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今年の夏は ”夏酒”でのりきる

ISSUED | 2018.07

 

年々暑さを増す日本の夏。
そんな季節を楽しむ、いや、力強くのりきるための耳よりな情報をお届けしよう

湿度が高く、うだるような日本特有の暑さだからこそ感じられる冷酒の醍醐味。「キリっと冷えた極上の〝夏酒〞があれば、外の暑さも酒の肴」くらいに感じられればしめたものだ。
東京・銀座のコリドー街で和酒バー『庫裏(くり)』の店長を務める酒匠の竹内徹平さんに、夏酒の効能や料理との相性など、その魅力を聞いた。

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Teppei Takeuchi

竹内 徹平

和食料理人修業中に日本酒に開眼。旬の酒肴を味わいながら日本酒を楽しめる和酒バー『庫裏』の店長として日本酒ファンより絶大な支持を得ている。難易度の高い「酒匠」の資格を持ち、日本各地の酒の魅力と酒蔵を知り尽くす”日本酒の達人”だ。



夏酒の効能

 代表的な夏酒は、アルコール度数の低い、比較的甘口のライトなタイプなものが多い。暑い時期に身体が欲する酸味を適度に利かせているのも特徴だ。もちろん、”夏酒”という言葉自体が酒税法で定義されているものではないため、前述のタイプ以外にも、生酒タイプや発泡性のものなど、その種類は多岐にわたる。

 実は、夏酒にはもう一つの魅力がある。それは、疲労回復に効く成分が含まれているものが多いということだ。夏バテに悩む人々には一挙両得。何とも耳よりな話ではないか。竹内さんはこう言う。

「古来、日本酒の醸造には黄麹が用いられてきたのですが、夏酒には、最近日本酒業界でもトレンドを生みだしている”白麹”が用いられている銘柄が多くあります。白麹は発酵することで、疲労回復成分であるリンゴ酸やクエン酸を生成します。この成分が夏酒らしい味の決め手となるわけですが、心地よい酸味やほのかな甘み、キリっとしたコクや旨みは、一般的に言う日本酒特有のまろやかさや芳醇さとは、また一味違う魅力があります」

 清涼感のあるシャープな味わいは、ポン酢の利いた一品、柑橘類や夏野菜のサラダ、そして酸味のあるチーズやハーブを使用した一皿との相性も抜群だという。特に、活性酸素を除去してくれるリコピン成分に加え、リンゴ酸やクエン酸、そしてビタミンを豊富に含み、ほのかな酸味のあるトマトとのカップリングは、味覚の上でも疲労回復効果という点でも大いに相乗効果が期待できそうだ。



夏酒、多種多様

 ちなみに、夏酒といっても、先に述べた通り、今や数千を超える多種多様な銘柄があり、もはや、一口に”ライトで甘め”という言葉では括れないそうだ。それだけに、最初から最後まで〝夏銘柄〞だけで通すのもお薦めの飲み方だという。

「本当にライトなものから、超辛口のもの、”ロック推奨”と記載された個性的なものもありますから、夏酒だけで呑み比べをしてみても楽しいと思います。食との相性で言うと、”ロック推奨”は、トマトやバジルのパスタにも合いますし、南蛮漬けなどにもいいと思います。夜の庭先、バーベキューで振る舞うのにもぴったりなダイナミックな味わいの銘柄もありますね」

左/季節限定仕様の夏酒といっても、しっかりとした超辛口の食中酒などもある。鱧のような繊細な旨みに満ちた旬の食材をよりいっそう引き立たせてくれる。
右/ワインが定番のイタリアンやフレンチとの絶妙なカップリングを気軽に楽しめるのも夏酒ならではの魅力だ。特にトマトとの相性の良さは、栄養面でも、味覚の点でも期待できそうだ。

和酒BAR 庫裏 -銀座-

  • 住所:東京都中央区銀座6-4-15 トニービル2階
    TEL:03-3573-8033
    営業時間:17:00~24:00( LO 23:30)
    定休日:日・祝日
    URL:http://www7a.biglobe.ne.jp/~kurisake/
    ※年末年始、GW、お盆時期は定休日変更の可能性あり。
    ※銀座店の他に新橋にも2店舗あり。



夏酒の嗜み

 ゴールデンウィークが終わった頃から少しずつ市場に出回る夏向けの酒は、そのほとんどが、各酒蔵が季節限定商品として仕込む特別仕様のものだ。造り手としては気軽に楽しんでほしいということからも、価格帯も手ごろな純米酒、純米吟醸クラスが多い。そして、通常の酒造りとは少し違ったところで創意工夫がなされているのも、夏酒ならではの面白さだという。確かに、どのラベルも、氷やスイカやカブトムシなどが涼しげにあしらわれており、一目で買ってみたいと思わせる独自性に溢れている。

「夏の酒というのは本来、季節感を大切にする日本人の感性とともに生まれたと言っても過言ではありません。ですから、酒自体の味を追求するよりも、〝季節ならではのシチュエーションを楽しむ〞というような嗜み方もいいですね。例えば、縁側で夏野菜を味わいながら、手触りのよい焼き物の酒器や切子の盃を愛でつつ、ゆったりと夏の夕のひとときを過ごすというような」

 夏酒は疲労回復にもよし、夕涼みのひとときを演出するにもよしと、まさに万能選手。それぞれのライフスタイルや趣向に合わせた酒選びができるのもまた嬉しい。

 今年の夏は、少しだけビールは控えて、〝夏酒スタイル〞の達人を目指してみてはいかがだろうか。

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