都内の3つ星レストランや星付きホテルなど約300店舗に導入される高級日本酒ブランド「MINAKI」。異業種から酒造の世界に飛び込み、新しい日本酒の価値を創り上げた株式会社REBORN代表、皆木研二さんの挑戦をたどる。
Text_IKUKO NODA. Photographs_HISHO HAMAGAMI.
PROFILE

皆木研二(みなき けんじ)
2015年株式会社プルークスを創業。動画クラウドソーシング事業を展開し2018年に株式会社JCOMに売却、子会社化。Bリーグのクラブ運営、投資事業などを経て 2021年株式会社REBORNを創業し、ラグジュアリー日本酒ブランド「MINAKI」を立ち上げる。2022年2月「MINAKI 極幻 GOKUGEN」をリリース。ブランド創設半年で、最も権威あるIWCの純米大吟醸部門で最高評価を獲得し、現在は都内の3つ星レストランや星付きホテルなど約300店舗に納入している。
特別な時間にふさわしい
日本酒を追い求めて
「シャンパーニュやワインには、ここぞという時に選びたい〝特別な一本〞が存在するのに、日本酒にはそういったものがありませんでした」
皆木さんが日本酒のイメージに違和感を覚えたのは、2020年頃。休暇を利用して日本各地を巡っていた時だった。一流と評されるホテルやレストランで日本酒を選ぼうとすると、日本酒の存在感が心もとなく、特に記念日やお祝いのシーンで飲むようなものがないに等しいことに気が付く。そこで皆木さんは考えた。
「ならばブランド力があり価格も品質も最高級、何より自分が欲しいと思える日本酒を自分で造ろうと思いました」
そうして誕生した「MINAKI」は、「時間を豊かに巡らせ、そのひとときを彩る」がコンセプト。味わいは極めてクリアで、ワインのように食事や時間の経過とともに香りや味わいの変化が楽しめるエレガントさも併せ持つ。
「酒蔵には、付加価値のある新しい日本酒に挑戦したいという想いはありましたが、市場は求めていないという課題がありました。求められるのは〝安くて美味しい日本酒〞だけなんです。そこで我々は開発コストをすべて負担し、完成した日本酒はすべて買い取って、従来とは異なる販路で販売する形態にしました。そうすることで、酒蔵が本来やりたかった挑戦を実現できるようにしたのです」
前職ではクリエイターと企業をつなぐマッチングを数多く行い、チームを編成する力を磨いてきた。そうした経験を積んできたことが、プロジェクト成功の土台になった。酒造りも「誰と組むか」が品質を左右する。そこで全国の酒蔵を訪ね歩き、つくり手の思想や空気感まで見極めパートナーを選定していった。
ただし、伝統を礎にした酒造りは、合理性だけでは成立しない世界でもあった。プロジェクトが頓挫しかけた経験もあったという。
「〝コミュニケーションが足りない〞と指摘されました。それまでと同じ感覚で、ビジネス的に進めすぎてしまったんですよね。その後は飲みや締めのラーメンをご一緒するなど、仕事以外の交流の時間も重ねました」
遠回りに見えるプロセスこそが、最良の日本酒を生むことにつながることに気づいたという
〝特別な時間〞とは
触れ合いや体験の中にある
皆木さんが重視するのは味わいだけではない。グラスの形状や提供温度、店の空気感まで含めた〝体験の設計〞だ。だからこそ販売先も厳選し、ホテルやレストランと密に連携しながら、MINAKIを最良の状態で提供する環境も整えることに心を砕いてきた皆木さん。
「人は物やお金があっても、それだけでは決して満たされない。やはり大切な人と過ごす時間があり、そこに体験やモノが加わって初めて特別な価値が生まれるのだと思います」 そんな〝特別な時間〞に、日本酒が選ばれる存在になってほしい──。皆木さんの挑戦と提案は、これからも続いていく。
Memorable Words
人生の節目や、大切な人と過ごす時間。
その素晴らしい体験の中に
僕たちの日本酒が存在できれば嬉しいですね。
MINAKIを取り扱っていただきたい店には実際に自分が訪問し、空間やサービスを確認した上で、こちらの想いや背景をお伝えしています。あるフレンチレストランでは、長年ワイン中心だったペアリングにMINAKIも取り入れていただきました。「やっと来てくれた」と声をかけていただいたときは、本当に嬉しかったですね。
パートナー選びでは、皆木さん自ら全国の蔵元を尋ね歩き、対話を重ね関係性を築いた。なかにはフランスのシャンパーニュ地方で経験を積んだ杜氏も。
ポルシェをはじめ世界の一流ブランドと共に「日本酒の感動を〝体験〞として届ける」イベントも各所で開催。

300本限定の「MINAKI 幻響 GENKYO」は、フレンチオークの樽内で熟成した純米大吟醸。ほか極幻等の商品がありMINAKIのHPにて予約受付。