
名古屋グルメバトン VOL.2
味処 もちづき | 中村区役所
ISSUED | 2020.05

大将までの距離、1m。ライブ感のある懐石料理が大人を惹きつける
「壺中天」の上井克輔さんからバトンを受け継いだのは進化する懐石料理の名店「味処 もちづき」の望月孝浩さん。格子戸を開くと一新する雰囲気も、今宵のごちそうとなる。
PROFILE


望月 孝浩さん
名古屋市出身。祖父母の代からこの地で割烹を営み、削りたてのかつおで取っただしや高級食材が夕食になる恵まれた環境で育った。大学卒業後、岐阜の「たか田八祥」をはじめとする料亭で11年間修業の後、家業を継承。1999年、店の建て替えとともに懐石料理のコースというスタイルへ一新した。昨年一つ星を獲得。
名古屋駅からタクシーで10分足らず。京の街のような細い路地にぽっと灯る行灯が「味処もちづき」の目印だ。のれんの他には看板ひとつない隠れ家的な名店だが、若い世代や海外の賓客も訪れるという。
さて大将の望月孝浩さんは、人柄がすこぶるいいと評判だ。「人だけでなく、料理を褒めてほしいのですが(笑)」と、当意即妙な返しもさすが。立派なアオダモの一枚板のカウンター席で懐石料理をいただく…と聞けば緊張感が高まるが、気さくな語り口で一気にリラックスさせてくれる。
ただし料理の話になると、顔が少々引き締まる。割烹を営む家に生まれた望月さんは幼い頃からだしや高級食材を味わい、味覚が開花。さらに「たか田八祥」などの料亭で腕を磨き、休日には茶道や骨董屋巡りで美意識を高めてきた。そんな望月さんがたどりついたのが、懐石料理のコースのみという、物語のあるおもてなしだ。
「例えば料理の温度は冷、温と交互にするなど、メリハリのあるお品書きにこだわっています。私の場合は先付、椀物でおなかを少し満たしていただいた後に、10品以上を盛り込んだ『八寸』をお出しします。これをお供にゆっくりお酒を味わってほしいと考えました」
また「料理人の力量が分かるのが『椀物』です。褒められるとうれしくなります」と微笑む。初夏の椀物は、うすい豆の甘みが広がるだしにふかひれをのせた贅沢な逸品。蓋を開けた瞬間の華やぎに思わず歓声を上げてしまう。
こうした和食の枠にとらわれない料理も望月さんの魅力。ふぐのから揚げにトリュフ塩、刺身にわさびオイル、稚鮎を春巻きに…おいしいと思ったら取り入れる。目の前でつくるライブ感と進化に満ちた料理で、和食のイメージが変わるはずだ。

料理はすべて目の前で。現在も料理人との勉強会や海外のバックパッカー旅などで目と舌を肥やし続けている。会話の引き出しも多彩。
RESTAURANT INFO 店舗情報
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味処 もちづき(あじどころ もちづき/中村区役所)
住所: 名古屋市中村区名楽町1-35▶︎MAP 電話番号: 052-482-7421 営業時間: 18:00~23:00(L.O. 21:00) 休業日: 月曜日、月1回不定休
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