相場に応じたこのような判断は、資産運用の成績向上を狙ってのものでしょう。しかし長期の資産形成という視点で見ると、かえってリターンを押し下げてしまうことがあります。今回は、個人投資家のデータをもとに、出金や売却の判断がリターンにどう影響するのかを考えます。
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出金経験の有無でリターンに差が出た
自動の資産運用サービス「ウェルスナビ」で、2025年12月31日時点で3年以上運用している約39万人を、一度も出金せず運用を続けている「運用継続グループ」と、1円以上の出金をしたことがある「出金ありグループ」(※1)に分け、1年あたりのリターン(※2)を比較しました。
(出典)ウェルスナビ
その結果、運用継続グループのリターンは14.6%、出金ありグループは9.9%で、4.7ポイントの差がありました。
(出典)ウェルスナビ
※投資行動の違いがリターンに与える影響を分析するため、利用者ごとの入出金額と入出金タイミング、運用中の資産の含み益に将来かかる税金を考慮した「1年あたりのリターン」(円建て)により評価しています。このため、元本に対するトータルの増減率を示すホーム画面の損益率とは異なります。
※当該リターンは過去データに基づき計算されたものであり、将来の運用成果等について示唆・保証するものではありません。
リターンの分布にも違いが表れています。「出金ありグループ」の1年あたりのリターンは、「+0〜10%」の範囲に約4割が集まっています。この結果から、まだ利益が少ない状況で出金したことで、より大きなリターンを逃したケースがあると考えられます。
また、出金ありグループのほうが、リターンにばらつきがありました。「+30%超」など高いリターンのケースがある一方、マイナスのリターンになったケースもありました。
ただし、データ全体を見ると、運用の途中で「売る」ことを行った場合のリターンが、何もしなかった場合に得られたであろうリターンを超えることは簡単ではないと言えます。
(出典)ウェルスナビ
※当該リターンは過去データに基づき計算されたものであり、将来の運用成果等について示唆・保証するものではありません。
※10%きざみのリターンは「超~以下」で区切っており、たとえば「+0~+10%」は「0%超~10%以下」となります。
個々の利用者にはそれぞれの事情があるため、この結果だけで判断の良し悪しを決めることはできません。ただ、相場を予測して売買に成功するのはプロでも困難だと言われています。出金のタイミングが良ければ高いリターンを得られるものの、再現性をもって成功し続けるのは難しいと言えそうです。
まとまったお金をすぐに使う予定がなく、将来に向けた資産形成を目指すなら、途中で利益確定をするよりも、長い目で淡々と資産運用を続けるのが合理的と考えられます。
こうした投資家の行動には、利益と損失に対する心理が関係していると言われます。投資家は、利益が出ていれば「今のうちに確保しておきたい」と感じやすく、反対に損失が出ていれば「もう少し待てば戻るかもしれない」と考えやすくなります。こうした心理に基づいて行動すると、利益が小さいうちに売り、損失が膨らんでも抱えてしまうことがあります。つまり長期投資では、運用方針や商品の選び方等のほかに、資金を動かす場面での意思決定もリターンを左右すると言えます。
長期投資で大切なのは「判断の基準」
では、心理の影響を避けて、資産運用を続けるにはどうすれば良いでしょうか。
まずは資産運用の目的を確認します。何のために資産運用をしていて、その資金を将来何に使いたいかを改めて確認すれば、リターンの状況や相場変動に引っぱられて判断がぶれるのを防ぐことができます。
さらに、判断の方針を決めることをおすすめします。たとえば、「資産配分を見直すのは原則として年1回にする」「売却は使い道がはっきりしているときに限る」といったものです。相場に応じて都度判断するのではなく、方針に沿って判断することで、不要な売却を防ぎやすくなるのではないでしょうか。仕組みを作って、迷いや感情に左右される場面を減らし、資産運用を長く続けていただきたいと思います。
※1 ここでの「出金」は、ウェルスナビの運用者が自らの意思により、出金メニューから一部または全部の出金(1円以上)依頼を行い、出金が完了した場合を指します。
※2 投資行動の違いがリターンに与える影響を分析するため、利用者ごとの入出金額と入出金タイミング、運用中の資産の含み益に将来かかる税金を考慮した「1年あたりのリターン」(円建て)により評価しています。このため、元本に対するトータルの増減率を示すホーム画面の損益率とは異なります。
(参考資料)
牛島祐亮・枇々木規雄「売却(出金)行動と運用利回りの関係―ロボアドバイザーの利用者データを用いた運用利回りの要因分析―」(2026年2月16日(改訂版))

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