TOP MAGAZINE熱視線 ー夢追い人ー 公益社団法人日本プロサッカーリーグ チェアマン 野々村芳和「想いを伝えて仲間を増やす」

公益社団法人日本プロサッカーリーグ チェアマン
野々村芳和「想いを伝えて仲間を増やす」

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サッカーは自分の原点、全ての経験が今につながっている

2022年3月、史上最年少のJリーグチェアマンが誕生した。
Jリーグ黎明期に選手として人気を支え活躍した、野々村芳和氏だ。
アスリートならではのタフさで、日本サッカーを新たなステージへと導く。

Photographs_MASAHITO MASUMOTO.

PROFILE

野々村 芳和
野々村 芳和

1972年静岡県生まれ。慶應義塾大学卒業後はJリーガーとして活躍し、2001年に引退。解説者、指導者、コンサドーレ札幌の運営会社の代表取締役社長などを経て、2022年3月Jリーグの第6代理事に就任。

チームの司令塔だった現役時代
引退後はビジネスで手腕を発揮

サッカーが盛んな静岡県清水市に生まれ、小学1年生からサッカーを始めたという野々村芳和氏。小中高校ではチームの中心選手として活躍するも、試合中を問わず起こる心臓の発作にたびたび悩まされたという。それは後に病気と分かり手術で完治するが、当時は「発作は心の弱さのせい」と思い、常に心拍数を抑え平常心を保つよう気持ちのコントロールに励んだそうだ。それが災い転じてアスリートとしてのメンタルの強さを育む結果になったのかなと、野々村氏は当時を振りかえる。

大学卒業後、当時のジェフユナイテッド市原に加入。アグレッシブなMFとして活躍し、2000年にコンサドーレ札幌に移籍。1年目から副キャプテン(翌年にはキャプテン)を任され優勝に貢献した。当時野々村氏は印象的な言葉を残している。

「自分がボールに触らなくても勝てるチームを作りたい」

それまでの「個」の主張ではなく、「チーム全体」の強みをどう引き出し勝利するか。そのために自分はどう動くべきか。チームリーダーという立場は、目標達成のために何をすべきかを考えるきっかけになったという。現役引退後は解説者などを経て、2013年に株式会社コンサドーレの社長に就任。当時成績も経営もどん底だったが6年で営業収入3倍に、チームもJ1昇格と成功を収めその経営手腕でも注目を集めた。

「自分にできることは『これをやりたい』という想いを発信して、『面白そうだ』と思ってくれる仲間を増やすこと。周りの人達の得意分野を生かすマネジメントが、いい結果を生むということを学びました。

サッカーと関わることで
幸せになる人を増やしたい

発足30年という節目に大役を任されたことについて、野々村氏は自身の立場を冷静に分析する。

「この30年でJリーグは間違いなく成長しましたが、欧州の有名リーグと比べれば技術面も社会的な存在感もまだまだです。現在、クラブ数は58チーム。58のクラブがあれば58通りの考え方があり、輝き方や伸び代があります。しかし、今のような社会的に不安定な時代だからこそ、全クラブが一丸となって日本サッカーの価値向上を図るチャンスの時だと思っています。勝利という共通の喜びを目指すのはどのクラブや選手、サポーターも同じです。『サッカーと関わると幸せになれる』。そういう存在になること目指して、新たな視点や勢いを持って成長スピードを加速させることが、僕に与えられた役割だと思っています」

「組織のトップとして現状を打破できるか」との問いに、「もちろん、変えられると思っていますよ」と、さらりと答える野々村氏。そんなメンタルの強さはさすがアスリート出身というところか。この人なら「何かを変えてくれる」「Jリーグの新しい時代を作ってくれる」。野々村氏にはそんな期待をしたくなる魅力がある。野々村氏らしいチェアマン像で、これまで以上にサッカーの楽しさを伝えてくれる司令塔として、その活躍に大いに期待したい。

 

さすがは元Jリーガー、「最近はボールに触ってないよ」と言いつつも、リフティングのリクエストに快く応じてくれた。このフットワークの軽さに新しい時代のチェアマン像を垣間見た。

さすがは元Jリーガー、「最近はボールに触ってないよ」と言いつつも、リフティングのリクエストに快く応じてくれた。このフットワークの軽さに新しい時代のチェアマン像を垣間見た。

  • 現役時代は攻撃的なMFとして活躍現役時代は攻撃的なMFとして活躍

  • 社長時代も選手と同じ目線でサポート社長時代も選手と同じ目線でサポート

視察ではスタジアムにも足を運ぶ視察ではスタジアムにも足を運ぶ

公益社団法人 日本プロサッカーリーグ
住所:東京都文京区本郷3-10-15 JFAハウス9F
E-Mail:https://www.jleague.jp/

※2022年9月6日現在の記事です。詳細はお問い合わせください。

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