服のベストコンディションを保てる一生モノの洋服ブラシ
Photographs_HIDE NOGATA.
スーツやセーターなどのホコリや花粉を除去し、生地繊維の流れを整えて服を長持ちさせられる洋服ブラシ。お気に入りの服のお手入れに1本は持っているという方も多いだろう。今回紹介するのは、一度使ったら手放せない機能性の高さでスタイリストなどのプロからも信頼が厚い「イシカワ」の高級洋服ブラシだ。
イシカワは、神奈川県横浜市に工房を構えるブラシ職人・石川和男氏が理想の洋服ブラシを追求するために創業したブラシメーカーだ。一般に流通している洋服ブラシの毛は硬く、「繊細な素材の高級スーツに適したブラシがない」と研究を開始した石川氏は、約20年ほど前、高級毛筆にも使われる馬の尾の根元に生える希少な「尾脇毛(おわきげ)」と出会い、試行錯誤の末、究極ともいうべき洋服ブラシを完成させた。
一般的な洋服ブラシが1本数時間で完成するのに対して、一生使えるようにと、あらゆる工程を妥協せず、3~4日をかけて作り上げている。通常の洋服ブラシは毛を機械でカットするため先端の切り口が円筒形なのに対し、「イシカワ」の洋服ブラシは1本1本精妙な手作業で均等に揃えるため円錐形をしている。それゆえ、繊維の奥の奥まで毛が入り、生地のホコリを外に掻き出しやすく、ニットの毛玉もキレイにほぐしてくれる。特に今回紹介する#120のモデルは、用途に合わせて数種類用意されるブラシの中でも特に毛が柔らかく滑らかで、ウールやカシミヤの他、繊細なシルクにも使える特に人気の逸品。繊細な生地を力一杯ブラッシングしても傷まないどころか、生地本来の風合いを蘇らせ、ツヤと光沢を深めてくれるので、常にベストコンディションを保つことができる。きっと初めて使う人はその仕上がりに驚き、この洋服ブラシ以外使えなくなるはずだ。
上質な洋服はクリーニングに出す度に風合いが劣化していくため、実はブラッシングによるお手入れが最適。この洋服ブラシは、お気に入りの服を長く大切に楽しみたい、そんな大人のこだわりに応えてくれる逸品なのだ。