでは薬物問題や、いじめ、精神的な不安といった事例は、在校生や卒業生からほとんど報告されることはない。子供たちがそうした問題に巻き込まれないのは、学園生活が刺激に満ち溢れ、心に隙をつくらない教育環境にある。充実した日常こそが、問題を寄せ付けない決め手なのだ。
仮にいじめや不正があった場合には、罰則をもって厳しく対応。家庭的な温かい雰囲気を重視する一方で、全寮制ならではの厳格な管理とルールの存在が子供を守っているのだ。
いじめなどの問題がほぼ存在しないことは、多くの家庭が兄弟をKLASに通わせていることが、何よりの証となっている。
保護者の方の声
魅力/日本人としてのアイデンティティも育む教育
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日本を離れ、スイスの大自然の中での体験が、心身の成長を促す。
不動産業に携わる高橋氏には3人の息子さんがいる。その全員がKLASだ。
「息子たちは3人とも、都内の大学まで一貫の小中学校に通っていました。成績は普通で、英語も特に得意ということではなかった」と高橋氏は振り返る。
高橋氏は小児科医の奥様の知人をきっかけにKLASを知る。その方から紹介された『スイスの山の上にユニークな高校がある』という本を読み、海外の文化を学ぶと同時に、日本人としてのアイデンティティも大切に育てるKLASの教育に惹かれたという。ご長男も本を読み「ここに行きたい!」と目を輝かせKLASへの進学を決意。ご長男がKLASで日本の学校では体験できない、充実した高校生活を送っている姿を見た、下のお子さんたちも影響され、同校に入学している。
ご長男は2018年に同校を卒業し、国際基督教大学(ICU)に進学。大学院を経て大手コンサル会社に就職している。「中学時代にはごく普通のレベルだった英語を、卒業時には英検準1級~1級に相当するIELTS6.5まで伸ばすことができました。自分で考えて行動する力も備わり、進学前とは見違える程、成長しました」と高橋氏は誇らしげに語る。ご次男は2020年にKLASを卒業し、カナダの名門・ブリティッシュコロンビア大学に進学。メディア業界を目指し学んでいる。現在、三男さんがKLASに在籍。「長男と次男の別人のような成長を見ていたから、親子ともども進学先に迷いはなかったですね」と高橋氏は言う。
保護者の方の声
魅力/育まれる自立心
高橋氏のご次男は海外の大学へ進学しているが、受験や入学手続き、現地での生活準備までエージェントも使わず全て自分で行った。高橋氏は「親として心底感心しました」その自立心を称賛。高橋氏の話から、KLASが単なる進学校ではなく、子供たちの人間性を育み、グローバルな視野と自立心を養う場所であることが伝わってくる。「ネットには憶測によるネガティブな書き込みもあるようですが、ご興味をお持ちの方は実際に卒業生や、保護者の話を聞いてみて欲しい。そうすればどんな学校なのか、本当のことがわかります。うちの息子たちは、KLASによって人生を変えたと言っても過言じゃないと思っています」。さらに現在、三男さんが在籍していることに触れ、「三男も安心して同校にお任せしていますが、上の二人の子の同級生のご兄弟も数多く在籍しており、この学校を信頼しているご家庭の多さにも驚いている」と締めくくった。
最後に
先の読めない不確実な時代には、グローバルな視点で生き抜くための教育が求められている。こうした潮流は大学受験にも大きな変化をもたらし、「大学から偏差値が消える」との話も出てきている。これからの社会には総合的な力が必要との視点から、総合型選抜入試※が導入されるなど、教育を取り巻く環境は今大きく変わろうとしている。混迷の時代を生きる子供たちに、どのような教育が必要か、さらにどんな人間に育てたいかを考えてみるのはいかがだろうか。
※文部科学省の調査によると総合型選抜入試は、大学全体で85.6%、私立大学に至っては93.4%導入されているとのデータがある(2024年4月時点)。
※総合型選抜入試は学力試験だけではなく、志望理由書、活動報告書といった書類、面接、論文、プレゼンテーションなどを通じ、大学が求める人物像に合致する学生を多角的に評価して選抜する。