TOP CLOSEUP 震災をきっかけに生まれた出会いの物語バーテンダーの想いが詰まった絶品味噌ペースト

震災をきっかけに生まれた出会いの物語
バーテンダーの想いが詰まった絶品味噌ペースト

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熊本市の「上通り」にあるBar HIRONOSUKEのバーテンダーが創った「ひろのすけ味噌」。なぜバーが味噌を? そこには熊本地震をきっかけに生まれた人と人、人と素材の出会いの物語がある。Bar HIRONOSUKEの代表・丸山浩之さんに話を伺った。


お話を伺ったのは

浩之勗 代表取締役 丸山浩之さん

東京のバーでチーフバーテンダーとして活躍した後、故郷の熊本に戻り2年間ホテル勤務。2004年にBar HIRONOSUKEをオープン。2021年に熊本県SDGs登録制度第一期登録事業者に認定。

熊本城を眺めながらゆったりとした時間が過ごせるバー

 熊本市の中心にあるホテル日航の裏手、城下町の面影と新しさが融合した「上通り」にあるBar HIRONOSUKE。屋上庭園越しに熊本城を望む絶好のロケーションと、洗練された空間で味わえるお酒とBar飯が人気で、独り客からグループまで、多くの人で連日賑わっている。オーナーの丸山浩之さんが店を開いたのは19年前。東京のバーでチーフバーテンダーとして活躍していた丸山さんは、父親の勧めもあり高校生まで過ごしてきた地元熊本に戻りバーを構えるに至った。熊本になかった洗練されたバーを目指していたという丸山さん。オープン当時はなかなかうまくいかない事もあったという。

多くの飲食店が集まる『下通り』ではなく、当時は閑静で落ち着いていた『上通り』に出店。自分の力で『上通り』に人を呼んでやろうという気概でしたね。でも、独りよがりな店作りになっていたのか、うまくいかない時期がありました。そんな時に助けてくれたのが、バーの仲間や地域の方々でした。今のコンセプトはあの頃と違い『地域密着』。みんなで一緒に作り上げていくものと意識が変わった結果、お店の雰囲気も良くなり徐々に地元の方々が集まるお店になってきました。

 クールでカジュアルな雰囲気が人気を呼び、いつしか地元の人に加え、県外の人々も集うバーになっていった。熊本出身の俳優、中原丈雄さんも常連の一人。熊本でのレギュラー番組出演の際にはこのバーに立ち寄り、お酒と食事を堪能するという。


ひろのすけ味噌は熊本産のお酒と相性抜群

熊本帰省時には気分転換にBar HIRONOSUKEにふらりと立ち寄るという俳優の中原丈雄さん。「ウイスキーや『白岳しろ』のロックと『ひろのすけ味噌』を使ったアテを一緒にいただいています。さすが熊本産同士、これがバッチリ合うのです。

Bar HIRONOSUKE常連 俳優中原丈雄さん

1951年熊本県球磨郡湯前町出身。劇団未来劇場に所属し、数多くの舞台に出演。その後、テレビや映画に活動の場を移す。球磨焼酎酒造組合から球磨焼酎大使に任命され、テレビ熊本で米焼酎と料理の紹介番組のナビゲーターを務めている。

震災がきっかけで生まれた無農薬バジルペースト

 そんなBar HIRONOSUKEがオリジナル商品を手がけるようになったのは2016年の熊本地震がきっかけだった。味に問題はないが、傷がついて出荷できないにんにくやバジルの扱いに困っていた農家のため、丸山さんと店のバーテンダーが、加工品製造に精通する業者の智恵を得ながら試行錯誤を続け、そして生まれたのが無農薬バジルを使ったバジルペーストだった。

今までお取引があった生産者の方々が、尋常じゃない被害を被っていました。市場には出荷できない傷ついた作物に困っているバジル生産者のお力になりたいと思い、ペースト状にしてお店のメニューで提供したところ、お客様に大変好評を頂きました。このバジルペーストが欲しいという声もあり、持ち帰り用として製品化することにしました。

 持ち帰り用の店頭販売として提供していたバジルペーストは次第に人気となり、ギフト商品として地元の百貨店やネット通販などで、流通が広がっていった。

バジルペーストバジルペースト

風味を残すため、収穫したその日のうちにたっぷりのオリーブオイルで閉じ込めた無農薬バジル。そのままパスタに和えたり、ワインやウィスキーのおともにクラッカーやパンに添えて食べたりとその使い方は多岐に渡る。丸山さん曰く、めんつゆに入れても美味しいそう。

