大人の男にとって永遠のロマンだ。
そんな夢を叶えるヨットの魅力を、アマチュアのレース&
クルージング セーラーの鞆安祥之さんに伺った。
Edit&Word_POW-DER. Illustration_MASARU OTSUKA.
PROFILE
レース&クルージング セーラー
鞆安祥之さん
高校生でディンギーを経験し、大学生でクルーザーヨットのレースに熱中。社会人になってもヨットに乗り続け、国内外のレースに参加する。1989年のギリシャの大会で4位、2003年のドイツ大会でも4位に入賞。現在でも相模湾でヨットクラブ対抗レースに出場し、仲間とのクルージングを楽しんでいる。
「ロープワークや艤装といったヨットに必要なスキルを教えてくれるスクールは日本各地に充実していますから、そこで体験・習得することができます。また、マリーナや海岸のショップなどが主催しているディンギー体験スクールで、海に出てみてもいいでしょう。風の力だけで海の上を進む爽快感はたまりませんよ」と、レース&クルージング セーラーの鞆安さんは語る。
1〜2人で湾内を帆走できる小型のディンギーは、海岸のマリーナやショップでレンタルすれば、初心者でも気軽に楽しめるのだ。さらに海やヨットに興味が湧いたら、次はクルーザーヨットで外洋に出るといい。
「クルーザーヨットはキャビン内にシャワーやベッドなどが装備されているので、沿岸に点在するマリーナを巡って日本全国を旅することもできますよ」と、セーリング(=ヨットの旅)の楽しさを語る鞆安さん。
そんな魅力的なヨットライフを満喫するための第一歩として、鞆安さんは「マリーナに遊びに行くことを勧めます。マリーナにはヨットの達人がいっぱいいますから、スキルのことはもちろん、購入や係留のノウハウについても教えてもらえます」とアドバイス。早速、最寄りのマリーナに出かけてみてはいかがだろうか?
ヨットの種類
ひと口にヨットと言っても、大きさや形はさまざま。大きくは「ディンギー」と「クルーザーヨット」に分けられる。小型のディンギーで操船などを学び、経験を積んだらクルーザーヨットにステップアップするといいだろう。
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クルーザーヨット
日本では5〜8mくらいのサイズで、2〜6人乗りが一般的(海外には60mを超える超特大クルーザーヨットもある)。キャビンにはベッドやトイレなどがあり、外洋をクルージングすることも可能だ。※写真はMoody DS41。
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ディンギー
サイズは2m弱から5mくらいのキャビン(客室)がない小型のヨット。1人または2人で、湾内を帆走するのが一般的だ。セイルの形や数によって、ガフ・リグ、キャット・リグ、スループ・リグなどの種類がある。
ヨットを楽しむためのQ&A[基本編]
Q1 ヨットに免許は必要ですか?
A.ヨットの大きさ(種類)によっては必要
エンジンも船室もないディンギーに免許は必要ないが、クルーザーヨットは出入港の際にエンジンで航行するため、1級・2級船舶免許が必要となる。マリーナやボートメーカー&ショップなどが主催している、船舶免許教習を受けるといいだろう。
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ディンギー 不要
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クルーザーヨット 必要
Q2 ヨットについて学びたいのですが?
A.スクールで体験・学習
初心者は港や海岸のショップなどが主催しているディンギーの体験スクールで、基本的なヨットの操作を覚えよう。次に、マリーナやボートメーカーなどが実施しているヨットスクールで、クルーザーヨットの操船を学ぶといいだろう。首都圏では「横浜ベイサイドマリーナ」(https://www.ybmarina.com)が人気だ。
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体験セーリング(横浜ベイサイドマリーナ)
セールを上げたり、舵を握って操船したりするなど、初心者でも安心してクルーザーヨットの体験ができる。2時間半の講習(午前あるいは午後)で大人¥7,700、小学生¥5,500(小学生は20歳以上の保護者同伴)。
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ISPAクルーザースクール(横浜ベイサイドマリーナ)
10m前後(30フィート程度)のヨットを操船・クルージングできるよう、知識と技術を身に付けるスクールだ。20時間ほどのオンライン講習の後、6日間でクルージング技術をマスターする(費用は¥242,000)。
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オンライン講習の後、ステップ2として「コンピテントクルー」を受講する。クルージング中、スキッパー(艇長)の指示の下、クルーとして十分な役割を果たす技術を学ぶ。
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ステップ3の「デイスキッパー」では実際に操船し、クルーとヨットの安全に責任を持ち、良好な天候条件の下、デイセーリングができるスキッパーを目指す。
Q3 マイヨットを購入したいのですが?
A.専門誌やネットで情報をゲット
ヨットに詳しくない初心者には、専門誌やネットのインプレッション記事が役に立つ。それらをチェックして、欲しい艇の性能や装備を吟味するといいだろう。また、専門誌の中古艇ページやネットの個人売買サイトを探すと、“掘り出し物”が見つかることもある。
『中古艇ドットコム』(外部サイト)が詳しい。
Q4 ヨットを係留するにはどうしたらいいですか?
