AFFLUENT monthly features 特集記事

生活にもっとスパークリングワインを

ISSUED | 2017.12

 

五感のすべてを刺激する偶然が生んだ〝泡〞の魅力ポン!と軽やかに弾ける開栓の音に、美しい色合いと煌めく泡。そんな華やかさから、パーティーやクリスマスなどのイベントには欠かすことの出来ない存在のスパークリングワイン。しかし今、そんな既成概念を覆す楽しみ方が、世界的にトレンドになりつつある。

基本にしばられない楽しみ方がスパークリングワインの新しい基本

偶然から生まれたスパークリングには、スティルワインにはない楽しみ方がある。基本を気にせず自分なりの楽しみ方を見つける。そんな新たな発見こそ、スパークリングワインにはふさわしい。

忌み嫌う泡のあるワインが、世界中を虜にする商品に

ペニシリンや電子レンジ、ダイナマイトなど、世の中には偶然から生まれた発明品が数多く存在するが「スパークリングワイン」もまた、偶然に生まれた発明品の一つだ。スパークリングワイン、厳密にはシャンパンの誕生は今からおよそ350年前。フランスシャンパーニュ地方の修道士ピエール・ペリニヨン(ドン・ペリニヨン※ドンは尊称)が、瓶詰めしたワインを放置したところ、瓶内で再発酵が進んでしまう。当時泡の出たワインは不良品とされていたが、これを試しに飲んでみたところ、思いのほか美味であったことからシャンパンは生まれた。そんな偶然から生まれたシャンパン=スパークリングワインは、現在その華やかな印象から「乾杯酒」というイメージが強い。しかし、世界各地で良質なスパークリングワインが生産されるようになった今、「乾杯酒」というポジションに留めるのは何とももったいない。その魅力をもっと自由に、もっと日常的に楽しんでも良いのではないだろうか。 そんな思いから、今回麻布十番のフレンチレストラン「アリエ」でソムリエをつとめる笹倉建一郎さんに、日常的にスパークリングワインを楽しむ方法について、いろいろとお話を伺ってみた。

MEMO

  • シャンパン最大手の老舗メゾン モエ・エ・シャンドン社に建つドン・ペリニヨン像。 シャンパンの父と言われるドン・ペリニヨンの名は、モエ・エ・シャンドン社を代表するシャンパンブランドの名として使われている。

基本にとらわれない、新しいスタイルの楽しみ方

「最近は新世界のチリ、オーストラリアなど、世界各地でリーズナブルで高品質なもの、個性的なものなど数多くスパークリングワインが生産されていて、それに合わせて従来の乾杯酒的な飲み方以外の、自由な楽しみ方が世界的に広がってきています。スパークリングワインを楽しむ基本は、商品に合った温度管理です。辛口か甘口かでも適温は変わりますが、ヴィンテージシャンパンなどポテンシャルの高い商品であれば、12℃から14℃くらいの少し高めの温度で、しっかりと味を楽しむのが基本です。逆に、リーズナブルな商品であれば、低めの温度でしっかり冷やして、泡立ちとともに楽しみます。目安は5℃から8℃くらいです。しかし最近は、この適温の基本を覆す楽しみ方も、いろいろ出てきているのです」。

炭酸の刺激が胃を刺激することで、食欲増進につながるというスパークリングワイン。食前酒としてだけ味わうのではなく、食事を通して楽しむスタイルが一般的になりつつある。

スパークリングワインの特徴を生かしたペアリングを

「日常的にスパークリングワインを楽しめむための、おすすめのおつまみは、ズバリ「揚げ物」です。スパークリングワインの酸味と揚げ物の油はとても相性が良く、複数の方でつまめるという意味でも、フライドポテトなどは、ちょうど良いおつまみになります。また、スパークリングワインの炭酸は辛いものと相性が良いので、キムチやトウガラシなどを使ったメニュー、たとえば、韓国料理とのペアリングで楽しむのも新しいと思います。 適温で楽しむというスパークリングワインの基本を覆す楽しみ方になりますが、今年モエ・エ・シャンドン社から専用品『アイスアンぺリアル』が発売されましたが、従来より甘みを増した作りをして、氷を入れて楽しむというスタイルはトレンドになりつつあると思います。また、寒くなるこれからの季節であれば、「ホットシャンパン」も面白いと思います。砂糖を加えて鍋で温め、グラスに注ぐ。甘みと旨味のあるあんかけのようなお料理との相性が良いので、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。スパークリングワインは身体が冷えてしまうと、敬遠されている方にもおすすめできる飲み方ですね」。

意外な組み合わせと思える、韓国料理とスパークリングワインのペアリングは、炭酸と辛みの刺激のあるテクスチャーというところでの相性が良くおすすめ。

偶然生まれたお酒だからこそ、自由な発想で楽しむべき

「最近ではフランスのレストランで、あえて開栓して2日ほど炭酸を抜いたシャンパンを、熟成した白ワインのように楽しむ。そんなスタイルも出てきているようです。タイプやシチュエーションに合わせて、グラスを色々変える楽しみ方なども流行っていますが、世界各国の良質なスパークリングワインが手に入るようになった今だからこそ、基本にこだわらず、これまでにない新しい楽しみ方が生まれているのだと思います。繊細でありパワフルでもあり、香りも見た目も楽しめる、そんな懐の深さがあるスパークリングワインならではの楽しみ方です。
今回ご紹介したペアリングや楽しみ方は、それぞれの楽しみ方に合ったポテンシャルを持つ商品との組み合わせが前提にはなりますが、たくさんの商品の中から、宝探しのように自分のスタイルに合ったものを見つける。それもまた、スパークリングワインの楽しみ方の一つなのだと思います」。

シャンパングラスというと、細長いフルート型や乾杯向けの浅いソーサ型をイメージするが、飲み口が少し広くなったチューリップ型が今の流行りで、白ワイン、赤ワイン用のグラスで、香りと味わいをより楽しむといったスタイルも増えている。

PROFILE

●お話を伺ったのは 麻布十番 ALLIE ディレクター兼ソムリエ

笹倉建一郎 KENICHIRO SASAKURA

1977年奈良県出身 京都「Lever son Verre」にて、料理人としてこの道に入り、その後サーヴィスに転身。2016年麻布十番「ALLIE」立ち上げより現職。主な経 歴は、「Lever son Verre本郷」マネージャー兼ソムリエ。「Beige Alain Ducasse Tokyo」ソムリエ。「L’EMBELLIR」支配人兼シェフソムリエ。「Dominique BouchetTokyo」プルミエ・メートル・ドテル

1 2

SHARE THIS ARTICLE この記事をシェアする

RELATED ARTICLESこちらの記事もおすすめです