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ナイル川の恵みに触れる エジプト 魅惑の古代文明

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ナイル川の恵みに触れる エジプト 魅惑の古代文明

3000年という人類最長の歴史を刻んだ古代エジプト文明は、ナイル川の氾濫による肥沃な大地がもたらした。神秘的な古代遺跡やナイル川流域の雄大な自然、多彩な文化が集う美しい街並み。治安も改善し、近年再びブームとなっているエジプトでは、今、何が待っているのだろう。
誰もが一度は憧れる文明のふるさとへ、いざ。

1.古代遺跡

色鮮やかな壁画に圧倒される王妃ネフェルタリの墓は必見

エジプトの代名詞、古代遺跡。旅をするならまず、その圧倒的な存在感を目の当たりにしたい。

 カイロ中心部から南西に20km、ギザにある3大ピラミッドは、第4王朝の王であるクフ、カフラー、メンカウラーのピラミッドのほか、あのスフィンクスも同時に見られる王道の観光地。さらにギザでは現在、古代エジプトの考古遺物など10万点を展示する大エジプト博物館が建設中。2020年にオープン予定というので注目だ。

 ラメセス2世の巨大な石窟神殿があるアブ・シンベル、エジプト最大の神殿カルナックや華麗なルクソール神殿があるルクソールなども外せないスポット。中でも、今最も注目したいのは、ルクソールの王妃の谷にあるネフェルタリの墓だろう。

ラメセス2世の第一王妃であり、最も王の寵愛を受けたというネフェルタリ。王妃のために墓を作るのは古代エジプト史の中でも異例で、王にとって彼女がいかに重要であったかが伺える。通常のツアーでは訪れることが少なく入場料は高額。さらに入場人数も制限されているとあって、思わず足が遠のいてしまうのだが、ここは労を惜しまず行っておきたい。内部には3200年前に描かれた壁画が最高の保存状態で残されており、王家の谷にあるどの壁画よりも色鮮やかで美しく、見る者を太古の時代へと誘うのだ。


アブ・シンベル小神殿は、ラメセス2世がネフェルタリに捧げた神殿。


ルクソール西岸にあるメディネト・ハブ。紀元前12世紀のものだが、今なお鮮やかな色彩が残るレリーフを見ることができる。


壁画の美しさに圧倒されるネフェルタリの墓。


ギザは3大ピラミッドのほか、スフィンクスなど多くの古代遺跡に触れられる一大観光地。


絵柄と象形文字の組み合わせが面白い古代エジプトのレリーフを読み解くのも古代遺跡を楽しむポイント。

2.ナイル川クルーズ

水上を進む5つ星ホテル豪華クルーズで遺跡を巡る

 夏場は日中の気温が 35度以上になることも多く、夜間との寒暖差も激しいエジプト。バス移動が一般的だった時代は、窓から差し込む日差しと車の揺れで体力を奪われるという、過酷な旅のイメージが強かった。

 しかし近年では、豪華客船でナイル川をクルーズしながら、流域にある都市や古代遺跡を巡る旅が人気を博している。

 一般的なスケジュールは、午前7時から11時の気温が穏やかな時間帯に観光をして、気温が上昇する午後は移動しながら空調設備が万全な船内で過ごすというもの。客船のランクにより多少の差はあるが、総じて高級ホテルのような宿泊設備が整っており、夜はそのまま船で夕食をとり、部屋のベッドで眠りにつく。そして翌朝はすぐに、次の観光地を楽しむことができる。

 特にエジプト政府公認の5つ星クルーズは、モダンで優美な船体、長旅を癒してくれるデラックスな客室、レベルの高い料理をふるまうレストラン、最上階のデッキにはプール&スパと至れり尽くせり。パーティーやベリーダンスショーなどのエンターテインメントも多彩で、船中で思い思いの時間を満喫できる。

 しかしここはゆるりと、船上から雄大な風景を眺めて過ごしたい。そうすれば、エジプトはナイルの賜物だと改めて実感できるはずだ。



デッキからの眺めは格別で、サンセットで黄金色に染まるナイル川の景色に酔いしれたい。


高級ホテルで過ごしているかのような癒しの時間を過ごせる豪華客船。宿泊設備はもちろん、イベントなども多彩だ。

3.ハンハリーリ市場

カイロ屈指の巨大バザール地元人とのふれあいも魅力

  せっかく異国の地を訪れたなら、異国情緒が感じられる場所で地元の人たちとふれあいたい。カイロの一大バザールとして知られるハンハリーリは、日本でいう上野のアメ横のような場所。地元の人と観光客が入り乱れ、いつも活気に満ちている。

