老後も安心してくらしたい。そんな将来に備えて「お金を増やす・貯める」を考える女性が増えている。お金に関する有益な情報を知っている人と知らない人で今後の生活に大きな差が出てしまう可能性があるといわれる今、ここ数年で需要が増えているのが、お金の基礎知識を学べるマネーセミナーだ。なぜマネーセミナーが注目されているのか?参加するメリットはあるのか?全国で無料マネーセミナーを開催する東大式FPの講師、小原佳代子先生に話をうかがった。
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マネーセミナーの受講者が増えている理由
将来への不安を解消するためにお金を増やして貯める方法を学びたい、マネーセミナーに参加する多くがこのような理由だ。受給できる年金額が少ない、退職金も減っている、物価が上昇してお金の価値が下がりつつある。こうした社会情勢を冷静に見ると、貯金だけで老後を乗り切ることは難しく、むしろ損する可能性すらあるのが今という時代。資産運用や年金、節約など、お金に関する不安や悩みについて基礎知識を学び、その上で自分のマネープランを考えていくマネーセミナーは、「自分の将来」を考えるスタートラインともいえるだろう。そのため、初心者はもちろん、独学で勉強されている方、実際にお金を運用している方が、さまざまな理由からマネーセミナーに参加しているのが近年の傾向だ。
「受講者の多くは30〜50代の方ですが、始めるに遅すぎることはありません。お金の運用は、1日でも若いうちに始めることは、大きなメリットに繋がります。」このように語る小原先生の言葉通り、これからの社会は、お金の運用が老後の生活を左右する重要なポイントといえるだろう。
日本の金銭教育は欧米より遅れている
マネーセミナーへの参加が増える一方、お金の運用について躊躇してしまう背景には日本の金銭教育が関係していると小原先生は話す。
「小さい頃から学校や家庭でお金の管理や運用の仕方を学ぶ欧米に対して、日本はお金のことを人前で話題にしない風潮が昔から見受けられます。それ故、大人になってからどうやってお金を運用管理すればいいのか分からない方が多いのも事実です。」
老後2,000万円問題をはじめ、コロナ禍による収入の減少といったお金に関する不安が高まっている中、女性が家計を管理しているケースは圧倒的に多い。今まで関与してこなかった分野だからこそ、お金の基本を学ぶ場としてもマネーセミナーは注目されている。実際、元アナウンサーの経歴を持つ小原先生がFP(ファイナンシャルプランナー)を目指したのも、お金の知識がなかった自身の経験からだそう。
「私がFPを目指すきっかけは、母をガンで亡くしたことでした。保険に入っているから大丈夫と思っていたら、加入していたのは医療保険ではなく傷害保険。いざフタを開けてみたら、ガンの治療費も出ないし、亡くなっても死亡保険金はなし。お金を知らないって本当に怖いと思いました。知識があれば防げるという想いを持って伝えることを大切にしています。」それこそ数十年前に契約していた保険と新しい保険では、保障内容も異なる。保険会社によって保障対象の基準も違うことから、第三者の目としてFPを利用するためにも、お金の基礎知識は知っていて損はない。
マネーセミナーで得られる知識
漠然と不安に思っていたお金について「悩みの原因」をはっきりさせたい。こうした悩みを解決するために本やインターネットなど大量の情報から学ぶのは、時間だけが過ぎて非効率。2時間という限られた時間の中で得られる知識について、小原先生のマネーセミナーを例に5つのテーマをまとめてみた。
お金の整理
収入がある場合、どのようにして貯蓄や生活費に割り当てるべきか。効果的な家計簿のつけ方など、お金の整理を学ぶ。
お金の準備
老後の生活を視野に入れた時、年金以外でいくら準備しておけばいいのか。実際に計算しながら老後に必要なお金を考えていく。
お金の増やし方
iDeCoやNISAのメリット・デメリットをはじめ、資産運用や金融商品、保険など、具体的なお金の増やし方を知る。
お金の節約方法
効果的なガソリンの入れ方など、日常に密着した例を挙げながら支出の減らし方を学ぶ。
お金の守り方
病気や怪我をした際、貯蓄したお金を減らさないためにどうするべきか、お金の守り方を知る。
担当する講師によってマネーセミナーの内容は違うため、どこのセミナーでも同じ話が聞けるわけではない。小原先生のマネーセミナーでは、アナウンサーでの経験を活かし、身近な例えを交えながら分かりやすい言葉でお金の基礎について話すことを心掛けているそうだ。
東大式FPマネーセミナーの雰囲気
北海道から沖縄まで全国でマネーセミナーを展開する東大式FPは、アクセスが良いホテルでの開催が中心。どのような雰囲気でセミナーが行われているのか、小原先生にうかがってみた。
「マネーセミナーの定員は20名くらい。参加される女性の多くは、ひとりで来られる方がほとんどです。講義を聴いた後は、ホテルスタッフが出してくれるお茶とスイーツをいただきながら、質問をお受けしたり雑談をしたり……。ちょっとした女子会のような雰囲気になりますよ。自分のマネープランについてもっと具体的に考えたい方は、地元のFPが対応してくださる個別相談もあります。」余計な勧誘などは一切なし。お金の知識を頭に入れた上でどう行動に起こしていけばいいのか、希望者を対象にFPと具体的な個別相談ができることも強みといえる。
FPはお金のお医者さん
資産運用や社会保障、金融商品など、幅広いお金の知識を持つFPは、小原先生いわく「お金のお医者さん」と参加者に伝えているそう。
「熱が出たり体調が悪い時、掛かりつけのお医者さんに行くのと同じ。お金に困っている時に相談できる“お金のお医者さん”として頼れるFPがいると心強いものです。初心者の方でしたらリスクを抑えた運用方法を、すでに運用されている方なら自分に合っているのか再確認するきっかけにもなります。金利や株価は常に変動しますので、お金の知識をアップデートしてFPと一緒に不安や悩みを解決してください。」
何もしなければ貯蓄は変わらないし、低金利が続く日本では預金でお金が増やせない。ATMの時間外手数料を計算すれば、マイナスになる可能性も否めないだろう。10〜20年と長い目で見れば世界経済は上昇傾向にある現在、長期的に運用を続けることによってリスクが減少されることを考えれば、チャレンジしやすいのではないだろうか。どうしてもリスクを避けたい場合は、貯蓄型保険でお金を増やすという選択肢でリスクを抑えたまま定期預金より良い利率でお金を増やすことも可能だ。
マネーセミナーの参加方法
無料マネーセミナーの参加方法は、東大式FPの公式サイトより「全国マネーセミナー」のページから申し込みができる。全国で開催されていることから場所や日時によって講師が違うので、詳細を見てから申し込みフォームに入力することをおすすめする。
セミナー受講後に個別相談を希望する場合は、担当FPと日程を調整して、あらためて時間を取るのが通常の流れだ。オンラインで個別相談に対応するケースも一部あるが、実際に会って話すことで人柄がわかり、信頼関係にも繋がる。大事なお金のことだからこそ、対面でしっかり向き合いながら自分のライフスタイルに合ったお金の増やし方を考えてみてほしい。
これからのマネー問題をしっかり解決!
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小原 佳代子先生
慶應義塾大学文学部卒業。愛媛県、愛知県でテレビ局のアナウンサーとして活動後、フリーアナウンサーに転身。母親のガン闘病をきっかけにお金の大切さを実感し、2級ファイナンシャル・プランニング技能士資格を取得。現在はFPアナウンサーとして、お金に関する知識を分かりやすく伝える活動を行っている。19歳の時から毎日必ず家計簿を付けるのが日課。1児の母。