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山田平安堂 汁椀 白檀

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工芸美を日常使いに昇華させた美しい汁椀

Photographs_HIDE NOGATA.

味噌汁などの汁ものに頻繁に使用する「汁椀」。近年は手入れが簡単なプラスチック製や陶器製を好む人もいるが、古くから日本人に愛され続けてきた美しい漆器をおすすめしたい。

今回紹介する汁椀は、宮内庁御用達を賜り、現在も外務省を通して各国の大使館などにも納め、国内外に漆器の素晴らしさを伝え続けている「山田平安堂」の逸品だ。

創業者である山田孝之助は、京都の漆器屋で修行したのち、その魅力を広めようと1919年に東京に出店。その後、若い人にも漆器の良さを伝えたいとの思いから、伝統を大切にしつつ現代のライフスタイルにも合うオリジナリティー溢れる漆器を数々生み出してきた。なかでも中国の古い漆器に見られる技法「白檀塗り」に着目した「白檀」シリーズは、今から30年ほど前、1人のデザイナーの提案によって始まったものなのだという。当時は文様を描くためだけに使用していた白檀塗りだが、金箔やアルミ箔を貼った上から漆を塗ることで独特な美しい飴色を活かすデザインに昇華させた。また、白檀と黒を市松模様で描くことでコントラストが生まれ、華やかでありながら落ち着いた雰囲気を作り出している。この美しいデザインを生み出すため、職人達は箔が欠けたりムラにならないよう細心の注意を払い、一つひとつ丁寧に手作業で仕上げる。そんな白檀を始めとした同社が取り組む「工芸美の再定義」が評価され、2016年には日本ギフト大賞プレミアム賞を受賞している。

漆器は伝統工芸品のイメージから扱いが難しいと思われがちだが、通常の食器同様スポンジと洗剤で手入れが可能、かつ耐久性、耐水性、断熱性、そして防腐性が高いので、気軽に日常使いしやすいアイテムだ。またこの白檀は、経年により下の箔が少しずつ透けてくるため、変化を味わえるのも魅力。お正月などの特別な時だけでなく、ぜひ毎日の食卓で楽しんでみてほしい。

山田平安堂
汁椀 白檀
¥13,750(税込)
漆器 山田平安堂
TEL:03-3464-5541
※記事は公開日(2024年1月9日)当時の内容です。詳細はお問い合わせください。

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