 現地では、カーン・エル・カリーリと呼ばれるこの一帯は、かつては隊商宿が数多くあったという。迷路のように入り組んだバザールではバラエティー豊かな店が軒を連ねており、ツタンカーメンやスフィンクスの置物、香水瓶、香油、アラバスター製品など、エジプト土産なら何でも揃ってしまう。

 観光客目当ての客引きや価格は交渉制という店が多いので、エジプト流の交渉術を楽しんでみるのもいい。まず、店員のセールストークには耳を貸さず、相手の言い値の3分の1から半額の値段を言ってみる。店員に断られたら興味のない顔をしてその場から離れる。すると、相手が追いかけてきて交渉成立ということが多い。エジプトでは日本製のボールペンが人気で、ボールペンと交換で交渉が成立することもあるので、価格交渉の切り札として多めにボールペンを持っていく兵もいるそうだ。

 もちろん、買うだけでなく見ているだけでも十分楽しめるので、旅の土産と思い出をたくさん手に入れよう。


カイロ最大のショッピングゾーン。


歩き疲れたらカフェでひと休み。


油とスパイスをたっぷり使ったエジプト料理も堪能したい。


地元の人とのふれあいも旅の楽しみのひとつ。


金や銀をベースに、トルコ石などを埋め込んだ金属細工は、エジプト土産の定番。


職人が細やかな細工を施す。


民族衣装ガラベーヤやカーペットも定番アイテム。


広いエリアに無数の路地が存在するハンハリーリ。初心者は比較的歩きやすいエル・バデスタン通り、ムスキ通り、エル・フセイン広場に囲まれた一帯がおすすめ。

エジプトインフォメーション

 九州や沖縄と同じくらいの緯度にあるエジプトは、季節によって気温の変化はあるが、国土のほとんどが乾燥地帯。雨はほとんど降らず、6 ~9月は連日最高気温が40度を超える灼熱の世界なので、観光は暑さが和らぐ11 ~2月がベストシーズン。砂漠の中を観光するので、強い日差しから身を守る帽子やサングラス、日焼け止めは必需品。寒暖差が激しいので羽織るものの準備も忘れずに。

 2010年から起こったアラブの春以来、不安定な情勢が続いていたが、2014年の新大統領就任後は治安対策を強化。現在情勢は安定してきており、旅先としての人気も急上昇している。エジプトはアフリカ最大級の河川であるナイル川に沿うようにして、ピラミッドや神殿などの古代遺跡が点在。人類最長といわれる古代文明に触れるのはもちろん、大都市カイロでは夜景やグルメ、数百年の歴史を誇るハンハリーリ市場でのショッピングなど存分に旅を満喫できるのが魅力だ。

 エジプト料理は、油とスパイスをふんだんに使ったこってり味が特徴。牛や羊、鶏を用いた肉料理が中心だが、地中海の街では海の幸、ナイル川沿いでは淡水魚も食べられる。普段食べる機会が少ないが、意外にも日本人の舌に合うので、代表的な料理をひと通り食べ比べて楽しんでみよう。

DATA

正式国名 エジプト・アラブ共和國
面積 約100万km²(日本の約2.7倍)
人口 約9,304万人※2017年エジプト中央動員統計局
首都 カイロ
政体 共和制
宗教 約90%がイスラム教徒
言語 アラビア語
通貨 エジプト・ポンド
時差 日本とはマイナス7時間
アクセス エジプト航空が直行便を運航。UAEやトルコ、ヨーロッパ諸国で乗り継ぐ便も利用できる
チップ バクシーシと言われるチップの習慣がある 


古代遺跡、ナイル川クルーズ、そして異国情緒にふれられるエジプトの旅。従来までの過酷なイメージを払拭する新しい楽しみ方が注目されている。

大人の冒険 神秘の不思議を探る エジプト 8日間



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※2021年11月30日現在の記事です。詳細はお問い合わせください。

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