味噌、食材、お酒。それぞれのプロが協調して製品を開発

 Bar HIRONOSUKEのオリジナル商品は、さらなる広がりをみせる。熊本で味噌・醤油づくりを行う山内本店もこの話に共感し、阿蘇の伏流水で仕込んだ無添加味噌の提供を申し出た。「日本で唯一味噌にご利益がある」といわれる味噌天神(本村神社)がある熊本。そんな味噌の聖地で創業270年以上の山内本店は、厚生労働大臣表彰者 「現代の名工」にも選ばれた職人が作る「まぼろしの味噌」で有名な老舗企業だ。

そのままでも充分美味しいハイクオリティな味噌ですが、そこに地元の生産者が提供する熊本の食材を入れ、お酒を通じておもてなしに精通する私達がお酒のアテになるようレシピを開発しました。実はパッケージにしている大葉やにんにくといった県産食材の他にも、熊本地方のお正月のお屠蘇として欠かせない赤酒や、熊本城の象徴である銀杏の燻製を隠し味として使うなど、熊本らしいエッセンスをふんだんに加えています。

 そして、熊本産の食材を使った味噌ペースト「ひろのすけ味噌」が誕生する。

ひろのすけ味噌 トリュフひろのすけ味噌 トリュフ

トリュフの芳醇な香りを阿蘇の伏流水で仕込んだ無添加味噌と組み合わせた「ひろのすけ味噌 トリュフ」。電子レンジで温めたカマンベールチーズに乗せるのもお勧め。また、クリームパスタにほんの少し加えるとグンと濃厚な味わいに。

あか牛山椒味噌和えあか牛山椒味噌和え

上品な旨みの熊本産あか牛の食感を残しつつ、味噌、にんにく、五木村産山椒を加えた「あか牛山椒味噌和え」。そのままお酒のアテでもいいが、お豆腐に乗せたり生野菜につけても美味しい。

熊本城の石垣に込められた復興への思い

「地産地消」「共存共栄」「競合から協調へ」をコンセプトに、熊本県農産物を使用した加工品の製造と販路拡大の為のプロジェクト。この活動はその後さらに拡大し、現在は味噌ペースト7種類に加え、バジルペースト、ハリッサペースト、ブルーベリィバタージャムの10種を展開している。丸山さんは製品のパッケージに描かれた「熊本城」の石垣への思いをこう語る。

熊本城の石垣「武者返し」は反りのある勾配が特徴的で、築城の名手である加藤清正が作りました。7年前の震災にも耐えた熊本の心のシンボルであるこの石垣を商品のラベルにしています。熊本地震だけでなく、全国各地でさまざまな災害に見舞われた方も多くいらっしゃいます。この石垣を旗印に私達の思いを全国の皆さまにお届けしたいと考えています。

 出会いが重なって生まれたひろのすけのプロダクト。お酒と食の楽しみ方のバリエーションを広げてくれる商品とともに、復興への思いを全国に伝えている。

Bar HIRONOSUKE PRODUCT

熊本産ひろのすけ味噌シリーズ 「大葉」オオバ 805円

合志産の大葉をたっぷり使用。素麺の付けダレのほか、豚肉と茄子と一緒に炒めるだけで簡単に美味しいひと皿に。

熊本産ひろのすけ味噌シリーズ 「大蒜」ニンニク 805円

城南産の無農薬ニンニクを多めに仕上げたひろのすけ味噌大蒜。生野菜にそのままつけるだけでお酒のアテに。

熊本産ひろのすけ味噌シリーズ 「山葵」 805円

ワサビの葉のほかにワサビの茎をプラスし、シャキシャキの食感を残した味噌。焼肉の薬味やお茶漬けにおススメ。

熊本産ひろのすけ味噌シリーズ 「唐辛子」 805円

人吉産の唐辛子を使ったピリ辛好きにおススメの一品。豚ミンチと炒めて簡単ピリ辛肉味噌に。肉味噌はパスタやうどんや坦々麺など大活躍。

馬肉唐辛子味噌和え 930円

人吉産唐辛子を加えた味噌で和え、馬肉特有の甘みを引き出したもの。馬肉は食感が楽しめる大きさに。あったかご飯やおにぎり、野菜のディップにも。

ハリッサペースト 1,150円

モロッコやチュニジアなどで使われる、スパイス色々な辛味調味料。マヨネーズとまぜてソーセージや肉料理につけると絶品。

ブルーベリィバタージャム 980円

阿蘇西原村の天然無農薬栽培の完熟ブルーベリーと濃厚バター。熱々のトーストやワッフルにたっぷり載せると濃厚な味わいが楽しめる。

※価格はすべて税込みです。

Bar Hironosuke
tel.096-327-2356

熊本県熊本市中央区上通町5-46

営業時間

月~土 18:00〜翌2:00(LO 1:30)

日曜・祝日 18:00~24:00(LO 11:30)

ONLINE SHOP

※2023年6月6日現在の記事です。詳細はお問い合わせください。

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