伝統を受け継ぎ後世に残す 継ぎ人 匠

継ぎ人 その28

人々を楽しませる食のエンターテイナー

ISSUED | 2019.09

たいめいけん 三代目 茂出木浩司さん

  • 伝統ジャンル | 洋食 継 承 歴 | たいめいけん 三代目
  • 1967年、日本橋の洋食店「たいめいけん」の三代目として生まれる。高校卒業後、語学を学ぶため渡米。帰国後、フレンチレストランなどでの修業を経て「たいめいけん」に入り、1994年に27歳でシェフに就任。

人々を楽しませる食のエンターテイナー

黒い肌と白いコックコートとのコントラストが印象的。1994年に日本橋の老舗洋食店「たいめいけん」の三代目に就任するや、その強烈なキャラクターで一躍スターシェフの仲間入りを果たし、次々と新店をオープン。さらに企業とのコラボ商品をプロデュースするなど、飛ぶ鳥を落とす勢いで「たいめいけん」のブランド価値を高めてきた茂出木さん。さぞかし使命感に燃えて新しいことにチャレンジしてきたのかと思いきや、実はそうでもないらしい。

「何も変えてないんですよ。特に味はね。時代に合わせて塩味や甘味を調整したり、泡のソースを取り入れてみたりといったことはやっていますが、基本的なものは何も変えていません。僕の舌がレシピ。小さい頃に覚えた味を今もそのまま提供しています。子供の頃は祖父母も従業員もみんな同じ建物で暮らして、大きなお風呂に一緒に入っていました。生活の全てが『たいめいけん』という環境だったので、教わらなくても自然にレシピが身に付いていました。代々変わらないのが老舗の良さでもあるし、著名な方々にも愛された味だから変えられない。仕事であんまり外れたことができないから、自分自身がこうなってしまいました(笑)」

 人を楽しませることが大好きな根っからのエンターテイナー。お茶の間の人気者となり「たいめいけん」を「日本一有名な洋食店」にした今、少々窮屈さも感じているようだ。

「歩いているだけで目立つからすぐにSNSに書かれちゃうし週刊誌に貼り込まれるし、いろいろ大変なんですよ(笑)。オムライスの卵は火加減が難しい。人生も加減が大事。出る杭は打たれるけど、出過ぎた杭は抜け落ちてしまう。そうならないように注意しないとね」

  • 黒い雑草

  • 匠の言葉

    黒い雑草
    トレードマークの褐色の肌から白い歯をのぞかせて「花にならなくていい。雑草みたいにしぶとく生きたいね」と茂出木シェフ。老舗の看板の重みに負けず、上手に折り合いをつけながら自分らしさを貫く姿はまさに「黒い雑草」だ。

店舗情報

たいめいけん

  • 住所 東京都中央区日本橋1-12-10▶︎MAP
    電話番号 1F 03-3271-2463 2F 03-3271-2464
    営業時間 1F 月~土11:00~21:00(L.O.20:30)、 日・祝日11:00~20:30(L.O.20:00)
     2F ランチ11:00~15:00(L.O.14:00)、 ディナー17:00~21:00(L.O.20:00)
    定休日 1F 月休み(祝日の場合は翌日)、 2F 日・祝休み

    たいめいけんの看板メニュー「たんぽぽオムライス」はナイフを入れるとフワフワの半熟卵がライス全体に広がる楽しい一皿。1985年の映画『タンポポ』のために伊丹十三監督が考案したオムライスだ。

    たいめいけんの建物は昭和48年に竣工したもの。レトロモダンで素敵だが、日本橋地区再開発のためやがて取り壊され、リバーサイドへ移転する。

    創業以来変わらないコースターもおしゃれ。

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