和牛と真摯に向き合い 食べ手に喜びを届ける
赤坂の中国料理店「赤坂 維新號 本店」の鄭 彬さんからバトンを受け継いだのは、「銀座吉澤」の吉澤直樹さん。老舗精肉店の3代目として、熟練の目利きで肉を選び、和牛本来の美味しさを伝え続けている。
Text_SAYAKA NAGASHIMA. Photographs_MASAMI OHIRA.
松阪牛が広く知られる以前からその価値を見いだし、和牛への深い造詣をもって、精肉・卸の世界で厚い信頼を築いてきた方です。
赤坂 維新號 本店|鄭 彬(てい あきら)さん
Profile
吉澤直樹さん
神奈川県生まれ。大学を卒業後、食肉関連会社で経験を積み、1998年に株式会社吉澤畜産へ入社。2007年に同社代表取締役社長に就任し、精肉・卸・加工・飲食を手掛ける吉澤畜産グループを率いる。創業100年を迎えた2024年には銀座一丁目の新店舗開業を主導。老舗精肉店の目利きを受け継ぎながら、和牛の価値を食べ手へと伝えている。
旨い魚を求めて、寿司店の暖簾(のれん)をくぐる。ならば、旨い肉を味わいたいときに訪れるべきはどこか。その問いに答えてくれるのが「銀座吉澤」だ。
同店の母体は、「東京食肉市場」で仲卸を手掛ける老舗精肉会社だ。1924年の創業以来、肉を見極める確かな目利きを守り続けてきた。肉質や脂の質、血統や飼育法にまで目を配り、納得のいく雌牛のみを一頭買いする。
「牛を銘柄だけで判断するのではなく、産地や肥育の現場、枝肉の状態までしっかり見極めます。売れる肉ではなく、吉澤の基準に合う肉を選んで届けることで、生産者のこだわりや思いをつなぎ、お客さまにも喜んでいただけると考えています」と3代目の吉澤直樹さんは話す。
2024年、創業100周年を機に竣工した「吉澤銀座一丁目ビル」には、1階に精肉店、2階に銀座三丁目時代のすき焼き割烹「銀座吉澤」の流れを受け継ぐ肉処、3階に肉割烹が入る。肉割烹はカウンター席が中心となる新たな試みだ。肉割烹では、おまかせコースとして、目利きによって選ばれた牛肉に季節の魚介や野菜などを組み合わせる。常時5頭分ほどの牛肉をそろえ、その日の料理に応じて最適な肉を提供する。
「和牛の大きな魅力は霜降り、つまり脂にあります。本当に美味しい肉は脂の融点が低く、体温で溶けるため、しつこさがなく胸焼けもしにくい。甘みのある上質な脂が、他の食材の味わいまで引き立ててくれるんです。肉割烹では、その魅力を伝えていきたいですね」
吉澤さんが大切にしているのは、和牛の本当の美味しさを伝え続けることだ。
「国産牛肉の消費が減るなか、牛肉は赤身志向に寄りすぎてしまったと感じます。行きすぎた霜降り信仰がよいわけではありませんが、赤身と霜降りそれぞれの美味しさがある。日本が育んできた和牛の美味しさを大切にしながら、時代に合った形でその価値を伝えていきたいです」
RESTAURANT INFO店舗情報

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銀座吉澤
(ぎんざよしざわ/東銀座)電話番号: 03-3542-2981
交通: 東銀座駅より徒歩5分 住所: 東京都中央区銀座1-20-8
吉澤銀座一丁目ビル 3F
▶︎MAP営業時間: 17:00〜22:00(L.O. 21:00) 休業日: 日・祝日、年末年始 ◎18,000円(税込・サ別)~ ※サービス料10%