A.ヨット&ボートのマリーナに係留する
購入したヨットはマリーナなどに係留、あるいは陸上保管する。係留費用は首都圏で人気の横浜ベイサイドマリーナの場合、10.5m未満のヨットの海上係留で年間¥1,300,000弱だ(保証金が別途必要。またメンテナンスの際は船台やクレーンの利用料金も必要となる)。
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横浜ベイサイドマリーナ(外部サイト)は首都圏にありながら、規模は日本最大級。サービス体制やセキュリティもしっかりしている。
海と人生を謳歌する ヨット厳選6艇
「ディンギーはシーサイドでレンタルして、半日ほど湾内で楽しむのがベター。クルーザーヨットは個人で所有、あるいは仲間とシェアして日本各地のマリーナを旅するといいでしょう」と鞆安さん。そこで、国内外の個性的なクルーザーヨットを厳選!いずれ劣らぬ名艇で、雄大な大海原を旅して欲しい。
※ヨットの価格は仕様によって異なるため、すべて要応談になります。
唯一無二の国産ビルダーが作るプレミアムで美しいヨット
OKAZAKI
1930年創業の岡崎造船。熟練の職人が作る高性能かつ高品質なヨットは、海外からも高い評価を得ている。その中でも船内にも操縦スペースを備えた、いわゆるパイロットハウス仕様がお薦めだ。全長9.99mの33 Deck Saloonは、日本の係留事情にマッチしたサイズが魅力。一方、全長10.99mの361 Deck Saloonは、取り扱いの容易さと快適性がバランスしている。
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33 Deck Saloon
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チーク仕上げの33 Deck Saloonのキャビン。キャビン右舷の写真はギャレーだが、ここに操船装置を装備して船内で操縦することもできる。
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前方にはトイレやフォアキャビンもあり、コンパクトながら乗員6名が快適にセーリングすることができる。
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361 Deck Saloon
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キャビン左舷にソファ、右舷にコックピットを配し、船の中から操縦できるのが魅力だ。前方にはトイレやベッドルームが装備。
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リアデッキには平行タイプのシートと、ステアリングポストがレイアウトされている。乗員は最大6名。
ラグジュアリーなデザインが世界中のセレブに大人気
Hanse 315
1990年の設立以来、洗練されたスタイリングとラグジュアリーな内装で、世界中のヨット愛好家を魅了し続けている「Hanse(ハンゼ)」。このHanse 315は全長9.62mとコンパクトだが、3.35mある艇幅のおかげでボリューミーかつ流麗なスタイリングを実現している。また、乗員6名だが1〜2名でもイージーに操船でき、ヨット初心者でも家族でクルージングを楽しめるのが魅力だ。
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必要十分な広さのキャビンにはシャワー、トイレ、キッチン、ソファ(ベッド)が揃い、乗員6人が余裕で寛ぐことができる。重厚感のあるマホガニースタイルの家具と明るい印象のソファ&フローリングによって、インテリアはスタイリッシュな印象だ。
イギリスのトラッドな雰囲気とドイツの質実剛健さが融合!
Moody Decksaloon 41
「Moody(ムーディー)」は150年の歴史の中で、優れた造船技術と最高の素材によるヨット造りを貫いてきたイギリスのブランドだ。2007年にドイツのヨットブランドと合流してからは、さまざまな技術革新を敢行。エポキシ樹脂艇体がスピーディかつタフな航行を実現し、ウッディでラグジュアリーな装備が快適なクルージングを提供する。トラディショナルとモダンが融合した名艇だ。
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ボディサイズは全長12.52m。外部コックピットと床がフラットに続くキャビンに入ると、360度パノラマビューの眺望に圧倒される。さらに冷蔵庫、3つのコンロ、オーブン、トイレ&シャワー、独立したベッドルームなど、豪華かつ快適な装備が乗員6名を魅了する。
33フィート(10m強)クラスとは思えないサイズを超えた“ゆとり”が魅力
DUFOUR 37
セーリングを愛するエンジニア、ミシェル・デュフォーが1964年に設立した「DUFOUR(デュフォー)」は、誕生から60年経った今でも多くのファンを魅了している。DUFOUR 37はボディの重量を正しくバランスさせつつ強度を高めているため、機敏な操作性と高い安定性を実現。優雅でラグジュアリーなボディの中に、レースでも通用するパフォーマンスを備えているのが魅力だ。
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全長10.77mだが、幅が拡大され最大3.8mを実現。中央のキャビンにはテーブルを挟んだ両側に3人掛けソファを配置し、さらに機能的なキッチンが備わる。しかも前方には広いオーナーズキャビンや快適なベッドルームがあり、乗員8名以上が快適にクルージングを満喫できる。
家族でクルージングが楽しめる高性能かつお洒落なカタマラン
Isla 40
カタマラン(双胴船)は安定性に優れているため、小さい子どもも年配の人も安心して乗船することができる。そのカタマランのフランス最大級ビルダー「ファンテンパジョ」の「Isla(イスラ)40」は、3つまたは4つのキャビンを備えた極上の居住性が魅力だ。また、スマートなボディ形状なので、走行性能も良好。最大20名もの大人数で、快適にロングクルーズを楽しむことができる。
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キャビンのエントランス隣に大きなテーブルを配置することで、デッキ後方を快適なリラクゼージョンラウンジに! また、広いリビングのほか、右舷側と左舷側それぞれにキャビンとバスルームがあるので、プライバシーをキープできるのが魅力だ。