オン・オフ問わず着こなしを格上げしてくれる名品コート
Photographs_HIDE NOGATA.
流行に左右されず、オンにもオフにも使いやすい大人の定番コートといえばトレンチコートだろう。スーツスタイルはもちろん、カジュアルな着こなしにも対応できるため、1着は持っておきたいアイテムだ。その原点になったと言われるトレンチコートの一つが、今年創立170周年を迎えたアクアスキュータム製のトレンチコートである。
1851年、英国の小さなテーラーから始まったアクアスキュータムは、第一次世界大戦時に過酷な風雨の中で戦う兵士たちのために、防水加工を施した生地で軍用コートを製作。兵士たちが戦場で身を守るための「塹壕(トレンチ)」で活躍したことから、“トレンチコート”と名がついた。そんな生い立ちからして圧倒的な防寒性・機能性を備えていることが分かるが、戦後は王族や政治家、銀幕のスターたちに愛用され、一気にファッションアイテムとしての地位を確立していく。
そして1930年。今日の定番モデルとなっている「KINGSWAY」が登場。肩や腕を動かしやすいラグラン袖や雨の浸透を防ぐ背中のヨークなど、軍用コートしての名残を残しながらも時代に合わせたアップデートを重ね、2019年には、デザインと素材をリモデル。背ヨークはストレートに、袖は動きやすさを計算し発売当時の3枚袖へ変更するなど、旧来のデザインを蘇らせている。また、表素材は撥水性に優れた先染めギャバジンで、綿 100%の繊細な手触りと光沢がクラシカルなムードを引き立てている。
コートの中に着るインナーによって秋から春までの3シーズン着られるため、寒い日はニットで防寒性を高めたり、温かい日にはカットソーを合わせて軽やかな着こなしを楽しむのもいいだろう。合わせる靴やマフラーなどによって、幅広いコーディネートが楽しめるのも魅力だ。もし、これからコートを新調しようと思っているのなら、この名品コートを選択肢として加えてみてはいかがだろうか。